イチローに迫る驚異の安打ペース――西武・秋山、偉業の“Xデー”を占う

ベースボール・タイムズ

歴史的瞬間は近い

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 いよいよカウントダウンの時が近づいてきた。埼玉西武の大卒5年目、秋山翔吾が、8月までのシーズン121試合を終えた時点で計188安打をマーク。今季の残り22試合で、12安打を放てば史上6人目7度目の200安打を達成、27安打を放てば2010年にマートン(阪神)が記録したシーズン最多安打記録(214安打)を更新する。果たして、新記録は無事に達成されるのか!? そして、歴史的瞬間の“Xデー”はいつになる!?

新たな打撃フォームで安打を量産

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 開幕前から予感はあった。昨年はけがに苦しめられたが、オフに右肘のクリーニング手術を受けて迎えた今年は、万全の体調でキャンプを過ごし、オープン戦では12球団トップとなる打率4割5分9厘をマーク。「一番変わったのは打ち方。構える時にグリップの位置を下げて、バットを少し寝かせた」と秋山。その“新”打撃フォームを見た野球解説者の駒田徳広氏も「昨年まではバットが立ち気味で、少し遊ぶような動きをしていたけど、今年はトップの位置がバシッと決まって、ラケットで打ち返すような面がちゃんと出せている」と評価。「今年の秋山は首位打者を取る」と太鼓判を押していた。

 いざ開幕を迎えると、秋山は期待以上の好発進を見せる。開幕戦でのマルチ安打から3・4月の25試合で40安打(打率3割7分4厘)を放つと、翌5月も27試合で40安打(打率3割3分6厘)と好調をキープ。そして6月に入ると連日に渡って快音を響かせ、22試合で43安打(打率4割4分8厘)をマークし、オールスター前までに140本の安打に到達。その間、歴代3位となる31試合連続安打も記録した。

 7月は21試合で29安打(打率3割5分4厘)。8月半ばにややペースダウンしたが、8月29日の東北楽天戦(コボスタ宮城)で今季3度目となる4安打の固め打ち、同31日にも今季24度目の猛打賞をマーク。最終的に8月も26試合で36安打(打率3割4分3厘)を放ち、シーズン200安打まで残り12本というところまでたどり着いた。

イチローに次ぐハイペース

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 シーズン200安打達成者は過去5人。日本球界で初めてシーズン200安打を達成した1994年のイチロー(当時・オリックス)の安打ペースを振り返ると、31試合目で50安打、60試合目で100安打、91試合目で150安打、122試合目で200安打に到達。最終的にシーズン130試合で計210安打を放った。だが、これを今季と同じ143試合制に換算すると231安打を放つ計算になる“史上最多”ペースだった。

 シーズン試合数が140試合を超えた05年以降、同年の青木宣親(当時・ヤクルト、202安打)、07年のラミレス(当時・東京ヤクルト、204安打)、さらに10年にはマートン(阪神、214安打)、青木宣親(当時・ヤクルト、209安打)、西岡剛(当時・千葉ロッテ、206安打)の3選手が200安打をクリア。その中で現在の日本記録である10年のマートンの安打ペースを見ると、34試合目で50安打、66試合目で100安打、104試合目で150安打、134試合目で200安打に到達している。

 一方、今年の秋山は、31試合目で50安打、63試合目で100安打、93試合目で150安打に到達。8月に入って“史上最多”のイチローからは離されたが、依然としてマートンの日本記録を超えるハイペースを維持している。

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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