松井秀「打つだけです」=後半戦、勝負の舞台へ
ここ一番で残してきた数々の結果
クリフ・リー(写真)の加入で戦力アップしたレンジャーズを攻略できるか? 【Getty Images】
しかし、もうひとつの「勝負強さ」が試されるのはこれからだ。不本意だった前半戦でも得点圏打率は2割9分4厘。松井らしさの片りんはのぞかせていた。ヤンキース時代の恩師で現ドジャースのトーリ監督は「近年、打点の評価は低い。だがチャンスで走者をかえすバッティングをするのはたやすいことではない。打点の多い打者はそれなりのものを持っている」と話す。松井には打点を挙げる才能が備わってる。しかもそれが重要な局面になればなるほど発揮される。記憶に残るタイプなのだ。
実際、記憶に残る場面は数多い。2003年4月、ヤンキー・スタジアムでのデビュー戦で放った満塁本塁打。同年10月のリーグ優勝決定シリーズ第7戦、同点のお膳立てとなるライト線二塁打。06年9月、左手首骨折から4カ月ぶりで復帰した試合で4打数4安打。そして昨季のワールドシリーズでの大活躍。さらに今季開幕戦でのライト前タイムリーとセンターへの本塁打、などだ。
ライバル相手に本領発揮へ
現在のところ、レンジャーズ戦は17打数1安打で0打点とさっぱりだ。昨季は30打数10安打、3本塁打、10打点と得意にしていたから落差が大きい。松井は「打ち損じもあるかもしれないけれど、いいピッチングをされている」と印象を口にした。丹念にコーナーをついてくるレンジャーズ投手陣に翻弄(ほんろう)されているのだ。しかもクリフ・リーが先発陣に加わってより手ごわくなった。
今季の松井は本調子ではない。それがひざの影響なのか、衰えによるものなのか、それとも今季地区が変わってなじみのない投手との対戦が増えたことによるのか。ただ、そんななかでも後半戦はやらなければならない。
ここ一番では経験が武器になる。状況に合わせた打撃でより多くの走者をかえす。これが松井に求められることである。「選手ひとりひとりが勝つための準備をしっかりすること。(選手個々の)力が合わされば勝てると思う。僕は指名打者だから、打つことを期待されている。打つだけです」と松井。
自分の仕事は分かっている。
<了>