ヨーコ・ゼッターランドのW杯女子見どころ 柳本ジャパン、五輪出場権獲得の可能性は?

ヨーコゼッターランド

11月2日、北京五輪をかけたワールドカップが開幕する。日本は、大会ホスト国の地の利を十分に生かしたい 【坂本清】

 スポーツイベントめじろ押しの今秋。そんな中、11月2日から約1カ月間にわたって、女子と男子のバレーボールワールドカップ(以下、W杯)が開催される。

 スポーツに詳しい方はご存知かもしれないが、近年あまりにも日本で開催されるバレーボールの大会が多いため、このW杯がどのような位置付けにあるのか分かりにくい方も少なくないはず。補足すると、W杯は4年に1度、五輪前年に行われる大会で、バレーボールにとっては現在1番早く五輪出場権を獲得できる大会である。以前は優勝、または五輪出場権を得ていないチームのうち最高順位でW杯を終えたチームに五輪への切符が与えられていた時期もあった。しかし、現在ではW杯の上位3チーム、ということで落ち着いている。
 1965年に第1回大会が開催されたW杯は、1977年以降は30年間にわたって、日本が開催地となっている。本来ならば大陸予選を勝ち抜きW杯の出場権が得られるのだが、大会ホスト国の枠で、これまで日本はほとんどの大会に出場することができた。今回のW杯も十分に地の利がある。出場国は男女各12チーム、15日間で11試合を戦うことになる。

五輪出場権獲得への「舞台は整った」

 柳本晶一監督率いる全日本女子がW杯で上位3チームに入るためには、どのように戦っていく必要があるのか。まずは日程などの物理的条件はどうか?

 これはホームコートアドバンテージのある日本が一番有利であることは間違いない。時差ぼけもなく、他国と違って長時間のフライトもない。15日間の試合スケジュールは、3連戦1休→2連戦1休→3連戦2休→3連戦となっている。
「連戦の疲れ」はどのチームにも生じる可能性があるが、選手の経験から言わせていただくと、国際レベルで戦うものにとって、「疲れているからパフォーマンスが落ちている」などという評価をされるのは大変屈辱的なことである。たとえ事実であったとしても、自他共に決して大会中は認めてはならないことのひとつである。従って、連戦の条件は同じだ。その中でも日本は移動しやすい、東京→大阪→札幌→名古屋の順で、全日程共に最終の第3試合、18時もしくは19時半からの試合開始である。言うまでもなく、連戦の中で体調とチーム全体のリズムを整えることは大切な要素だ。日本にとってW杯でこれ以上の物理的好条件は考えられない。このことにおいてはファンの応援を含め、「舞台は整った」のである。

連勝スタートで開幕ダッシュなるか

昨秋の世界選手権銅メダルのセルビア(大会当時はセルビア・モンテネグロ)。快進撃の再現なるか 【坂本清】

 次に出場国を、日本の対戦順に見ていきたい。

ドミニカ共和国……FIVB(国際バレーボール連盟)推薦。北中米ゾーンの中で近年台頭してきているチーム。粗削りな面もあるが、豊かなバネと高い身体能力を持つ。キューバや米国を破ることもある。

韓国……アジア選手権4位。大型チームに切り替え、新陳代謝を促すも安定感が出てきていない。かつての韓国チームの特徴であった正確無比なレシーブ力、粘りのあるつなぎやどん欲さが影を潜めている。最近の対戦成績では、日本が上回っている。

セルビア……欧州選手権2位。セルビア・モンテネグロとして参加した昨年の世界選手権では3位と大躍進。ロシアやポーランド、オランダなど強豪を抑えてのW杯出場。アジアのチームとの対戦でも同じ力を発揮するか。

タイ……アジア選手権3位。近年アジアの中で台頭してきている楽しみなチーム。セッターを中心にまとまりがあり、先ごろのアジア選手権でも日本からセットを取っている。

イタリア……欧州選手権1位。言わずと知れた強豪国。W杯では優勝候補の筆頭に挙げても異論はないだろう。

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著者プロフィール

1969年、米国(サンフランシスコ)生まれ。6歳から日本で育ち、12歳で本格的にバレーボールを始める。早稲田大学卒業後に単身渡米し、米国ナショナルチームのトライアウトに合格。USA代表として1992年バルセロナ五輪で銅メダルを獲得し、1996年アトランタ五輪にも出場した。現在はスポーツキャスターとして、各種メディアへ出演するほか、後進の指導、講演、執筆など幅広く活動している。

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