プロバスケット「bjリーグ」 東は浜松が独走 西は混戦模様=2010−2011シーズン前半戦を振り返る

柴田愛子

団子状態の西カンファレンス、僅差でチームがひしめき合う

日本人屈指の得点力で滋賀を引っ張る城宝匡史 【写真:Atsushi Tomura/アフロスポーツ】

 浜松が大きく抜け出た東カンファレンスとは違い、西カンファレンスは団子状態の激戦となっている。19勝11敗(2月6日現在)で滋賀レイクスターズと大阪エヴェッサが首位で並び、1ゲーム差で沖縄、福岡と続く。週代わりで順位が入れ替わるほどの混戦状態だ。

 現在首位の滋賀は、参入2年目の昨シーズン4位に入り、初のプレーオフ進出を果たした。今年は「ハイスコアな試合ができるチーム」と石橋貴俊HCが自信をのぞかせるように、高いオフェンス力が売り。チームスコアの大半を外国籍選手が稼ぐチームは多いが、滋賀は城宝匡史や岡田優など日本人選手の得点能力が高い。特に城宝は1試合平均13.8点を稼ぎ、日本人プレーヤーではリーグトップ。土壇場での勝負強さもあり、アウトサイドの要といえる。また、滋賀は後半戦に入ると、ジョシュ・ペッパーズを補強。昨シーズンもシーズン途中で仙台に加入したペッパーズ選手は、すぐさまチームの得点源になるなど、その得点力には定評がある。インサイドに大きな柱が加わることで、さらに滋賀の攻撃に厚みがますことだろう。

 しかし不安要素となるのがディフェンスだ。開幕当初から石橋HCは「ディフェンス面で昨季のリバウンド王、ハミルトンがファウルアウトしてしまうと、インサイドで柱を失ってしまう」と課題を口にしていた。その言葉どおり、前半戦はリバウンド勝負で競り負けると、そのまま得意の展開にもっていけないことも多く、ディフェンスの強化は後半戦でも課題となりそうだ。最強の助っ人、ペッパーズを迎え、オフェンス力がさらにアップした滋賀が、混戦状態の上位争いから一歩抜け出すことができるだろうか。

連勝で勢いをつけたい福岡、上位進出の鍵はディフェンス

 1位から4位まで2ゲーム差で並ぶ激戦区の西カンファレンス。現在4位のライジング福岡はなかなか連勝できず、足踏み状態が続いている。福岡といえば、この男。ずば抜けた得点力でチームを牽引(けんいん)するマイケル・パーカーだ。2年連続リーグ得点王、3年連続最多スティールに輝き、今シーズンも現時点で得点部門、スティール部門でリーグトップ。ここまでほぼフルタイムで出場しており、福岡の生命線ともいえる存在だ。今シーズンは大阪からナイル・マーリーを獲得したことで、パーカーの負担も軽減され、さらに彼を抑えることが難しくなった。この2大看板がチームスコアの約半分を稼ぎ出す。しかし、その存在が大き過ぎるだけに、もし彼らがけがで離脱した場合、どう穴を埋めるかは福岡が抱える最大の不安要素だ。

 また得点力はあっても、失点が多いのが福岡のウィークポイントだ。1試合チーム平均得点は87.4でカンファレンス2位につけるが、平均失点も85.9とカンファレンスで2番目に多い。西カンファレンスはサイズのあるチームが多いだけに、高さで劣る福岡はリバウンド勝負でどこまで踏ん張れるかが勝敗の鍵を握る。攻守のバランスの悪さが現在4位という結果につながっており、今後失点を抑えられれば、一気に上位へと躍り出るだろう。

 ここまで両カンファレンスの順位を見てみると、昨シーズンとほぼ同じ顔ぶれが上位に並ぶ。だが、毎年プレーオフ争いで台風の目となるチームが出てくるのもbjリーグの面白さだ。昨シーズン、下位に沈んでいた東カンファレンスの埼玉や、西カンファレンスでは大分ヒートデビルズがシーズン終盤で勝率を上げ、プレーオフ争いを大いに盛り上げた。後半戦は始まったばかり、プレーオフ進出に向け、新たな新興勢力が出てくることを期待したい。

<了>

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