佐賀記念2着のシンメデージー(高知)と吉原寛人騎手が参戦!狙いは5番枠より外/佐賀・はがくれ大賞典データ分析

佐賀県競馬組合
チーム・協会

2024年優勝セイカメテオポリス 【撮影:佐賀県競馬組合】

第22回 はがくれ大賞典 (地方全国交流、3歳以上、ダート2000m)
3月30日佐賀6レース 18時15分発走予定


全国各地から中長距離が得意な馬が集う一戦。東京ダービーやジャパンダートクラシックで地方最先着のほか、先月の佐賀記念でJRA馬に交じり2着だったシンメデージー(高知)が今年は参戦。さらにJBCクラシック4着のシルトプレや南関東からの遠征馬など豪華メンバーが揃った。
ここでは2015年~24年の過去10年のデータを元に分析する。

兵庫勢が最多6勝も、カラクリが

最も勝利を挙げるのは兵庫で6勝だが、ここにはエイシンニシパの4勝(18~19年、21~22年)が含まれているため数字の扱い方には注意が必要。21年までは1着賞金300万円だったため、遠征してくるのは立地的にも近い兵庫や高知が基本的に多かったが、22年に500万を経て23年に1着600万円に増額されると、川崎と大井から各1頭が遠征し、メイショウワザシ(大井)が3着。昨年は一気に1000万円の高額賞金が設定されたことで戸塚記念など重賞4勝を挙げるセイカメテオポリス(大井)が参戦して勝利を収め、3着もユアヒストリー(船橋)と南関東の馬が上位に入った。

所属別成績 【表1】

勝ち馬は4番人気以内から

過去10回すべてで勝ち馬は単勝4番人気以内から出ている。そのため、過去10回中7回で3連単1万円未満と堅い決着となりやすい。最も人気薄の勝利で20年キングプライドの4番人気で単勝16.5倍だった。
一方で、単勝1倍台の1番人気が4着以下に敗れると3連単は万馬券となり、過去10回で最高額配当は23年20万3330円(3番人気→5番人気→4番人気)だった。

単勝人気別成績 【表2】

好位~中団で脚を溜められる馬

舞台となる佐賀ダート2000mは向正面の引き込み線からスタートし、コースを1周半、コーナー6回のコース。佐賀競馬場としては最初のコーナーまでは距離があるコース設定だ。

佐賀競馬場 【コース図】

向正面をいっぱいに使ってポジション争いができることもあり、最も勝利を挙げるのは先行で8勝。3着内率も5割に迫る勢いだ。また、中距離戦らしく差しも届き、2勝を挙げるが、対照的に逃げは未勝利。2着と3着も1回ずつで、好位~中団で脚を溜められる馬の方が良さそうだ。

脚質別成績 【表3】

5番枠が絶好枠!内枠は要注意

馬番別成績は下表の通り。内枠の成績が芳しくないことがよく分かる。それはコース形態に由来しており、向正面をいっぱいに使ってポジション争いができるため、真ん中より外の馬たちがダッシュをつけて前目の位置を取りにくることができる。そうなると、内枠の馬はよっぽどダッシュを利かせないと位置取りが1列、2列後ろになってしまいかねないのだ。
内枠で唯一勝利を挙げる1番枠も実は一昨年までの過去9回では未勝利だった。それが、昨年は重賞4勝の実績を持つセイカメテオポリス(大井)が最内枠に入り勝利。鞍上・吉原寛人騎手(金沢)が好ダッシュをつけ、逃げ争いとその後続の間にわずかなスペースができるやいなや、馬に負担をかけることなくスッと外に誘導した騎乗もお見事だった。スタートしてからわずか12秒ほどでの場面。さすが全国各地の重賞で引っ張りだこな人気騎手という騎乗だったが、裏を返せばそれだけ人馬共に実力が抜けていないと内枠克服はハードルが高いということだろう。

馬番別成績 【表4】

4歳馬シンメデージーの可能性は?

今年の出走馬で目玉は佐賀記念2着の実績を持つ4歳馬のシンメデージー(高知)。3歳時のダート三冠のみならず、古馬JRA馬との戦いでも上位入着を果たす。
ただ、はがくれ大賞典においては4歳馬の出走はそう多くはなく、過去10回は未勝利。前年の九州ダービー栄城賞を勝ったキングプライドと、前年の兵庫ダービー馬スマイルサルファーの2着が最高だった。しかし、ダートグレード競走で3着以内に入った実績のある4歳馬の参戦は今回が初めてで、単純にデータに当てはめるのは早計かもしれない。
なお、最も勝利を挙げ、勝率、連対率、3着内率いずれも高いのは5歳馬だった。

馬齢別成績 【表5】

初の58kgを背負う馬

別定戦で斤量は牡馬56kg、牝馬54kgが基本だが、JRA時代にJpnII2勝のデルマルーヴルは58kgを背負う。過去10回で58kgを背負った馬は下表の通り該当ナシだが、同馬は南関東時代の2走前に川崎・報知オールスターカップで58kgを背負っていた。

斤量別成績 【表6】

南関東馬を狙うなら直近5走に注目

これまでの実績から傾向を探る。
まずは最も勝利を挙げる兵庫所属馬など西日本の実績馬を対象としたのが「白鷺賞3着以内」。白鷺賞は1~2月に姫路競馬場で行われる重賞で、当レースと同距離。1周半するコースも当レースと似ており、親和性が高いと思われる。20年に復活した重賞レースのため、過去5回のデータとはなるが、23年白鷺賞3着だったグリードパルフェ(高知)はその後、当レースを勝った。
地元馬を対象としたのは「前走・佐賀2000mで1着」。距離実績のあるのは一つのアドバンテージとなる。
そして一昨年から参戦が見られる南関東馬を対象としたのは「南関東の2000m以上で1着、または重賞2着以内(いずれも直近5走以内)」で、南関東馬で3着以内に入った全頭が当てはまった。

キャリア別成績 【表7】

データからの推奨馬は?

①上位人気(特に勝ち馬)
②先行、差し馬
③5番より外枠(5番だとなお良し)
④5歳馬
⑤白鷺賞3着以内、前走・佐賀2000m1着、南関東所属馬で地元2000m以上で1着or重賞2着以内(直近5走)

まずは何と言ってもシンメデージー(高知)。昨年は東京ダービーJpnI4着、ジャパンダートクラシックJpnI5着とダート三冠でJRAや南関東の馬に混ざって地方最先着を果たすと、初の古馬戦となった暮れの名古屋大賞典JpnIIIでクビ+4分の3差の3着。さらに前走は佐賀記念JpnIIIで2着だった。名古屋大賞典は4コーナーから直線で望む進路を取れず砂の深い所を走らざるを得ず、佐賀記念はスローペースと展開が向かなかった面はあるが、直線では必ず伸びてくる。唯一不安点を挙げるとすれば、佐賀記念での走破タイム2分9秒1(重)で、過去のはがくれ大賞典の勝ちタイムとそう変わらないこと。ただ、今年の佐賀記念はいつも以上に内を大きく空けて走っており、その分の距離ロスを考えればタイムはそこまで気にしなくていいかもしれない。いずれにしても実績は出走馬中ズバ抜けている。①②③に当てはまる。

オディロン(兵庫)はJRA時代にリステッドで4着が3度ある馬。兵庫移籍後は2連勝中で、前走・白鷺賞を勝って重賞初制覇を果たした。長い距離での活躍が期待される馬で、兵庫所属馬も当レースは好成績。鞍上の吉村智洋騎手(兵庫)は大晦日のレース中に落馬し休養していたが、今週25日に復帰初戦で勝つと、翌日には騎乗機会4連勝を果たすなど早速活躍している。成績が芳しくない内の3番枠に入り、腕の見せどころだろう。①②⑤に該当。

地元大将格はシルトプレ。JBCクラシックJpnI4着までは北海道所属だったが、レース後にそのまま佐賀に移籍し、年末のファン投票重賞・中島記念を制覇した。前走・佐賀記念ではスローペースを嫌ってか後方から早めに動く形になり6着だったが、地方馬同士ならある程度前目のポジションを取れるし、昨夏のJRA札幌で4着だったエルムステークスGIIIのように後方から末脚を伸ばすこともできる。①②に該当。

好枠の5番枠に入ったのはデルマルーヴル。メンバー中、唯一の58kgを背負うが、2走前に経験した斤量だ。移籍初戦は後述するコスモファルネーゼから5馬身差の2着だったが、実績から巻き返しも十分あり得る。

「前走・佐賀2000m以上で1着」に唯一当てはまるのはコスモファルネーゼ。ただ、2走前の白鷺賞は12着に敗れており、そこから考えるとどうか。

第22回 はがくれ大賞典 【出馬表】


文・大恵陽子(おおえ ようこ)
競馬リポーター。小学5年生で競馬にハマり、地方競馬とJRAの二刀流。毎週水曜日は栗東トレセンで、他の日は地方競馬の取材で全国を駆け回る日々。グリーンチャンネル「アタック!地方競馬」「地方競馬中継」などに出演のほか、「優駿」「週刊競馬ブック」「うまレター」「馬事通信」など各種媒体で執筆。
「大恵総合研究所」なるデータ分析機関を勝手に設立し、現場取材で得た騎手・調教師などの談話をヒントに、馬場傾向やレース傾向を導き出して精度向上に励む。
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著者プロフィール

佐賀競馬は九州唯一の地方競馬場として主に土日に競馬を開催しています。注目の重賞情報やイベント情報など、佐賀競馬のニュースを日々お届けいたします。

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