早大ラグビー蹴球部 近大に快勝 日本一へ好発進

チーム・協会
全国大学選手権 12月21日 対近大 秩父宮ラグビー場
【早稲田スポーツ新聞会】記事 西川龍佑 写真 安藤香穂、髙木颯人

 寒空が広がる秩父宮ラグビー場。チーム佐藤は全国大学選手権(大学選手権)の初戦となる準々決勝に臨んだ。対戦相手は近大。関西大学ラグビーAリーグ(関西リーグ)を3位で通過した西の強豪との一戦は、早大が自力を見せつける展開となった。開始早々の先制から3本連続でトライを奪った早大。近大の激しい圧力で流れに乗り切れない時間もあったものの、終了間際にトライを追加し19点リードで前半を折り返す。後半もこう着状態が続く中で得点を重ねリードを広げる。ディフェンスの圧力も加速し、終始リードを保った早大が、53ー10で白星を挙げた。

モールからトライを狙うHO佐藤 【早稲田スポーツ新聞会】

 試合開始早々、早大は敵陣深くでペナルティーを獲得する。ゴール前ラインアウトからモールを形成すると、勢いよく押し込みHO佐藤健次(スポ4=神奈川・桐蔭学園)がグラウンディング。幸先よく先制に成功した。しかし直後のリスタートからは近大に攻め込まれる。自陣ゴール前のラインアウトからロングスローのスペシャルサインでインゴールに迫られるも、このピンチを間一髪で凌いだ早大は、中盤からミスのない攻撃を継続し近大のペナルティーを誘う。再び敵陣ゴール前でラインアウトのチャンスを得た。モールを止められるもボールを展開しフェーズを重ねると、最後はSO服部亮太(スポ1=佐賀工)、CTB野中健吾(スポ3=東海大大阪仰星)と繋ぎ、走り込んだFB植木太一(人1=神奈川・関東学院六浦)がインゴールを走り抜けた。さらに15分にはモールを10メートル押し切り再び佐藤がトライ。連続得点で17ー0とリードを大きく広げた。完全にペースをつかんだかに思われた早大だったが、その後はこう着した展開が続く。向かい風の影響もあり、服部のキックが精彩を欠き、FWもスクラムで連続してペナルティーを取られるなど、エリアマネジメントで苦戦を強いられる。我慢の時間が続いた32分、またもや早大がスクラムで反則を犯すと、近大が素早くリスタート。大外で待つWTB植田和磨にボールがわたり、そのままインゴールに飛び込んだ。その後もピンチの場面が続き前半は終了間際を迎える。流れに乗る近大のアタックラインが早大陣地に襲いかかる中、巧みなパス回しが乱れた一瞬の隙を見逃さなかったのは早大のWTB田中健想(社1=神奈川・桐蔭学園)。インターセプトに成功すると、そのまま50メートルを走りきり前半を締め括るトライを挙げた。スコアを24ー5とし、試合を折り返した。

ライン際を駆け上がるWTB田中健 【早稲田スポーツ新聞会】

 後半に入ると早大が少しずつペースをつかみ始める。後半4分と8分のスクラムでは近大の反則を誘い、前半からの悪い流れを断ち切る修正力を見せた。早大が敵陣で攻撃を展開するシーンが増えた12分、連続アタックで近大ディフェンスを崩すとCTB福島秀法(スポ3=福岡・修猷館)が勢いよくディフェンスへ突進。LO西浦剛臣(社4=ニュージーランド・ハミルトン・ボーイズ・ハイスクール)へオフロードパスを繋ぎ、WTB池本晴人(社2=東京・早実)からライン際の田中健に渡ってゴールラインを割った。続く16分には野中がペナルティーゴールを沈め3点を追加。さらに23分にはラインアウトからのフェーズアタックでSH宮尾昌典(スポ4=京都成章)がブラインドサイドに仕掛ける。それに反応したPR安恒直人(スポ4=福岡)がショートパスを受けるとディフェンスを引き剥がしてゴールラインを駆け抜けた。26分にトライを許すも、すかさず29分に裏へ抜け出した服部が華麗なバックフリップパスで佐藤のこの日3本目のトライを演出、スコアは46ー10に。最終盤には近大ゴール前で両者の意地がぶつかり合うスクラムが続き、近大が執念のディフェンスを見せマイボールラインアウトに持ち込んだラストワンプレー。展開を試みるもパスが乱れ、こぼれ球に反応したFL田中勇成(教3=東京・早実)のグラウンディングで早大がダメ押しとなるトライを挙げた。53ー10と大学選手権の初戦を快勝で終えた。

力強くボールキャリーをするFL田中勇 【早稲田スポーツ新聞会】

 近大を下し準決勝に駒を進めたチーム佐藤。無事『年越し』を決めた早大が次戦でぶつかるのは、翌日に行われる京産大と大東大の試合の勝者だ。どちらも大型の外国人選手を擁するパワー型のチーム。強靭なフィジカルに対し、堅いディフェンスと安定したセットプレーでペースを渡さないことが必要とされる相手だ。今試合では関西チームが持つ圧力のあるスクラムに苦戦を強いられた。次戦に向けて「ひとつひとつの精度」(佐藤)にこだわって、ラストスパートをかけていきたい。絶対に負けられない戦いが続くラストシーズン。多くの思いを背負った赤黒のジャージーは、深まる季節に逆らうように、さらなる熱を帯びていく。

コメント

HO佐藤健次主将(スポ4=神奈川・桐蔭学園)

ーー今日の試合を振り返っていかがですか

 勝てたところは良かったと思うんですけど、1月2日に向けてもう一回チャレンジャーとして準備できるようにしていきたいです。22メートルに入ったところのセーブとか、風が強い中での戦い方を準備していきたいです。スクラムは関西のタイミングで、前半は間合いの取り方とか足のかき方とか掴めなくてよくなかったですが、後半は修正ができたと言う点で良かったと思います。大学選手権ではひとつひとつの精度のところで、今日みたいな軽いミスをしてしまったら負けてしまうので、そういう厳しさを経験している3、4年生が教えていきたいです。

ーー後半、スクラムは具体的にどう言うあたりを修正しましたか

 関東の対抗戦ではあまりなかった、ほぼ全部寄りかかっているような形で、それくらいの圧力がありました。試合中にアジャストできるように、スクラムマネジメントの部分は自分の責任だと思うので、そこからゲームメイクできるようにしていけたらなと思います。

PR亀山昇太郎(スポ4=茨城・茗溪学園)

ーー前半はスクラムのどの辺りがうまくいきませんでしたか

 相手との噛み合わせが自分たちの間でうまくいってなくて、先手を取られてしまいました。バインドの前から少し圧力を受けてしまって、そのまま相手のペースで最後までやらせてしまったのは前半のスクラムでの反省でした。

ーー後半はスクラムが良くなったと思うのですが、具体的にどのようなことを変えたのでしょうか

 しっかり一対一で戦う意識ですかね。一対一で戦うとは言っても真っ向勝負だと僕たちは重さがまだないので、若干ずらしてお互いカバーし合いながら組むようにしました。

ーー関西のチームとの試合でしたが、振り返っていかがですか

 関西のチームは、今まで最初に点を取られてずっとそのまま勢いに流されてしまったことが多かったので、まず自分たちの形でしっかり取り切ることを意識していました。最初の3トライ早稲田が先制できたのはすごく良かったなと思いますが、中盤から流れに乗られてしまってずっと苦しい時間が続きいたので、そこは改善すべき点だなと思います。

ーー4強で、またもう一度国立の舞台で試合が行われますが意気込みはいかがですか

 自分たちのやりたいラグビーというのを体現するためにも、しっかり形を練習から落とし込んでやっていきたいなと思います。

WTB池本晴人(社2=東京・早実)

ーー選手権初戦、またデビュー戦となりましたが、どんな意気込みやテーマで臨みましたか

 自分としては、このチームでこのシーズン、1試合でも多く試合をしたいというところから、自分の活躍よりもチームの勝利を意識して臨みました。

ーー随所にいいプレーが見られたという印象でしたが、ご自身のプレーを振り返っていかがですか

 自分はトライを取り切る力とか、身体能力の高さとかがないので、とにかくルーズボールへの反応や泥臭いプレーをやろうと意識していて、それがいいプレーにつながったのかなと思います。

ーー11番のスタメンを守り続けていますが、どんなところを評価されていると感じていますか

 WTBとして、コンタクトの局面での強さを評価してもらい、試合に出して頂いていると思います。

ーー今日は2トライとも外で取られてしまった場面があったと思うのですが、チームとしてはいかがですか

 コミュニケーションを取れていなくて、外が余ってしまった部分があるので、上井草の練習で意識して取り組んでいきたいです。

ーー今後の意気込みをお願いします

 1試合でも多くこのチームでプレーしたいので、1戦必勝で頑張っていきたいと思います。

植木太一(人1=神奈川・関東学院六浦)

ーー赤黒スタメン、選手権デビューに向けて、どんな意気込みやテーマを持って臨みましたか

 対抗戦ではあまりよいパフォーマンスをできなかったので、良いパフォーマンスをすることに意識して臨みました。

ーーアタックではトライも奪うことができました、振り返っていかがでしょうか

 自分の仕事はトライを取ることだと思うので、しっかり取ることができてよかったです。

ーーバックスのディフェンスについて、二つのトライはどちらも大外での失点でしたが、振り返っていかがですか

 もっとコミュニケーションをとって防げればよかったかなと思います。

ーー何か課題は見つかりましたか

 まだボールタッチの回数が少ないので、改善していきたいと思います。

ーー今後の意気込みをお願いします

 これからも続くと思うので、しっかりと準備をして、いいパフォーマンスをしたいと思います。

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著者プロフィール

「エンジの誇りよ、加速しろ。」 1897年の「早稲田大学体育部」発足から2022年で125年。スポーツを好み、運動を奨励した創設者・大隈重信が唱えた「人生125歳説」にちなみ、早稲田大学は次の125年を「早稲田スポーツ新世紀」として位置づけ、BEYOND125プロジェクトをスタートさせました。 ステークホルダーの喜び(バリュー)を最大化するため、学内外の一体感を醸成し、「早稲田スポーツ」の基盤を強化して、大学スポーツの新たなモデルを作っていきます。

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