祖父とともにあったラグビー。あのときのように喜んでもらうために

ヤクルトレビンズ戸田 小川選手 【©ジャパンラグビーリーグワン】

小川正志共同キャプテンが特別な思いを胸に初めてNTTジャパンラグビー リーグワンの舞台に立つ。

先日、子どものころから一緒にラグビーを楽しんでくれていた祖父が亡くなった。4歳から始めたラグビーは祖父とともにあった。送り迎えは祖父の日課だった。祖父は難しいことは何一つ言わず、ただただ一緒にラグビーを楽しんでくれた。長崎北陽台高校で花園の舞台に立ったときも、帝京大学で日本一になったときも「正志、おめでとう」。いつも祖父の笑顔がそこにあった。祖父の喜ぶ姿が見られるからラグビーも頑張ることができた。

小川が上京してから祖父は少しずつ元気がなくなったが、ヤクルトレビンズ戸田(以下、L戸田)に加入して2年目に、『長崎招待ラグビー』に招かれて地元に凱旋したとき、祖父がうれしそうに応援に駆けつけてくれたことがあった。それがラグビーを生で観戦してもらえた最後だった。

この間、小川は若くしてL戸田のキャプテンになった。今季で3年目を迎える。キャプテンになったからには目指すべきチーム像を言葉にしておきたいと、今季のスローガン『H・A・T』を考案した。Humble(謙虚)、Aggressive(積極的)、Tough(粘り・不屈)、それぞれの頭文字を取った造語だ。

「周りから憧れられる存在になりたい。注目され、追われる存在になりたい。リーグワンに参入し、よりいろいろな方々から見られる存在になるので、少しでも多くの方に応援していただき、支えていただけるチームになりたい。そのためには『謙虚に、ひたむきに、タフに』ラグビーと向き合う必要があると思っています」

それが小川のラグビー観だ。子どものころ、小川にとって当時のジャパンラグビー トップリーグを戦うラグビー選手は憧れの存在だった。熱く、タフに、ラグビーに誠実に向き合っていた。今度はそれに自分がなる。祖父もきっと、そういう自分だからこそ喜んで応援してくれる──。

リーグワンの開幕まで祖父には何とか頑張ってほしい、勝利を報告したい、という思いを胸にプレシーズンの準備を進めてきた。いま、その思いはさらに強くなっている。

12月22日、小川はリーグワン開幕戦の舞台、ルリーロ福岡とのビジターゲームに臨む。長崎の地から見守ってくれているはずの祖父のためにも、勝利に向かって全力を尽くす。

(鈴木康浩)
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著者プロフィール

ジャパンラグビー リーグワンは、「あなたの街から、世界最高をつくろう」をビジョンに掲げ、前身であるジャパンラグビー トップリーグを受け継ぐ形で、2022年1月に開幕した日本国内最高峰のラグビー大会です。ラグビーワールドカップ2023を控え、セカンドシーズンとなるリーグワン全23チームの熱戦をご期待ください。

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