新しいヒロイン2025《97期生・荒木 優奈》

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荒木 優奈 【Photo:Atsushi Tomura/Getty Images】

 2025シーズンがまもなく開幕する。最終プロテストの難関を突破した97期生が希望を胸にデビューを待つ。2024年の総受験者は695人、合格率はおよそ3.7パーセントだった。今年、羽ばたく26人を紹介する。

あらき・ゆうな=2005年6月17日、熊本県玉名市出身

 24年3月に高校を卒業した05年度世代は、将来性のある素材が多いといわれている。実際、23年のプロテストでは5人、24年のプロテストでは8人が合格した。そんな豊作といわれる05年度世代でジュニア時代に圧倒的な強さを見せていたのが、荒木優奈だ。「自分が考えていた以上に優勝できたなと思います」。日本ジュニア、全国高校ゴルフ選手権を制し、団体戦でも2連覇を飾る。さらには、トヨタジュニアゴルフワールドカップ、オーストラリアンマスターオブアマチュアといった海外選手との試合まで制した。

 当然、23年のプロテストでも一発合格するものと思われたが、まさかの不合格に。しかも、第3ラウンド終了時で80位以内に入ることができず、最終日に進むことすらできなかったのだ。実は、プロテスト前からパッティングのイップスに悩んでいた。さらに、風邪による体調不良のまま第1日に臨んだという。「それでも第1日は67で回ったんです。あぁ、不安要素が消えたなと思っていたら、第2日から風邪の症状が悪化し、パッティングもおかしくなってしまいました」。第2日は80、第3日は75を叩き、荒木の初プロテストはあえなく終了した。

 「もう第3日の16番ぐらいからポロポロと泣いていました。最終18番もバーディーを取らなければ最終日に進めないのは分かっていたんですが、3メートルのバーディーパットがかすりもせず、あぁ終わったと思いました」。生まれて初めての挫折からしばらくは立ち直れず、クラブを握らない日も数日間続いたという。そんな荒川を救ったのはクラスメイトのひと言だった。「サッカー部と野球部の方と席が近く、その2人から『負けを知った人間はマジで強くなれるから』と言ってもらい、そうなんかなと」。悔しい気持ちはそう簡単には消えなかったが、もう一度プロテストに向けて闘志を燃やし始めた。

荒木 優奈 【Photo:Atsushi Tomura/Getty Images】

 ただ、24年の前半は初めて日本女子アマで予選落ちするなど、本来の力を発揮できずに苦しんだ。たとえプロテストに合格しても本当にツアーで活躍できるのだろうかという不安にも襲われた。しかし、6月末に開催された資生堂 レディスオープンがターニングポイントになる。通算5アンダーで10位となり、JLPGAツアーでは自身初のトップ10入りを果たしたのだ。翌月の大東建託・いい部屋ネットレディスでも9位となり、ようやくツアーでも戦えるかもしれないという自信を得ることができた。

 イップスも修正し、体調万全で臨んだ2度目のプロテストは4位で合格。QTファイナルステージでは37位に入った。順位的には今季のJLPGAツアー前半戦にほぼ出場できると考えていい。当然のように、「来季のシード権はもちろん、初優勝も狙いたいですね」と気合が入る。まずはその手始めに24年12月に開催されたJLPGA新人戦 加賀電子カップを制し、プロ1勝目を挙げてみせた。

荒木 優奈 【Photo:Atsushi Tomura/Getty Images】

 小学生の頃から年間女王を目指してきたというが、出身地である熊本県は過去5人の年間女王を輩出している。今後の頑張り次第では、その系譜に名前を連ねる可能性は十分ある。さらには、「日本だけでなく世界でどこまでやれるのかを知りたい気持ちもあります」と、夢は広がる。ここ数年は米女子ツアーに参戦する日本選手がどんどん増えているどころか、海外メジャーを制したり、上位に食い込む選手も珍しくなくなった。近い将来、荒木もその流れに乗れるように今は努力を重ねるだけだ。(山西 英希)

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