【AJCC×過去データ分析】前走有馬記念にまさかのデータ!?

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【データ分析】

関東圏で1年最初のG2といえば、今年もアメリカジョッキークラブカップ(AJCC)だ。前年のダービー馬が26年ぶりに出走を予定し、例年以上の注目を集める一戦を、過去10年のデータから展望してみたい。データ分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

前走重賞出走馬が中心となる

■表1 【前走クラス別成績】

前走クラス別成績(平地戦のみ)を見ると、前走G1が最多の4勝を挙げ、前走G2が3勝で続く。前走G3は1勝だが、2、3着は多い。重賞以外では、前走リステッド競走・オープン特別・3勝クラスの好走馬も計4頭いるが、そのうち3頭は前々走で重賞に出走しており、重賞出走の常連馬が大半の好走を記録している。

前年の有馬記念出走馬がまさかの全滅

■表2 【前走G1出走馬に関するデータ】

前走G1出走馬に関するデータをふたつ紹介したい。ひとつは前走レースで、「前年の有馬記念」と「それ以外のG1」に分けると、前者が【0.0.0.8】とまさかの全滅。シーズン末の有馬記念から約1カ月というローテーションが思った以上に厳しいのかもしれない。もうひとつは前走タイム差で、2秒0以上負けていた馬は【0.0.0.7】と好走がない。G1の強豪相手とはいえ、負けても1秒9以内にはとどまっておきたい。

前走G2出走馬は目安が明確

■表3 【前走G2出走馬に関するデータ】

前走G2出走馬は、前走着順と前走人気が参考になる。前走着順は1~3着しか好走例がなく、4着以下だった馬は【0.0.0.19】。また、前走人気は1~2番人気だと【3.0.1.2】の好成績だが、3番人気以下だった馬は【0.0.1.21】と苦戦の傾向が見られる。

前走G3出走馬は斤量の増減にも注目

■表4 【前走G3出走馬に関するデータ】

前走G3出走馬は、前走着順と斤量の増減に着目したい。前走着順は1~5着なら複勝率40.0%と良好。一方、6着以下だった馬は複勝率18.8%と数値を落とすが、巻き返した3頭がいずれもステイゴールド産駒というのは興味深い。斤量の増減は、「増減なし」が複勝率46.2%と優秀で、「今回減」も複勝率28.6%とまずまず。しかし、「今回増」は【0.1.0.8】、複勝率11.1%と苦戦の傾向が出ている。なお、前走着順や斤量の増減とは別に、前走中山金杯出走馬は【0.0.1.11】というデータも付け加えておく。

同距離の重賞勝ち馬が意外な不振

■表5 【距離別の重賞1着実績に関するデータ】

距離別の重賞1着実績(対象は芝2200m±400m)に関するデータを見ておきたい。勝率・連対率・複勝率・単勝回収値でトップの芝2500m重賞1着馬が好相性だが、今年は該当する登録馬が見当たらない。これに続くのが、勝率・連対率が2番目に高い芝1800m重賞1着馬と、複勝率で2番目、複勝回収値でトップの芝2000m重賞1着馬で、どちらも複数の勝ち馬を出している。一方、芝2200m重賞1着馬は【0.2.0.16】と、同距離重賞実績は意外に生きてこないようだ。また、芝2400m重賞1着馬も【0.0.1.5】と連対がなかった。なお、距離を問わず重賞未勝利馬も5勝を挙げており、重賞実績で見劣ってもチャンスはある。

【結論】

ダービー馬に黄信号が灯った!?

前走G1出走馬で真っ先に取り上げるべきはダービー馬ダノンデサイルだが、前年の有馬記念出走馬で、芝2400m重賞1着馬でもあり、不振のデータにふたつ合致。今回の分析では推しづらい馬となってしまった。

ほかに前走G1出走馬は6頭いて、いずれもタイム差1秒9以内の基準を満たす。そこで距離別の重賞実績からピックアップすると、芝1800m重賞1着のあるコスタボニータビザンチンドリームの2頭が浮上する。レーベンスティールも芝1800m重賞を勝っているが、AJCCで不振の芝2200m重賞でも2勝という点が少々引っ掛かる。そのほか、複勝回収値が高い傾向の芝2000m重賞1着実績馬にはポタジェがいる。

前走G2出走馬はチャックネイトが唯一。ただ、昨年の覇者ということは、イコール芝2200m重賞1着馬に該当してしまう。前走G2の好走基準である前走1~2番人気や前走1~3着も満たさず、データからは強調しづらい。

AJCCで2、3着が多い前走G3出走馬のうち、前走着順1~5着の条件を満たすのはアラタ、 ディープモンスター、ボーンディスウェイ、ボルドグフーシュ、マテンロウレオの5頭で、前走G3組の不振データである斤量「今回増」には当てる馬はいない。ただし、ボーンディスウェイは相性が悪い前走中山金杯出走馬という点が気がかりだ。

ライタープロフィール


出川塁(でがわ るい)

1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。
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著者プロフィール

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