37歳になっても“チームファースト”。ベテランの覚悟、若手に見せるその背中

【©ジャパンラグビーリーグワン】

1月11日(土)、清水建設江東ブルーシャークス(以下、江東BS)は、ホストスタジアムの江東区夢の島競技場に日本製鉄釜石シーウェイブス(以下、釜石SW)を迎える。開幕から2連勝と勢いに乗る江東BSの次なる目標は、ホストゲームで達成する3連勝だ。

前節、江東BSの勝利を決定づけたのは、後半37分に飛び出したコンラッド・バンワイクのロングキックだった。ハーフウェイラインと10mラインの中間地点から放たれた楕円球は、美しい弧を描きながら観客の静寂を切り裂き、ゴールポストの間を見事に通過。点差を8に広げ、江東BSの勝利を決定づけた。

「ウォームアップでいい感触があったので70%くらいはいけると思っていました。それと同時に、やはりあの状況で、チームが自分のキックを信頼してくれて、そして私がキックを成功させ、自分の役割を果たすことができたというのも、すごく大きなことだと思います」と語るバンワイク。その言葉には、キック成功の喜び以上に、チームと築いてきた信頼への感謝が込められている。

江東BSに加入して5年。彼はチームとともに昇格と降格の苦しみを乗り越え、昨季はディビジョン3でMVPを含む四冠を達成した。8日には37歳の誕生日を迎え、「次の世代の選手にハードワークを続ける姿を見せていきたい。シアレ(・ピウタウ)選手にしてもそうなのですが、やはりこの歳になってもラグビーやチームのことを考えている姿を見せること、『Team comes first』 という気持ちが大切だと考えています」と語る。この背中は、多くの若手選手たちにとって道標そのものだ。

今回の対戦相手、釜石SWには2カ月前のプレシーズンマッチで28対49の大敗を喫している。しかし、その悔しさを胸に刻み、江東BSは開幕からの2連勝でチーム力の向上を証明してきた。吉廣広征ヘッドコーチ兼マーケティングリーダーも「釜石SWは勢いが出たら止まらなくなるチーム。勢いを出させないためには、点差をつけることがキーになるので、遠い距離でも自信持って狙えるクーニー(コンラッド・バンワイクの愛称)選手のロングキックは選択肢としてある。コンバージョンキックで難しい角度のキックはリマ(・ソポアンガ)がしっかり決めるなど、キックで点数を積み重ねていくことがポイントになるかもしれない」と分析する。

静寂を破り歓声が響き渡ったあのロングキックのように、全員が心を一つにして勝利をつかみ取る瞬間は再び訪れるのか。この試合での勝利は3連勝だけでなく、D2での飛躍に向けた重要な一歩となる。チームの未来を切り開く熱い戦いに期待したい。

(奥田明日美)
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