もがき苦しむ福留、徹底的な弱点分析=小グマのつぶやき from シカゴ
“してやられた”シーン振り返る
スカウト評価で「打ち取りやすい打者」と指摘されたカブスの福留 【写真は共同】
これは、偶然ではないと思うのだが、福留が内角攻めと、この外角スライダーで完ぺきに“してやられた”というシーンがあった。6月24日、オリオールズ戦の9回1死満塁で守護神の左腕ジョージ・シェリールと対戦したときだ。そのときの攻めを振り返る。
初球:内角高めの胸元すれすれの球→ボール。福留はのけぞり、その勢いでバッターボックスから飛び出した。
2球目:外角ストレート→福留は見逃し、ストライク。
3球目:外角スライダー(ストライクからボールになる球)→福留は空振り。
4球目:3球目とほとんど同じコースの外角スライダー→福留は空振り。体重が前のめりになり、くるっと1回転した。
これが他球団にとって“最高のサンプル”になったのかは分からないが、「内角を突いて外の変化球で打ち取る」という攻めは7、8月と多くなった。
福留自身も把握しているのだが…
もちろん、こういった傾向を、福留自身も理解はしている。彼は開幕当初と夏場の投手の攻め方について、「外だけじゃなく、内も使うだろうし、速い球もあれば、遅い球も変化球もあるだろうし。そういうのが多く混ざるようにはなっている」。そして「それが当たり前」と話した。ただ、分かってはいても、他球団が分析した弱点(福留は違うことを思っているかもしれないが)を、克服できないでいる。
福留の口癖は、「1年を通してやってみないと分からない」。打撃のアプローチが正しいのか、正しくないのか。それはシーズンの途中では「判断できない」。ただ、もう9月も半ばを迎える。シーズンの終わりがすぐそこまで迫っている。開幕戦で踊った“偶然だぞ”のプラカード。それが今は少し皮肉に感じる。福留が再びヘルメットを高々と抱げるシーンが今季見られるのだろうか。シカゴの街は、すっかり秋の気配が漂い始めている。
<了>