今季ベストゲームの背景に、それぞれが意識した“激しさ”というトヨタVらしさ

【©ジャパンラグビーリーグワン】

第9節終了時点で、12位・浦安D-Rocksと11位・トヨタヴェルブリッツ(以下、トヨタV)のゲームは、トヨタVが勝利。連敗を『5』で止め、今季2勝目をつかみ、10位に浮上した。

怒とうのアタックだった。キックオフから1分足らずでラインアウトの流れから中央を切り裂き、ジョシュ・ディクソンが先制トライを奪うと、前半5分と同11分には彦坂圭克が連続トライ。すべてのコンバージョンゴールも成功させ、わずか12分で21点のリードを奪った。結果的にこの電光石火のトライラッシュが、約1カ月半ぶりの勝利を手繰り寄せた。

試合後の会見、スティーブ・ハンセン ヘッドコーチ/D.O.Rは開口一番に選手たちを称えた。「特に前半の20~30分間は3トライを獲得し、ボールを大事にして、いいディフェンスもできていました。今季の中でも非常にいいラグビーができたのではないかなと考えております」。そして、勝つために重要としていた、“ボールを大事にすること”と“ボールを奪い返すこと”に対しては「今季の中でもベストでした」と目を細めた。

その“舞台裏”を明かすのは、この苦しい期間、負傷離脱する姫野和樹に代わりゲームキャプテンを務めることが多かった彦坂だ。会見中、真横でヘッドコーチの言葉を聞いていた2番は「この1週間、『トヨタVのラグビーをしっかりと自分たちで体現しよう』『(特定の)誰かではなく、一人ひとりがトヨタVのラグビーである激しさを出していこう』と言っていました」と語り、自らが先頭に立ってその言葉を体現するかのように今季初の1試合2トライでプレーヤー・オブ・ザ・マッチにも輝いた。

「うまくいかないことが続いていたので(この勝利は)本当にうれしいです。これを1回で終わらせずに積み重ねていけるように頑張っていきたいです」

後半戦の巻き返しへ。JヴィレッジスタジアムでトヨタVの反撃への号砲が確かに鳴り響いた。

(須賀大輔)
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