石川遼、「攻めのゴルフ」で賞金王=スポーツナビアワード2009受賞記念コラム

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6月のミズノオープンよみうりクラシックでの優勝を皮切り、2009年は日本ツアー4勝を挙げた石川遼 【Photo:YUTAKA/アフロスポーツ】

 2009年12月6日、18歳の石川遼に新たな伝説が生まれた。今季の日本ツアーで4度の優勝を飾り、海外での成績と合わせた獲得賞金総額を1億8352万4051円とし、史上最年少での賞金王を獲得したのだ。これはジャンボ尾崎が1973年に記録した26歳からの大幅な更新だけでなく、海外の主要ツアーにおいても史上最年少記録となっている。
 “ハニカミ王子”から、“プロゴルファー・石川遼”へ成長したプロ1年目。そして、プロゴルファーから“賞金王・石川遼”へと飛躍したプロ2年目を振り返る。

海外初挑戦と日本ツアー4勝を挙げた2009年

 石川の2009年は、海外への挑戦を開始した年である。米男子ツアー初参戦となった2月のノーザントラストオープンでは、開幕前の公式会見で、「ハロー、アメリカ!」とつかみのあいさつ。これは、タイガー・ウッズがプロ転向後最初の会見で言った「ハロー、ワールド!」を意識したもので、この一言で海外メディアのハートをつかんだ。同大会での予選突破はならなかったが、2戦目となった3月のトラジションズ選手権できっちり予選突破を果たし、米男子ツアーでの日本人選手最年少予選通過記録を更新した。

 海外での戦いの中で一番大きな経験となったのが、4月に行われた海外メジャー初戦、マスターズ・トーナメントだろう。主催者の特別招待選手として選ばれたが、17歳6カ月での出場は、史上2番目の年少記録。結果は2日間トータルが5オーバーの予選落ちだったが、海外メジャー大会の雰囲気をつかむ好機となった。

 一方、国内ではツアーの顔として、多くのギャラリーを引きつれてラウンド。石川の躍進は、6月のミズノオープンよみうりクラシックでの優勝からスタートする。10月にはホストプロとして臨んだコカ・コーラ東海クラシックで優勝し、シーズン4勝目を達成。そのほかトップ10入りも6回とコンスタントに成績を残し、賞金ランクトップへと突き進んだ。最終戦のゴルフ日本シリーズJTカップでは、賞金王を争った池田勇太の成績を上回り、最終的に約2500万円差をつけ史上最年少賞金王を決めた。

夢の「マスターズ優勝」へ次の一歩を踏み出す

 石川の強さ、それは数字にも表れた。年間のデータでは、平均ストローク数69.93、平均パット1.7235、バーディー率4.42と、3部門でランキングトップ。これは、どんなホールでもバーディを狙うという「攻めのゴルフ」が花開いたということ。また、昨年は9回だった予選落ちも、今年の国内ツアーでは序盤の2回のみで、ティーショットが曲がり始めても、すぐに修正し、大崩れしない粘りを見せたことが、2年目の大きな成長だった。

 15歳のツアー初優勝から、18歳で賞金王まで駆け上がった石川遼。さらなる飛躍が期待される2010年、次なる挑戦はやはり海外ツアーでの活躍に注目が集まる。
 現時点で、マスターズの出場権は獲得しているが、全米オープン、全英オープンも例年の出場資格に照らし合わせると、ほぼ出場権を手中に収めたものと考えられる。(どちらも開催前年の日本ツアー賞金ランク上位2人に与えられるため)
 また世界ゴルフ選手権(WGC)シリーズへの出場も見込まれるため、今年以上に海外での戦いが増えるだろう。

 日本人選手の海外ツアー優勝経験者は、青木功、丸山茂樹、今田竜二の3人のみ。この3人に続くために、今後世界のトッププレーヤーたちとの戦いが始まる。
 そして小学校6年生の卒業文集で記した8年後の自分、「マスターズ優勝」という夢をかなえるために、石川遼が新たなる一歩を踏み出す。

<了>
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