松井秀「打つだけです」=後半戦、勝負の舞台へ

樋口浩一

後半戦がスタートし、マリナーズとの4連戦では11打数2安打に終わった松井秀 【Getty Images】

 エンゼルスがマリナーズとの4連戦を3勝1敗で後半戦のスタートを切った。3連勝後の4戦目を延長の末に落とし、スイープを逸した格好だが、逆転優勝に向けてなんとか及第点の戦いぶりであった。
 しかし松井の成績は及第点とはいえなかった。3試合に出場して11打数2安打、打点は「0」。速球に詰まり、変化球に体勢を崩される、そんな姿が目に付いた。第2戦でヘルナンデスのカーブをライト線に弾き返した二塁打は「甘いボールではなかった。うまく打てた」と自画自賛の一打だったが、第1戦のファースト強襲のヒットはバットを折った当たりで決して納得いく打撃ではなかった。

 松井の前半戦は打率2割5分2厘、10本塁打、47打点。出塁率3割3分4厘で長打率は3割9分8厘。打率、出塁率、長打率、三振数(68)は大リーグ8年間で最悪の成績だった。
 もっとも、エンゼルス打線で不振だったのは松井だけではない。ボビー・アブレイユは打率2割5分7厘だったし、フアン・リベラも2割4分0厘と低迷した。その結果、前半戦91試合のチーム打率は2割5分3厘でアメリカンリーグ11位。得点は1試合平均4.52だった。昨季162試合でチーム打率はリーグトップの2割8分5厘、得点は平均5.45。打率が3分以上下がり、1試合当たり1点少なくなったのが、前半戦で地区首位のレンジャーズに4.5ゲーム離された原因だ。

誤算だらけだったエンゼルス打撃陣

「バッターボックスからの攻撃」
 ソーシア監督は開幕前、これを今季のモットーとした。奇をてらったような言い方だが、単純にバットで得点していく、ということである。1番打者のショーン・フィギンズがマリナーズへ移籍し、機動力が低下したぶん、新戦力の松井と進境著しいケンドリー・モラレス、さらに有望新人ブランドン・ウッドの打力で勝負する目論見だった。
 ところがモラレスは5月末に左下腿(かたい)部骨折で今季絶望。ウッドはメジャーの投手についていけず、松井やアブレイユ、リベラらはスランプにあえいだ。ソーシア監督としては誤算だらけの前半戦であった。

 補強ポイントは強打の一塁手または三塁手。ナショナルズのアダム・ダン、ダイヤモンドバックスのアダム・ラローシュ、オリオールズのタイ・ウィギントンという名が挙がったが、マリナーズ4連戦終了時点で動きはない。見返りになる若手がいないのだ。仮に補強が成功しても、また補強がままならなければなおさら松井の復調は欠かせない。
「彼は打点を稼げる打者。信頼感に変わりはない」ソーシア監督は後半戦に向けてそう口にした。

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。東京外国語大学卒。スポーツ紙でアマチュアスポーツや野球を担当。98年に退社して翌年渡米。以降、東京新聞・中日新聞で、大リーグを中心とした米国のスポーツをレポートしている。

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