問われるサッカー選手とソーシャルメディアのルール=「ダニエルG」のサッカー法律講座
バベルはツイッター上での暴言により、FAから罰金処分を受けた 【Bongarts/Getty Images】
ツイートは危険?
ツイッターはパンドラの箱を開けてしまった。中から飛び出したのは「斬新な意見」という災難。法の抜け穴が多く、問題は必然的に発生する。例えば、クラブ側は選手のツイートを事前に調査することができない。よって、すべてがツイートする選手の判断に任され、「ツイートは危険と背中合わせ」とも言える。携帯電話をマルチ・プラットホーム・デバイスとして使い、テキストやインスタントメッセージを送ることができる中、自分のツイートが起こす波紋など一切考えることなく、多くの人々を対象に投稿することができる。時間を持て余し何か言いたくてたまらない選手たちは、ノキア、アンドロイド、アップルといったスマートフォンから、各種のツイッターアプリを簡単に操作し、瞬時に投稿するというわけだ。
ツイッターなどのプラットホームの効用を肯定的にとらえる人々は、これらのプラットホームにより「歯に衣着せぬ発言」と「真に興味深いコメント」が可能になったと主張する。自由で斬新なコミュニケーションこそがこれらのプラットホームの人気の秘密と言えるかもしれない。
ツイッターでの暴言で移籍リストに
まずは、アルダーショット(イングランド4部)のマービン・モーガンの例。彼は、ファンからブーイングされた後、ツイッター上で暴言を吐き、出場停止および減給2週間の処分を受けたばかりでなく、移籍リストに載せられてしまった。自らのクラブのファンに対し「みんな死ねばいい」とツイートしてから人気を取り戻すのは、一筋縄ではいかないだろう。「みんな死ねばいい」発言でクラブが同選手を法律的に解雇できたかどうかは別問題である。雇用問題専門弁護士の判断を待たねばならない。
リバプールのグレン・ジョンソンは、ポール・マーソン(イングランドのサッカー番組に登場するサッカー評論家)に自らのプレーを批判され、「アルコール・薬物・ギャンブルの過去を持つマーソン氏のコメントは気にもならない」とツイッターに投稿した(実際には、もっと辛らつな言葉でツイート)。「毒をもって毒を制す」ためには、ツイッターこそ完ぺきな場所であるとジョンソンは判断したのであろう。
ダレン・ベントは、トッテナムからサンダーランドへの移籍前、トッテナムのチェアマン、ダニエル・レビ氏に対し、サンダーランドへの移籍を早めるよう不謹慎な言葉を用いて非難した。数時間後にベントは謝罪の言葉を投稿している。
FAとツイッター
現在、FAでは両選手のツイートを調査中で、何らかの懲戒処分が取られるかどうかは現時点では不明である。しかし、QPRのニール・ウォーノック監督はすでに、選手たちが同クラブについてツイートすることを全面的に禁止した。
「自分たちで罰金を科すようなことはしたくない。選手たちにはきちんと話をした。彼らは好きなだけツイートすればいい。ただし、クラブに関する発言は一切禁止だ。」
確かに、クラブに関する発言の完全禁止は、今後の論争を食い止める一つの方策であるだろう。
QPRがFAの審決を待っている間、すでに処分を受けた選手もいる。リバプールのライアン・バベルだ。彼は、ツイッター上での失言で、FAから1万ポンド(約131万円)の罰金を受けた。FAのウェブサイトは「バベル選手は、ハワード・ウェブ審判に対する自分のツイッター上の発言および画像が不適切であったことを認めた」と発表した。
周知の通り、同選手は、マンチェスター・ユナイテッドのユニホームを着せたウェブ氏の写真を転送し、「彼がベスト審判の1人だって? 冗談だろ」とコメントした。彼の言いたいことが分からなくもないのだが。
ツイートするサッカー選手の中では、バベルがFAから処分を下した最初の選手であるが、注目すべき点は、審判の信頼性を疑問視するコメントや画像にFAは飛びつきやすいということである。このことは、ツイッター関連で選手がスクープ記事になるのを防ぐため、クラブがソーシャルメディア対策を策定する際に念頭に置かれるべきことである。