【週刊グランドスラム293】東京スポニチ大会は3月8日に開幕!! 勝負のシーズンに臨む川原嗣貴(Honda鈴鹿)
コロナ禍の2020年に大阪桐蔭高へ入学した川原は、2年夏から甲子園のマウンドに立ち、3年春は一回戦で鳴門高を相手に6安打1失点で完投勝利。広島商高がコロナに集団感染して二回戦が不戦勝になると、国学院久我山高との準決勝でも7回を2失点と好投し、近江高との決勝は8回から登板して胴上げ投手となる。
夏もベスト8進出の原動力となり、大会後にはU-18日本代表に選出されてワールドカップに出場する。先発、リリーフにフル回転して銅メダル獲得に貢献し、最優秀投手、リリーフ投手でベストナインを獲得すると、プロ志望届を提出する。だが、バッテリーを組んだ松尾汐恩は横浜DeNAから1位指名されるも、川原には指名がなく、さらなるスキルアップを目指してHonda鈴鹿へ入社する。
188cm・85kgの恵まれた体躯は、チームでもひと際目立っていた。また、ブルペンで投げ込むストレートには重量感があり、見ているだけでわくわくしたのを覚えている。それでも、「自分に必要なことを、自分で考えてやるHonda鈴鹿の風土が合いました」と徹底した体力強化に取り組み、公式戦の登板は9月に行なわれた日本選手権東海最終予選からだった。
「どうすればチームを勝たせられるのか」を追求して主戦格に
1回裏に連打と犠打で一死二、三塁とされるも、このピンチを連続三振で切り抜けると、5回まで1-1の投手戦で抜群の安定感を発揮。6回以降はひとりも走者を許さず、8回表に伊藤雄紀のソロ本塁打で挙げた1点を完投で守り切る。こうして、川原は主戦格に躍り出る。
だが、都市対抗、日本選手権とも本大会出場を逃し、「どうすればチームを勝たせられるのか」と葛藤したという。それでも、常に自分の投球を反省し、マウンドでは積極的に野手へ声をかけたことで、チームメイトからの信頼を深める。今季から指揮を執る眞鍋健太郎監督からは「相手を制圧して、味方を支配する活躍を見せてほしい」と言われ、「この言葉は胸に刺さりましたし、圧倒的な活躍を見せたいと思っています」と3年目に臨む。
今季の初登板では、どんな投球を見せてくれるか。Honda鈴鹿の戦いぶりとともに見逃せない。また、4月2日に刊行予定の『グランドスラム65』では、この川原をはじめ、今季の飛躍が期待される28名の選手をカラーグラフで取り上げる。ぜひ、お楽しみに。
【取材・文=横尾弘一】
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