イルレタ氏「日本は最も驚かされた代表チームの1つ」=3人のスペイン人指導者が見た岡田ジャパン
クロテット氏「スペインは日本のサッカーから学ぶ時期に来ている」
「今大会の結果を受けてもう少し自信を持ってもいい」と話すクロテット氏(写真) 【Ichiro Ozawa】
「今大会の日本は、自分たちの長所と短所をしっかり見極めているチームだった。コンパクトに素早いサポートで人数をかけて守備を行い、ボールを奪ってからカウンターで攻撃を仕掛ければ、どんなチームが相手でも勝利できるという自信を持ってプレーしているように見えた。
プレスと囲い込みが機能していて、守備面でのオーガナイズは今大会でもトップクラスのチームだったと思う。監督は、素晴らしい仕事をしていたに違いない。なぜなら、日本は代表ではなくクラブチームのようなサッカーをしていたからだ。だから、グループリーグ突破はサプライズでも何でもないと思う」
その上で、クロテット氏は「少なくとも、スペインは日本のサッカーから学ぶ時期に来ていると思う」とリップサービスでも何でもなく真顔で話した。
「日本人の特長は、ディシプリン(規律)と犠牲心で、日本人選手には現代サッカーに必要なスピード、持続性、アグレッシブさの3要素を兼ね備えている。このデンマーク戦は、世界中にサッカーのレクチャーを行ったと言える。サッカーにおいては、ピッチでプレーする11人が共通意識を持ってプレーすることが何より重要で、それがあるチームは時に個の力で劣っていても素晴らしいサッカーで勝利できる」
クロテット氏は最後に、日本のサッカー界に対してこんな言及もしてくれた。
「わたしはいつも、日本の関係者に話しているのだが、日本のサッカーは日本人が考えている以上にレベルが高い。リーグや選手、監督のレベルが高いし、組織としてのオーガナイズ能力に長け、しっかりした協会を持っている。また、サッカーにかかわっている人間は皆、誠実かつ勉強熱心だ。日本人はあまりに謙虚すぎるので、今大会の結果を受けて、もう少し自信を持ってもいいように思う」
正当な評価を、正当に受け止めることを学ぶべき
W杯のような大舞台で自分たちの力を100%出し尽くすことの難しさは、ベスト4入りしたとはいえ、本領発揮とまではいっていない今のスペイン代表を見ていればよく分かる。スペインのみならず、世界中が今大会の日本代表の戦いぶりを見て、日本サッカーや日本人選手のポテンシャルの高さに驚いたのは紛れもない事実だ。
今大会の日本の戦いぶりを見ると、攻撃面での連係や技術、パスの精度など、当然ながら課題も残った。リーグ戦文化が定着し切っていない環境下にある選手の育成面など、各分野での改革も進めていかなければならない。だからこそ、検証や分析は必要不可欠であり、海外から届く高い評価や賛辞はその上での貴重な材料となる。これらを冷静に、素直に受け止め、今後につなげるべきだろう。褒められることに慣れていない日本人、日本サッカー界にとっては、多少の困惑があるかもしれない。だが、「海外」「世界」といった言葉に劣等感を持つことなく戦い抜いた日本代表同様に、われわれも今、海外からの正当な評価を、正当に受け止めることを学ぶ時期にあるのではないか。
<了>