昨季わずか1勝のチームが、今季はすでに2勝。その裏にある守備の安定と“静かなる男”の奮闘
三重ホンダヒート 鶴川選手 【©ジャパンラグビーリーグワン】
キアラン・クローリー ヘッドコーチが強調してきたフィジカルや強度も向上し、スクラムでも強豪チームに引けを取らない。D1に昇格したばかりの昨季は開幕4試合で251失点を喫したが、今季はまだ118失点に留めている。
最前線で戦う鶴川達彦は、今季の成長について「守備が粘り強くなって簡単に失点しなくなりましたし、攻撃面で力がある選手が加入しました。それを生かすために強化したセットピースが安定し始めています」と語り、改善されたポイントを説明した。
「D2にも強い選手はいるんですが、1〜2回良い守備をすれば止められました。ただD1では継続的に強い選手が向かってくるので、我慢し切れずに自ら崩れていったんです。そこで、今季は速いテンポで動かされないようにしたり、プレッシャーを掛けたりと、それがうまく機能しています」
鶴川はD1に適応できつつあるチームに手ごたえを感じているようだった。
今季、東京SGは未勝利だが、リーグワン創設以来3季連続でプレーオフトーナメントに進出している強豪だ。鶴川は今節のポイントを「フォワードとしてはやはりセットピースを大事にしたいですね。あとはミスをしないこと。三重Hもバックスや3列目に良い選手がいるので、彼らを生かすためにも安定したボールを出すことが重要です」と冷静に分析する。
ラグビー解説者の藤島大氏は、鶴川を“静かなる男”と称した。先週対戦した埼玉パナソニックワイルドナイツには“笑わない男”・稲垣啓太がいたこともあり、表情を変えずに戦い続ける彼の姿も放送で話題に挙がった。
「特に意識はしていないんですけどね(笑)。これは学生時代からずっと同じなんです。過剰に喜んだり、レフリーに反応したり、そのような行動はあまり良くないと思っています。相手からの印象もそうですし、ファンのみなさんから見てもそうだと思いますから」
試合中の表情とは違い、鶴川は微笑みを浮かべながら自身のスタイルの理由を語る。
「静かなる男」らが支える三重Hの前線は、白星に飢える東京SGを相手にどんな熱い戦いを見せるだろうか。
(籠信明)
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