あなたはリーダーですか？この質問に皆さんはどのように答えるでしょうか？「自分はキャプテンをしているから、リーダーかな」、「学級委員だし、リーダーかな」もしくは「別に何もしてないし、リーダーじゃないかな」などと考えるでしょうか。

　このように「リーダー」というと、キャプテンや学級委員など、リーダーとして指名された人が浮かぶかと思います。ただ、実はリーダーはこのように指名された人だけを指すわけではありません。リーダーは、「チームの共通目標の達成に向けてほかのメンバーに影響を与える個人である」と研究では定義されています。これから言えることは、公式な役職があるかどうかに関係なく、人はリーダーになる (なれる)、と言うことです。

　リーダーの役割には、課題リーダー、社会リーダー、動機づけリーダー、外的リーダー (表参照)の4つの役割があります。いろいろな競技レベルのスポーツ参加者を対象にしたある研究では、自身のチームの中のひとりの人がこの4つのリーダーの役割で最も良いリーダーであると答えた人はたった2%であること、またこの4つの役割すべてで自身のチームのキャプテンが最も良いリーダーであると答えた人は、1％でした。皆さんのチームではどうでしょうか？思っていたよりも、リーダーがチームにたくさんいることに気づくのはないかなと思います。

　また「リーダー」が複数人いることがチームの成功につながるということも言われています。この4つの役割それぞれで優れたリーダーが別々にいると、チームの一体感や自信、チームのランキングも高いという結果も出ています。さらに、チームの中でリーダーシップの役割が分散していると、チームの機能も高まる可能性が示されています。ひとりの人がすべてのリーダーとしての役割を担うのではなく、みんなで一緒にリーダーシップを作っていくことがチームの成長につながるということです。

　さて、ここまで読んだところで、皆さんは自分はリーダーだと思うでしょうか？やはり自分はリーダーじゃない、と思うのであれば、どれかのリーダーの役割で力を発揮できそうでしょうか？ここで見て頂いたように、リーダーというのは必ずしもキャプテンなどの役職がある必要はなく、また様々な役割があります。皆さんが何かの役割で力を発揮するリーダーになれると、チームはさらに良くなるかもしれません。チャレンジすることはリーダーとしての成長に不可欠だと言われています。是非、リーダーとしての成長を目指して挑戦しましょう！

【参考文献】
Fransen, K., Vanbeselaere, N., De Cuyper, B., Vande Broek, G., & Boen, F. (2014). The myth of the team captain as principal leader: Extending the athlete leadership classification within sport teams. Journal of Sports Sciences, 32(14), 1389–1397.

Loughead, T. M., Fransen, K., Puyenbroeck, S. V., Hoffman, M. D., De Cuyper, B., Vanbeselaere, N., & Boen, F. (2016). An examination of the relationship between athlete leadership and cohesion using social network analysis. Journal of Sports Sciences,

Machida-Kosuga, M., & Kohno, N. (2023). Athlete leader development: The perspectives of athlete leaders, teammates, and coaches. Journal of Applied Sport Psychology, 35(2), 111–135.

Northouse, P. G. (2021). Leadership: Theory and practice (9th ed.). Sage.

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小菅（町田） 萌（スポーツ科学部准教授）
専門は「スポーツ心理学」。主にスポーツにおけるリーダーシップ、リーダーの成長についての研究 ・実践に取り組んでいる。担当科目は「スポーツ心理学」「コーチングの心理学」など。