【週刊グランドスラム293】東京スポニチ大会は3月8日に開幕!! 勝負のシーズンに臨む川原嗣貴(Honda鈴鹿)

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着実に力をつけ、勝負の3年目を迎えた大型右腕の川原嗣貴(Honda鈴鹿)。 【写真=横尾弘一】

 社会人野球シーズンの幕を開ける第79回東京スポニチ大会が、3月8日に神宮球場、横浜スタジアム、等々力球場に15チームを集めてプレイボールとなる。日本製鉄かずさマジックの出場辞退で一部変更となった日程は以下である。

【第79回東京スポニチ大会組み合わせ】

 優勝チームには日本選手権の代表権が与えられるため、一番乗りでそれを手にするチームが決まる戦いは白熱必至。また、高いポテンシャルを備えたルーキーや、成長著しいヤングパワーの躍動も見逃せない。その中でも特に注目したいのが、Honda鈴鹿で3年目を迎える大型右腕・川原嗣貴である。
 コロナ禍の2020年に大阪桐蔭高へ入学した川原は、2年夏から甲子園のマウンドに立ち、3年春は一回戦で鳴門高を相手に6安打1失点で完投勝利。広島商高がコロナに集団感染して二回戦が不戦勝になると、国学院久我山高との準決勝でも7回を2失点と好投し、近江高との決勝は8回から登板して胴上げ投手となる。
 夏もベスト8進出の原動力となり、大会後にはU-18日本代表に選出されてワールドカップに出場する。先発、リリーフにフル回転して銅メダル獲得に貢献し、最優秀投手、リリーフ投手でベストナインを獲得すると、プロ志望届を提出する。だが、バッテリーを組んだ松尾汐恩は横浜DeNAから1位指名されるも、川原には指名がなく、さらなるスキルアップを目指してHonda鈴鹿へ入社する。
 188cm・85kgの恵まれた体躯は、チームでもひと際目立っていた。また、ブルペンで投げ込むストレートには重量感があり、見ているだけでわくわくしたのを覚えている。それでも、「自分に必要なことを、自分で考えてやるHonda鈴鹿の風土が合いました」と徹底した体力強化に取り組み、公式戦の登板は9月に行なわれた日本選手権東海最終予選からだった。

「どうすればチームを勝たせられるのか」を追求して主戦格に

 3月の東海地区春季大会から登板機会を得た2年目は、静岡大会でリーグ戦第3戦に先発し、パナソニックを8回まで5安打無失点に抑えて社会人初勝利。続く日立市長杯大会ではリーグ戦第1戦の先発を任され、エイジェックに7回1失点で2勝目を挙げる。さらに、ベーブルース杯大会でもJFE西日本を7回1失点(自責点ゼロ)。都市対抗東海二次予選では、一回戦で静岡硬式野球倶楽部に快勝すると、JR東海との二回戦で先発を任される。
 1回裏に連打と犠打で一死二、三塁とされるも、このピンチを連続三振で切り抜けると、5回まで1-1の投手戦で抜群の安定感を発揮。6回以降はひとりも走者を許さず、8回表に伊藤雄紀のソロ本塁打で挙げた1点を完投で守り切る。こうして、川原は主戦格に躍り出る。
 だが、都市対抗、日本選手権とも本大会出場を逃し、「どうすればチームを勝たせられるのか」と葛藤したという。それでも、常に自分の投球を反省し、マウンドでは積極的に野手へ声をかけたことで、チームメイトからの信頼を深める。今季から指揮を執る眞鍋健太郎監督からは「相手を制圧して、味方を支配する活躍を見せてほしい」と言われ、「この言葉は胸に刺さりましたし、圧倒的な活躍を見せたいと思っています」と3年目に臨む。
 今季の初登板では、どんな投球を見せてくれるか。Honda鈴鹿の戦いぶりとともに見逃せない。また、4月2日に刊行予定の『グランドスラム65』では、この川原をはじめ、今季の飛躍が期待される28名の選手をカラーグラフで取り上げる。ぜひ、お楽しみに。
【取材・文=横尾弘一】

【電子版はオールカラーになります】

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著者プロフィール

1949年に設立した社会人野球を統轄する(公財)日本野球連盟の公式アカウントです。全国の企業、クラブチームが所属し、中学硬式や女子野球の団体も加盟しています。1993年から刊行している社会人野球オフィシャル・ガイド『グランドスラム』の編集部と連携し、都市対抗野球大会をはじめ、社会人野球の魅力や様々な情報を、毎週金曜日に更新する『週刊グランドスラム』などでお届けします。

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