早大フィギュア部門・山田琉伸 3回転アクセルに2度挑戦 悔しさ残る演技も攻めの姿勢を貫く/全日本選手権男子FS
【早稲田スポーツ新聞会】記事 吉本朱里、写真 荘司紗奈
競技2日目に行われた男子フリースケーティング(FS)。目標としていたショートプログラム(SP)通過を果たした山田琉伸(人通2=埼玉栄)がトップバッターで演技を行い、FS86・29点、総合146・49点で24位となった。ジャンプのミスが目立つ悔しい演技となったものの、3回転アクセルを2本投入した攻めのプログラムを滑り切り、大歓声の中初めての全日本選手権を終えた。
『Cinema Paradiso (Se)』を演じた山田 【早稲田スポーツ新聞会】
それでも、終盤の見せ場となるステップシークエンスとコレオシークエンスでは、長身を生かしたのびやかな滑りを披露。スピード感のあるレイバックイナバウアーでは観客の拍手を誘った。相次いだ転倒による足の疲労で思うように滑ることができなかったというものの、着実に力をつけてきたスケーティングや身体の使い方で、郷愁を誘う優しい曲調と力強いボーカルのコントラストが美しい『Cinema Paradiso (Se)』をしっかりと表現した。沖縄から埼玉へ、埼玉から現在の拠点の新横浜へ。環境の変化を繰り返しながら一歩一歩、成長を重ねてきた山田のスケートをしかと見せつけた。
力強く滑りきった山田 【早稲田スポーツ新聞会】
結果
山田琉伸
SP 24位 60・20点
FS 24位 86・29点
総合 24位 146・49点
コメント
――かなり構成を変えてチャレンジをしたフリー(FS)だったと思います。ご自身で振り返っていかがですか
今回の全日本はショート(SP)を通ることが一番の目標だったので、フリーで自分の今できる精一杯を出すということと、挑戦するジャンプも入れていこうかなと思っていました。予定では3回転アクセル1本の構成だったのですが、最初シングル(1回転)になってしまうミスがあったので、2本目に入れてみたり、自分の今できる最大の難度の構成で挑んでみたのですが、ちょっと納得のいく結果ではなかったです。
――その中でもスケーティングの向上という点では魅せるものがあったと思いますが、ご自身ではいかがですか
ミスの連発によって足に負担がかかっていたというか、疲労が蓄積していたので、思うようなスケーティングが100パーセント見せることができた自覚はあまりないのですが、昨年の自分よりはスケーティングの部分で大きく成長できたかなと思います。
――紀子先生から終わった後に何か声をかけられましたか
「どうしても3回転アクセル入れたかったんだね」と優しく言ってくださりました。
――先生には相談せずに、3回転アクセルを入れたのですか
昨日のショートでまず入れるか迷っていて、(SP)通過した後、フリーでは入れますというお話をして。今日は投入というかたちになりました。
――3回転アクセルを入れることはショート後に決めていたのですか
そうですね。ショートを通過したら、絶対3回転アクセルはやると決めていたので。試合に来る前からそれは決めていました。1本目がシングルになってしまったのですが、ひたすら1カ月間3回転アクセルの練習をいっぱいやってきたので、さすがにやらずに終わるのは嫌だと思って、2本目を急遽3回転アクセルにしました。
――これまで3回転アクセルは試合で決まっていましたか
3月の地方大会で一応成功はしているのですが、そこからまだ成功はないです。今シーズンは成功できていないので、残りの試合で入れていきたいと思います。
――(3回転アクセルは)練習ではいかがでしたか
降り始めたのが昨シーズンの最後で、その時は軽々跳べるくらいまでは行っていたのですが、今シーズンは安定していなくて。シーズン中盤にちょくちょく練習で降りるようにはなっていたのですが、ちょっと今回の試合では成功できませんでした。
――理想の3回転アクセルなどはありますか
羽生選手(結弦)の3回転アクセルはすごく好きです。ジャンプタイプが違うので真似できるかと言われるとちょっと厳しいと思うのですが、きれいな質の、加点がもらえるアクセルを目指していきたいです。
――今回はフリー進出が目標とおっしゃっていました。ショートが終わって第一関門突破というかたちでしたが、ショートと比べて緊張はいかがでしたか
今回はショートに全神経を注いできたと言っても過言ではないくらい、ショート通過が自分の中で一番の目標でした。フリーは気が楽だったとはいえ、もう精一杯最後まで出し切ろうという思いがあったので、気合いは入っていました。ただ、ショートのような緊張でガタガタというのはあまりなかったです。
――大きな声援もありましたが、これだけの観客の方々の前で滑る経験についてはいかがですか
正直ショートもフリーも緊張よりも楽しいの方が勝っていました。自分の演技によって大きな歓声が生まれるということが自分にとってはすごく嬉しかったので、この舞台にまた出られるように頑張りたいです。
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