「チームを勝たせるために僕がいる」 “気を抜かない男”堂安律の強烈な自負と執着心
自然と拍手が出た堂安のスライディングタックル
迎えた1月18日の第18節シュツットガルト戦もセットプレーを中心に前半だけで3失点を喫した。直近2試合のパフォーマンスを含め、守備に重心を置きながら対応したものの、もったいない形で失点を重ねることに。後半のスタートから気持ちを入れ替えて攻勢に出たが、なかなか得点が奪えないと、80分に4失点目を喫して万事休す。ピッチ上の選手たちからは、明らかに反撃に出るパワーがなくなったことが感じられた。
ただ、この状況下でも勝ち点獲得のためにアグレッシブな姿勢を貫き続けた男がいる。フライブルクの攻撃の要を担う堂安律だ。
残り10分で4点差の状況。正直、足が止まってもおかしくない展開だった。それでも、失点後の最初のプレーから積極的に相手に向かってチェイシング。チームメイトの動きが止まりつつある中、1人で二度追いしてスライディングからボールを奪取したシーンにはおのずと拍手が出た。
どんな状況に陥ったとしても勝負を捨てたりしない。”何か”を起こすために必死にもがく堂安の姿に、見ているこっちが奮い立たされた。
日本代表でそんなことをする選手がいたら…
試合後、4失点目を喫した後に周りの動きが減ったことに対する疑問を問うと、堂安は「そう見えているならそうだと思います。そういう選手が1人でもいるのはもちろんチームとして良くない」としつつ、最後にこう言い残した。
「もし日本代表でそんなことする選手がいたら怒りますけどね」
日本代表のチームメイトである板倉滉は以前、「本当にサボらない。最後までハードワークできる選手」と評していたが、今季のパフォーマンスを見ていて感心させられるのは、堂安は本当に”気を抜かない”選手だということだ。
状況に応じていい意味でうまくサボっているときもあるのかもしれないが、見ている側からすると、ピッチに立っている間、常にアグレッシブな姿勢を崩さない印象が強い。
近年、ウイングバックで起用されたことをきっかけに守備面での対応が抜群に良くなっているのは周知の事実だが、それだけでなく攻撃面でもより結果を残すためのトライを続けている。数字には表れにくいが、逆サイドで味方がボールを持ったときに背後に抜け出す動きを狙ったり、巧みに立ち位置を変えてボールを受けたり、試合の中で足が止まっている時間が本当に少ないのだ。
それでいて、状況を鑑みてチームメイトを呼び、意見をすり合わせながら改善を試みる姿勢も。ドイツでプレーする日本人選手の中でも飛び抜けてコミュニケーションの量が多く、そこからも勝利に対する執着が伝わってくる。