東郷が王座死守、ゴールデンスター飯伏を再び撃墜=DDT

タカハシ

石川修が5.4挑戦権獲得―高尾、GENTAROもゲット

5月4日後楽園大会での挑戦権を獲得したのはユニオンの石川修司 【t.SAKUMA】

 セミファイナルでは「次期KO−D無差別級選手権挑戦者決定+いつでもどこでも挑戦権×2争奪ロイヤルランブル」が、総勢17人の出場選手により開催された。

 大日本プロレスでのデスマッチ戦線の活躍により一段とステータスを上げたユニオンプロレスの石川修司、この日のKO−D無差別級王座戦の挑戦者・飯伏のパートナーであり、KO−D無差別級には未だ挑戦経験のないケニー・オメガ、そして東郷の国内引退後もGRANMAが常にベルトを狙える実力者集団である事をアピールしておきたいGENTARO、ヤス・ウラノといった優勝候補から、ラダーマッチ形式がルールに採用されているところから一攫千金を狙う若手陣までがしのぎを削った。
 ちなみに今回はスクリーン上でのカウントダウン表示ができないため、ヤス・ウラノが製作した特製ボードを唯我、チェリーのインディーマット選りすぐりの美女2人がカウントダウンガールとして対応した。

 試合は諸橋晴也から1分ごとに続々と登場し、裏切りと連帯を繰り返すおなじみの攻防が繰り広げらていく。最初にリング上に吊るされた「いつでもどこでも挑戦権」を手にしたのはシット・ハート・ファウンデーションのリーダーである高尾蒼馬。ユニオンプロレスの大家健がラダーで奪取した権利書を、レフェリーが気を取られている隙に強奪し、見事に挑戦権を獲得した。

 2番目に獲得したのはGENTARO。状況を冷静に判断しながらクールにラダーを立てかけ権利書を手にしたものの、ここで高尾と同じシット・ハート・ファウンデーションの松永がリーダー同様レフェリーが見ていないうちに強奪しようとするが、ここでGETAROの盟友であるヤスのアシストで無事に挑戦権獲得を認定される。

 最後に残ったのはKUDOと石川の2人。石川の高角度のバックドロップをしのいだKUDOはバズソーキック、ダイビング・ニードロップを繰り出し、観客からどよめきを起こすほどの石川の壮絶なニーアタックも意地でクリアしていくが、最後はドリラーからのスプラッシュ・マウンテンという必殺メニューで石川が5月4日の後楽園ホール大会での挑戦権を獲得した。

サップからの刺客に苦戦も、男色殺法で鮮やか逆転

意外な身体能力を持つサップからの刺客に苦戦したディーノ(左)だったが、男色殺法全開で大逆転! 【t.SAKUMA】

 第4試合では両国国技館大会での実現が善処されている男色ディーノ対ボブ・サップの開催条件として、ボブ・サップが突きつけてきた「ボブ・ゲーム」が行なわれた。

 これは日本に特別な思い入れのあるサップが、今回の東北・関東大震災に胸を痛めつつ、7月両国大会に意気込んでいるところに聞かされた男色ディーノとの対戦オファーに対し、ドタキャンをほのめかせながらも妥協案として提示したもの。
 サップに挑戦を申し入れている世界中のファイターから、サップ自身が選りすぐった選手をディーノに何人かぶつけて、勝ち残った選手と両国国技館で対戦しようというのがこの「ボブ・ゲーム」だ。

 試合前には、この日の対戦のためにディーノがアメリカにあるボブ・サップの豪邸を訪れた映像が上映されるはずだったが、今回は節電のためスクリーン使用は自粛となっていた。せっかくの素材というところから音声だけとなったが、DDTらしいハチャメチャなストーリーに観客の期待感は高まっていった。

 しかし、登場したボブ・サップの刺客ことジョナサン・グリシャムはディーノと比べても頭一つ小さい、ボブ・サップの仮想相手とするにはあまりにもタイプが違う選手であった。
 思わず吹き出し、背比べをしてみせるディーノだったが、そのジョナサンは小さいながらも驚くほどの身体能力の高さを見せ、ディーノをその俊敏な動きで翻弄。だが、ディーノが男色殺法をほんのちょっぴり見せたため、レフェリーにクレームをつけたところ、「彼はゲイだ」という答えを聞くと一目散に場外へ。もちろんそれを逃がすディーノではなく、男色回転体でジョナサンに悲鳴を上げさせ、戦意喪失の1歩手前まで追い込んでいく。

 しかし、バルコニー席を中心に「ゴー、ジョナサン、ゴー!」という無責任な後押しの声が上がると、ジョナサンも奮起したのか諦めたのか、果敢に反撃を開始。スイング式のブレーンバスター、その場跳びのシューティング・スター・プレスからミスティコ風の動きからのライトニング・スパイラルまで見せ、フィニッシュとして正調のシューティング・スタープレスを発射。しかしディーノは冷静にこれをヒザで迎撃すると、最後は股間を鷲づかみにしてのゴッチ式男色ドライバーで「ボブ・ゲーム」開幕戦を白星でスタートさせた。

 試合後にはボブ・サップ情報を入手しようとジョナサンに詰め寄るディーノだったが、ジョナサンが言葉を発しようとした瞬間に何者かによりジョナサンは口封じされてしまったのだった(後に蘇生)。

節電仕様も逆手に、高木大社長も大満足の14周年

節電仕様となった今大会だが、14年の集大成を発揮し大団円のフィナーレとなった 【t.SAKUMA】

 第3試合ではスペシャルシングルマッチとしてHARASHIMAとアントーニオ本多の対戦が行なわれた。それぞれ先月、先々月の後楽園ホールで東郷との選手権試合に敗れているため、今回の挑戦権をかけた試合にはノミネートされなかったのだが、ここで存在感を見せつけておきたいというのは両者に共通した思いだろう。

 試合はゴング前からアントンがいきなり仕掛け、東側の客席最上段までもつれ込む場外戦からスタート。リングに戻ってからもアントンはラフ攻撃で反撃の手を緩めずにペースを保持しようとするが、HARASHIMAも隙を突いてのバッククラッカー、ロープ越しのレッグドロップ、「チェスト!」と声をあげてからのキックと反撃に転じていく。アントンも卍固めやパンチ攻撃で流れを取り戻そうとするが、HARASHIMAのカウンターのハイキックからのラリアット、ショートレンジからの蒼魔刀に屈する事となった。

 全試合後には高木三四郎社長、鶴見亜門がリングに上がり、メッセージを発すると、メーンを終えたばかりの東郷、飯伏も含めた出場全選手参加での水前寺清子さんの『365歩のマーチ』の大合唱でフィナーレとなった。

 ちなみに今回の大会では照明を通常よりも抑え目にし、スクリーンの使用はなしとした節電仕様で開催された。その中でもいつもとは違った演出で観客を楽しませようと、オープニングにはおなじみの「INTO THE LIGHT」に合わせて出場全選手が対戦カードそのままにリングに登場し、第2試合の直前にはリング上でスキットが行なわれるなど顧客満足度を大切にするDDTらしい演出がなされた。

 試合後に高木社長は「映像等を使えないことについては別にハンディとは思っておらず、逆にこれを逆手に取ってどう楽しませるかしか考えていなかった。14年かけてDDTがやってきた事が間違っていなかったという事。レスリングの質で楽しませる団体になってきた事。映像に頼らなくても興行を成立できた事が14年やってきて何より嬉しかった」とメーンを筆頭にリング上のクォリティーへの自信を見せながら、14年記念大会の総括とした。
■DDTプロレスリング旗揚げ14周年記念興行「Judgement 2011」後楽園ホール大会
3月27日(日)東京・後楽園ホール大会 観衆:1518人(超満員)

<メーンイベント KO−D無差別級選手権試合 60分一本勝負>
[王者]○ディック東郷
(36分57秒 ダイビング・セントーンからの体固め)
[挑戦者]●飯伏幸太
※第35代王者が2度目の防衛に成功

<セミファイナル 次期KO−D無差別級選手権挑戦者決定+いつでもどこでも挑戦権×2争奪ロイヤルランブル>
○石川修司
(29分39秒 スプラッシュ・マウンテンからの体固め)
●KUDO

【DDT参戦選手】KUDO、大石真翔、佐々木大輔、石井慧介、入江茂弘、高尾蒼馬、松永智充、スーパーシットマシン、ケニー・オメガ、中澤マイケル、GENTARO、ヤス・ウラノ、星誕期、藤田ミノル
【ユニオン参戦選手】○石川修司、諸橋晴也、大家健

※高尾蒼馬、GENTAROがいつでもどこでも挑戦権を獲得、最後まで勝ち残った石川修司が5月4日の後楽園ホール大会での挑戦が決定

<第4試合:ボブ・ゲーム開幕戦 30分一本勝負>
○男色ディーノ
(8分50秒 ゴッチ式男色ドライバーからの漢固め)
●ボブ・サップからの刺客(ジョナサン・グレシャム)

<第3試合 スペシャルシングルマッチ 30分一本勝負>
○HARASHIMA
(9分6秒 蒼魔刀からの体固め)
●アントーニオ本多
 
<第2試合 14周年記念試合 30分一本勝負>
○MIKAMI、ロホ・デル・ソル
(4分0秒 スワンダイブ式スク〜ルボ〜イ)
蛇我井満也、●毒蝮三四郎 withポイズン澤田JULIE withナオミ・スーザン

<オープニングマッチ 30分一本勝負>
佐藤光留、○タノムサク鳥羽、美月凛音
(10分34秒 右ストレートからの片エビ固め)
内藤恒人、●平田一喜、彰人

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