いきなり見せた“世界王者のすさまじさ”。カートリー・アレンゼがもたらす好影響
三菱重工相模原ダイナボアーズ カートリー・アレンゼ選手 【©ジャパンラグビーリーグワン】
どこにそんなパワーを秘めているのか。そんな思いが頭をよぎる相模原DBの逆転トライシーンだった。
14対14の同点で迎えた後半21分、相模原DBは右サイドで前進したのち、左サイドに展開。すると、バイフ トニシオのラストパスを加速しながら受けたカートリー・アレンゼの前には広大なスペースが広がっていた。
カートリー・アレンゼは、ゴールライン手前で進行を阻むべくタックルをしかけた浦安DRの田村煕をはじき飛ばしてトライ。スタンドからは歓声に混じって、どよめきが沸き起こった。
身長176cm、体重80kgと決して大柄な選手ではない。それでも世界王者の南アフリカ代表の一員として、屈強な選手たちと競ってきたワールドクラスのプレーのすさまじさを見せつけた場面だった。
「スペースを与えたら、ああいう結果になるようなプレーヤーだと思います」と相模原DBのグレン・ディレーニー ヘッドコーチ。岩村昂太キャプテンも「爆発的なスピードが素晴らしい。カートリーのスピードを生かすために、われわれがどうやっていいスペースを作るのかということをやっていきたい」と実戦の中で感じたカートリー・アレンゼの能力の高さに驚きを隠せない。
一方、相模原DBの選手たちは、ピッチ外で見せる彼の人間性にも一目置いているようだ。
「カートリーが加入して一番良かったところは、実はフィールドプレーではなく、クラブハウスでの影響力がすごく強いことです」(グレン・ディレーニー ヘッドコーチ)
その実績とプレーからはやや近づきがたい印象だが、岩村いわく「すごいシャイボーイ」。
「練習時に小泉怜史にいろんなアイデアを伝えてあげているところをよく見ます。ロッカーの中でも選手とコミュニケーションを取って、チームに馴染もうとしています。すごい結果を残した選手で、生き方が素晴らしく、学ぶ姿勢を見せてもらっていて、みんなで学ぶところがあるなと思います」(岩村)
カートリー・アレンゼは「常に自分のスキルを改善できるように意識して努力しています。そしてほかの選手もスキルアップできるように自分ができることで貢献していきたいです」と口にする。
浦安DRにとってはスタンドオフの選手二人がケガとHIA(脳振盪の疑いのある選手を一時退出させること)で途中退場になったことが誤算だったが、セットピースで優位に立つなど、ディビジョン1で戦える手ごたえをつかんだようだ。今季のリーグワンでは、さらに熱く、激しい戦いが見られるだろうと予感させる一戦だった。
(宮本隆介)
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