DREAM王座挑戦へ、川尻達也インタビュー

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王座挑戦を前に川尻に現在の心境を聞いた 【(C)DREAM OFFICIAL WEB SITE】

「DREAM.15」(7月10日、さいたまスーパーアリーナ)にて、青木真也の保持するDREAMライト級王座奪取に挑む挑戦者・川尻達也にインタビュー。ベルト、期待、夢──。“戦友”青木真也との決戦前にクラッシャーが激白!!

「DREAMのベルト獲ったからってそれで終わりっていう気持ちではない」

川尻にとって青木(右)は「ファイターとしてすごく刺激になる」存在だという 【(C)DREAM OFFICIAL WEB SITE】

──「DREAM.15」で青木真也選手とDREAMライト級タイトルを懸け激突します。川尻選手は、DREAMのベルト、この試合というのをどのように位置づけてますか?

川尻 ベルト獲って僕が世界に出ていくきっかけになる試合だし、応援してくれる人に、形として、ベルトを巻いてるところを見せたいっていう。僕としては、現時点ではDREAMのベルト獲ったからってそれで終わりっていう、そういう気持ちではないですね。それで満足だっていう気持ちではないです。

──それは青木選手が4月にアメリカで敗れたというのが大きい?

川尻 そうですね。やっぱり、(ギルバート・)メレンデスに負けてるっていう。もし、あそこで青木選手が勝ってれば多分、僕もDREAMのベルト獲ったら満足してただろうけど、まあ負けてるんで。明らかにストライクフォースのチャンピオンのほうがDREAMのチャンピオンより上だっていう見方をされてると思うんで。

──川尻選手にとって青木選手はどんな存在ですか?

川尻 ん〜、ファイターとしてすごく刺激になるというか、すごく尊敬できるとこもあるし、格闘技に対する向き合い方とかはすごいので、僕も負けてらんないなっていう。まあ刺激になる選手ですかね。

──人間としては?

川尻 人間としては、よくわかんない。まあ、合うか合わないかっていったら、合わないんじゃないかなって思うけど(笑)。天邪鬼っていうか、素直じゃないから。

──青木選手は川尻選手のことを「好きだけど嫌い」とおっしゃっていました

川尻 人に言われたものをそのまま認めたくないみたいなとこがあるんじゃないですか。何か一ついちゃもんつけてから言う、みたいな。まあ素直じゃないから、そこが魅力だったりするのかもしれないけど、30代の俺からするとイラっとするとこもあるかなっていう。エディ(・アルバレス)とか五味(隆典)君とかだったら、メレンデスもそうだけど、お互いなんかビンビン響き合って「こいつには絶対負けたくねぇな」って思ったけど、(青木は)そういうタイプじゃないし、僕がそうやって言っても向こうがサラっとかわして「何それ?かっこ悪くない?」とか、「そんなマジになっちゃって」っていうテンションだから、僕もそういう気持ちにはならないかな。

──全然性格が違いますよね

川尻 まったく違いますね。闘い方も違うし。

──青木選手は「兄弟同士って仲悪いじゃないですか?」ということもおしゃっていたんですけど、こういうことを言うと嫌かもしれませんが、兄弟って性格違うんですよね

川尻 あ〜、まあ、兄弟じゃないですけどね。あんな弟いたら嫌です(笑)。末っ子っぽいっすね。まあ、僕も末っ子なんですけど。

──そうなんですか? すごい長男っぽいですよね?

川尻 いや、全然ですよ。もう、わがままし放題です。自分が一番正しいと思ってますからね。親に「かわいいかわいい! お前が一番かわいい!」って育てられてきたから、そのまますくすく育って、「俺が一番!」って信じてますからね(笑)。

──何をやっても自分が一番だと

川尻 陸上やってたときも自分が一番だなって思ってたし、格闘技始めて、試合に負けても自分が一番だなって思ってきたし。ここまできたのは本当、親のおかげですね。

──負けても伸びてるっていうのは、相当ポジティブじゃないとできないですよね

川尻 いやもう、最後に勝てば僕の勝ちだと。自分のルールで、途中で負けても最後に勝てば自分の勝ちだと思ってるし。最後まで僕はこの世界にい続けて勝ち続ける自信があるから、うん。そこでもし負けても、立ち止まることはなかったかな。ただ今回はちょっとそこが違って、ここでは絶対に立ち止まれないんで、それは別ですけどね。でも、今までの負けは、今回勝てば「ベルト獲るためにあったものだ」って勝手に解釈しちゃうから。ポジティブっていえば、そうですね。

「2007年のときに比べれば、屁(へ)でもないかな」

K−1では魔裟斗(左)とも対戦。次の試合に勝てば、すべてがいい思い出になるとも 【(C)DREAM OFFICIAL WEB SITE】

──以前、「俺はカリスマとかじゃないですから」っておっしゃっていましたよね?

川尻 自分勝手に好き勝手やらせてもらってますから、カリスマになるタイプじゃないと思いますね。背負う背負うっていっても、まあ背負ってるつもりだけど、試合当日になったら、そんなこと忘れちゃってますからね。リング上がったらそこまで考えてないです。好き勝手闘うっていうか、うん。

──でも、ここ2年間は、主催者からもファンからも、背負わされてきた2年間だったと思うんですよ

川尻 そうですね、うん。

──「PRIDE後の主役2人であってくれ。あるべきだ」って、押し付けにも近かったと思うんですが、それについてはどうでしたか?

川尻 いや別に、嬉しかったかな。ファイターは期待されてナンボだし、うん。それに応えようとも思ってたし。かと言って、それが別に重荷にはならないんで、僕の場合。自分勝手なんで。すべて結果出せてたわけじゃないけど、少なからずパワーにはなってたんで、うん。楽しかったですね。

──結構楽しかったと?

川尻 そうですね。いろいろ大変なこともあったけど、あんまり覚えてないっすね(笑)。いいこと、楽しかったことしか。まだこうやって頑張って生きてるわけですから、苦しいことを考えてもしょうがないからいいことだけを考えて。だからもう、次の試合に勝てば、(ブラック)マンバ戦の後にたたかれたことも、K−1に出たことも、大みそかに(青木との)試合がなくなったことも、すべていい思い出になるかなっていう。

──これまではそういった我慢があったと

川尻 別に我慢してたわけじゃないですけどね。自分なりに自分のやりたいことをやってきたつもりだし、やりたくないことだったら本当にやらないんで。納得してやってきたんで。だから、自分ではそんな大変だと思ってないです。闘えなかったときのほうが大変でしたね。2007年のときのほうが。それに比べれば、屁でもないかなというか。

──今振り返って、2007年のあの一年があって良かったと思えるところはあるんですか?

川尻 精神的には成長したし、ファイターとしてより考えるようになりましたからね。そんときはもう必死だったんですけど。もう本当、「試合させてください」って(笑)。ギリギリでした。

──周りに自分の仕事の説明がつかないわけですからね

川尻 「なんで練習してんだろう?」って気持にもなるし、「何のためにやってるのかな?」っていう葛藤(かっとう)はありましたね。

──その同じとき、青木選手も同じことを感じていたと思うんですけど、そういう意味で共感というのはありますか?

川尻 それはすごくありますね。やっぱあのつらい一年を耐えられたのは、青木真也だったり石田君とかもそうだけど同じ状況の人がいて、「俺だけじゃない。頑張ってるヤツがいる」っていう。当時、DEEP道場に練習しに行っていたのは、青木選手の存在に刺激を受けに行ってたっていうのもあるし。

──そうでしたか

川尻 うん。一人じゃやっぱりあそこまで待ってらんなかったっていうか、練習続けてらんなかっただろうし。不安で、泣きそうな、もう逃げ出したいような、そういう気持ちになっていたかもしれないけど、周りで頑張ってる人がいたんでそういう気持ちにはいっさいならずに、一年間練習し続けることができましたからね。それはもう本当、青木選手や石田君のおかげだと思ってます。

──そういうことを練習後に青木選手と話したりはしたんですか?

川尻 いや、向こうは下ネタしか言わないですからね(笑)。なるべく遠くにいて、話しかけられないように、下ネタに引きずりこまれないように。品の悪い会話しかしないんで(笑)。まあ、プライベートでそんな話すことあんまりないですからね。そんな友達じゃないし、仲間っていう意識もないんで。「戦友」っていう言葉が一番近いかな。だからといって仲良いわけじゃないけど、刺激にはなる相手ですね。

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