梶谷、筒香復帰でDeNAに反攻の兆し 投打の“ねじれ”解消で混セの中心へ

日比野恭三

5月以降に最大借金を6まで減らす

復帰2戦目、5日のヤクルト戦では本盗を決めるなど、持ち味のスピードでチームに勢いを与える梶谷 【(C)YDB】

 横浜DeNAが反攻の兆しを見せている。5月3日以降の3カード(対東京ヤクルト・広島・中日)を6勝3敗と波に乗り、続く阪神との3連戦では4カード連続勝ち越しこそ逃したものの、3試合目の9回に同点に追いついて1勝1敗1分で乗り切った。

 これで最大11あった借金は6に減り、首位巨人とは5.5ゲーム差(5月17日終了時点)。上位進出も狙える位置まで巻き返した。チームが息を吹き返したのは、故障で出遅れていた梶谷隆幸の復帰によるところが大きい。

梶谷復帰以降にチーム盗塁増

 今季初出場を果たした5月4日に先制タイムリーを含む2安打を放つと、翌5日には初回に三盗、さらにホームスチールを成功させて、連日ヒーローとなった。たった1人の選手の復帰が、ここまでチームの雰囲気を変えるとは――。現場で取材をしていて感じた、偽らざる思いだ。

 梶谷が不在だった31試合でわずか6個だったチーム盗塁数は、その後の12試合で10個も増えて16個となった(そのうち梶谷が5盗塁)。このデータが象徴するように、攻撃に一気に躍動感が生まれた。

 5月10日には、右腹斜筋の軽度の肉離れで登録を抹消されていた筒香嘉智が復帰。その第1打席でいきなりホームランを放ち、さらにチームを勢いづけた。

駒不足による序盤戦のつまずき

 思えばDeNAが序盤戦からつまずいたのは、単純に“駒不足”という色合いが強かった。特に打撃陣は、新助っ人のロマックが結果を出せず、長打を打てる1番打者として起用された白崎浩之も打撃不振に苦しんだ。

 ラミレス監督は、開幕当初は2番だった荒波翔を3番で使ってみたり、起爆剤となることを期待して若手や控えの選手をスタメンに抜擢したりと打撃低迷脱出の糸口を探ったが、なかなか安定した打線を組むことができないまま厳しい戦いを強いられることになった。

桑原、乙坂、関根ら若手の競争激化

復帰後、すぐさま本塁打を放つなどチームに好影響を与えた主砲・筒香 【(C)YDB】

 筒香が登録を抹消され、梶谷もまだ復帰していなかった4月29日から5月3日の4試合は、主軸不在、野手の戦力的にはまさに“どん底”だったと言っていい。

 だが、暗がりが深ければ深いほど、光は明るく感じられる。梶谷、そして筒香が続けざまに復帰し、早々に持ち味を出して活躍したことは、直前のチーム状況が“どん底”だっただけになおさら明るい材料としてチームを活気づけたように思う。

 さらにレフト筒香、センター梶谷と外野のポジションが2つ埋まったことで、残り1枠をめぐっての競争が激化したこともプラスに捉えられる。右打者では桑原将志、左打者では乙坂智と右肩の脱臼から復帰した関根大気。互いを刺激し合う若手の競争は、チームにさらなる活気をもたらしている。

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著者プロフィール

1981年、宮崎県生まれ。2010年より『Number』編集部の所属となり、同誌の編集および執筆に従事。6年間の在籍を経て2016年、フリーに。野球やボクシングを中心とした各種競技、またスポーツビジネスを中心的なフィールドとして活動中。

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