ひと月に35日間も雨が降る屋久島 快適な登山のためのレインウェアとは?
【写真提供:デサント】
そんな屋久島ですが、実は「1カ月に35日間も雨が降る」と言われるほど雨が多い土地。「屋久島の海には黒潮という暖流が通っています。屋久島には平地が少なく、この暖流によって暖かく湿った空気が、突然1000m〜2000mの高い山々にぶつかるため、雨になりやすいんです。たとえ島の沿岸部では雨が降っていなくても、山では降っているということも多いですね」と話していただいたのは、若手ネイチャーガイドとして屋久島で活躍される「屋久島ガイドオフィス 山岳太郎」の渡辺太郎代表です。
屋久島ではレインウェアが必須!
【写真提供:デサント】
「何を当たり前のことを」と感じる方も多いかもしれません。しかし、往復で11時間程度を要する縄文杉の日帰りルートでも、ビニール合羽やポンチョといった軽装で臨むハイカーがちらほらと見かけるのだそうです。
「屋久島で雨が降るのは仕方がないことですし、雨雫で森の苔がより美しく生えるというプラスの面もあります。ですので、雨の日でも積極的に屋久島の自然を楽しむため、どんなに『今日は雨が降りそうにないなあ』と思っても、リュックサックにレインウェアを入れて出かけてほしいのです。また、宮之浦岳だと標高が高く森もなくなるため風も強くなります。夏場でも最低気温が12.2度と晩秋なみに冷え込むこともありますから、防寒・防風のためにも必要なのです」
なるほど。では屋久島トレッキングに向けたレインウェアを選ぶポイントは何でしょうか?
「蒸れない」素材を選ぼう
【写真提供:デサント】
ポンチョタイプなら荷物ごと雨から守れますし、防水透湿素材ではなくても風抜けがよさそうですが…。
「場所によっては強風が吹くこともあるので、ポンチョタイプだと風にあおられてしまうこともあります。生地が弱いと、長時間のルートではボロボロになってしまいます。そう考えると、ジャケットとパンツが上下で分かれ、耐久性が高い登山用のレインウェアがおすすめですね」
快適なウェアなら、屋久島をもっと楽しめる
【写真提供:デサント】
「夏の屋久島の場合、下はシャツ1枚で大丈夫ですので、比較的ジャストサイズを選ばれた方が、風にバタつくこともなく快適だと思います。寒がりな方や、春秋でも、厚手のシャツや薄手のフリースが下に着られれば大丈夫でしょう」
防水透湿素材、上下セパレート、ジャストサイズですね。
「私も最近ゴアテックスのレインウェアを新調したばかりなんですが、やっぱり快適ですね(笑)。雨に降られていても心身ともに疲れないので、『ちょっと寄り道しようか』とか、『あの苔の写真を撮ろうか』とか、自然を楽しむ余裕が出てくるんです。やっぱりいいものを用意することで、その日が『単につらかった1日』になるか、『充実した1日』になるかが変わってくると思います」
ムレを甘く見たことによって、不快な旅になってしまうことも多いと聞きます。気候に合わせて、何を着るのかは重要ですね。それと同時に雨や湿気で着替えやカメラ等が濡れてしまわぬようリュックサック用のレインカバーもお忘れなく。
防水透湿性素材を用いたさまざまなタイプのレインウェアがあります。屋久島など、アウトドアに出かける際はぜひ快適なレインウェアを探してみてください。
(熊山准、編集協力/プレスラボ)
■渡辺太郎 山岳太郎(sangakutaro.com)代表
1977年東京都出身。幼い頃の夢であった羊飼いを学びに訪れたニュージーランドで、自然の魅力に取りつかれる。帰国後、屋久島で出会った自然や島の生活からネイチャーガイドを志し東京から移住。資格に日本山岳ガイド協会登山ガイドステージ2、アドバンスドスクーバライセンス、日赤救急法救急員など。2005年にはキリマンジャロ、2014年にはアコンカグアへの登頂に成功している。
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