【どこよりも詳しい】スワローズ新外国人マイク・バウマン投手徹底分析
今年12月11日に東京スワローズからマイク・バウマン投手獲得の報が入りました。
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今年のオフにサイスニード投手、ヤフーレ投手、ロドリゲス投手、エスパーダ投手と4人の外国籍投手を全員リリース。一軍計321.1イニングをヘッジしなくてはいけないというチャレンジングな状況で、バウマン投手にも即戦力としての活躍が求められます。
本noteではマイク・バウマン投手がどんな投手か、そしてチームにどうフィットしていくかを考えていきましょう。
0.マイク・バウマン投手のプロフィール
1995年9月10日生まれの29歳。スワローズの同年齢には田口投手、山本投手が代表格の世代となります。
マイク・バウマン投手は高卒時点で2014ドラフトの34ラウンド目での指名をツインズから受けますがこの時は入団せず、ジャクソンビル大学に進学。2017年ドラフトでは3ラウンド目でボルチモア・オリオールズから指名され入団を果たしました。
入団後はマイナーで先発投手として活躍、2019年にはAAでノーヒットノーランを達成。A~AAAまで順調に年々クラスを上げていき、2021年9月7日にMLB初登板。翌年22年には4試合の先発登板を含む13試合に出場。
順調にMLBでキャリアを積み、2023年にはリリーバーとして60試合に登板。中継ぎ投手ながら10勝を挙げるなど大活躍。同年12月にはニコラ夫人と結婚、順風満帆な野球ライフを歩んできました。
今年に入っても開幕ロースターに入りオリオールズのブルペンを支えてきましたが、5月にシアトルマリナーズへトレード移籍。その後、7月にジャイアンツとエンジェルス、8月にマリーンズと次々にチームを渡り歩くことになります。1シーズンで5球団に所属したのはMLBの中でも珍しく、米版wikipediaによると史上3人目だそうです(真偽はwikiなのでなんとも言えませんが、tipsみたいなものなのでそこまで厳密に知らなくてもいいかみたいな…すみません)。
バウマン投手のことを日本人の野球好きなら今年一度は実は見ているはずで、というのも大谷翔平選手の50-50達成に際しての50号はこのバウマン投手から放ったものです。
スワローズとは推定年俸100万ドル(約1.52億円)プラス出来高払いとのこと。
奥村国際グループ担当部長は、「剛腕系はどこかいつもけがをしながらプレーしているというか、それが宿命かもしれないけれど、彼は全くそういうのがない。全然けがをしていない。健康体。一番いいときにうちが探しているタイプのピッチャーを取れた」とコメントし、守護神争いに加わることを期待しています。
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1.マイク・バウマン投手の投球成績
直近、2024年のバウマン投手の登板成績は次の通りです。
【シュバルベ】
過去4年間のMLBでの成績はこちらです。
【シュバルベ】
投球フォームとしてはテイクバックは深めでクイックは苦手としているタイプ。2023年は盗塁を10個許し、2024年も7個の盗塁を決められています。もっとも、2024年の成功率は70%(23年は90%)で、なおかつMLBは牽制球に制限が設けられるなど日本とは違う部分もある点は留意が必要です。
奥村国際グループ担当部長の言葉通り、これまで故障とは無縁のMLB生活を送っており、非常にタフに投げてきた投手である点は成績からも明らかでしょう。
2.マイク・バウマン投手の投球内容
2024年にMLBで投じたボールは次のようになります。
【シュバルベ】
フォーシームのアベレージは155.3km/hとMLBの中でもかなり高速の部類。なお今年の最速は158.6km/hです。
来日してくる投手としても当然球速面ではトップ層で、今年の新外国籍選手と比較するならば阪神のゲラ投手が23年に平均157.3km/h、オリックスのマチャド投手が同年平均155.5km/hでした。両投手ともにNPBでの今年の平均球速が155km/hであることから、バウマン投手もNPBで153-5km/h程度の球速を安定して出すことが期待されます。
当然ですがこれはスワローズの中で最も球速の速い投手になる可能性が高く、今年で言えばロドリゲス投手が平均151.5km/h、木澤投手のツーシームが平均151km/hだったように、球速面で他チームのリリーフに劣ってきたブルペン陣に風穴をあけるきっかけになり得るでしょう。
ただし、フォーシームは23年に被打率.225だったのが今年は球速が上がったにもかかわらず.289と悪化。特に左打者には.353とかなり打たれたボールとなっています。空振り率も2%程度ですが前年よりも低下しています。MLB打者のスピードボール対応の高さは言うまでもないのですが、球質の部分には留意が必要でしょう(後述します)。
続いては変化球。
2番目に多く投げているナックルカーブは平均141km/hと球速も伴ったカーブです。打者の左右に関わらず多く投じているボールで、被打率・空振り率ともに優秀であることもあり2ストライクに追い込んでからは実に53%と最も多く投げる決め球となっています。
7月6日には打者3人跨いで8球連続でナックルカーブを投げるなど極端なシーンも。また、球速が速く、落差も大きいためショートバウンドになるとブロッキングが難しく、2年間でワイルドピッチは13個。ナックルカーブは使い方もその捕り方も含めて捕手の技量も問われるボールになりそうです。
続いてスライダー。平均148km/hと速いどころではない、一般的には速いカットボールと考えるようなボールとなっています。被打率.255、空振り率は28%と有効なボールに思いますが、2ストライクからは10%程度しか投げておらず、その使い方には検討の余地がありそうです。
チェンジアップは1年で20球しか投げておらず、過去をさかのぼっても投球割合は毎年5%を下回っています。今年に関しては5月中旬以降は1球も投げておらず、その後球団も変わる中で投げない選択をしたのはおそらくバウマン投手自身だと思うので、何に起因するものなのか気になります。左打者に対して外に逃げるチェンジアップを使う右投手が多いので珍しいですね。
左右の打者で大きな組立は大きく変わりません。追い込むまでは3つの球種を満遍なく使い、追い込んだらナックルカーブで仕留めるという形です。
全体的に変化球でも平均140km/hを上回っており、フォーシームを中心にスピードが目立ちます。
ここから先は更にボールの内容を深堀してみましょう。
バウマン投手が2024年に投じたボールの変化量をプロットしたものがこちらです。
【シュバルベ】
一方で、変化球はかなり特殊な球質です。
まずナックルカーブについてですが、平均変化量はスライド成分4cm、ドロップ成分19cm。フォーシームとの対比でみても横幅を使うよりも縦の変化で低めに落として空振りを取るボールとなっています。
球速のあるパワーカーブといえば元阪神のピアース・ジョンソン投手を思い浮かべますが、彼のカーブはスライド成分が25cmあり縦横両方に大きく変化しているためそれとも異なるもので、バウマン投手のナックルカーブはぜひ見てみたいボールですね。
続いてスライダーです。平均球速の速さは既に記述しましたが、変化量でもスライド成分6cm、ホップ成分21cmとスライダーにしてはスライド成分が少なくホップ量が大きいボールとなっています。
変化量として似通っているのは阪神のハビー・ゲラ投手のスライダー(スライド成分5cm、ホップ成分17cm)ですが、このボールはDeltaの集計上はカットボールに分類されています。
日本にゆかりのある選手たちのスライダーやカットボールと比較してみましょう。ヤクルトからはヤフーレ投手、エスパーダ投手、マクガフ投手、オリックスのエスピノーザ投手とマチャド投手、DeNAのジャクソン投手、阪神のゲラ投手、元日ハムのマルティネス投手、元ソフトバンク千賀投手を対象とします。平均した変化量をまとめたものが以下のマッピングです。
【シュバルベ】
もちろん、NPBのボールがバウマン投手にアジャストするかどうかはこれからなのですが、リリーフであれば強力なマネーピッチさえ確立できれば球種は絞って問題ないでしょう。既に挙げたフォーシーム、ナックルカーブ、スライダー、この3つで十分です。
近しい投手として挙げた阪神のゲラ投手は今シーズン、フォーシームが42%、カットボールが53%、ツーシームが5%という投球割合でした。特にカットボールとフォーシームはピッチバリューが高く、MLBではスイーパーを投げたりツーシームの割合が日本より多かったのですが日本では球種を絞り成功を収めています。
本人の能力ももちろんですが、これからバッテリーを組むことになる中村悠平選手はじめとした捕手が配球もブロッキングも重要になってくる投手のように見えます。
キャンプに行かれる方はバッテリー間のコミュニケーションも注目すると面白いかもしれません。
3.マイク・バウマン投手に求められる役割
昨年はヤフーレ投手、エスパーダ投手、ロドリゲス投手といずれも若くて育成も視野に入れながら、MLB実績は重視せず安価に獲得をしてきたスカウティングでした。今回は大きく方向転換し、MLB実績ある投手でまた球速面でも特徴あるプレイヤーを第一補強に持ってきました。
来年オフに明言されている村上宗隆選手のポスティングを念頭に、来年勝負の年という位置づけにしていると思えば、バウマン投手に求めたい数字として、
▸ 一軍で勝ちパターンに入り40試合以上の登板
▸ 防御率1点台
▸ K-BB%が10%以上
の3つを挙げたいと思います。
比較対象になるのはスワローズではエルビン・ロドリゲス投手。24年は一軍32試合に登板し防御率1.80、K-BB%は17.5%。ロドリゲス投手を切ったからにはこれを超える成績をバウマン投手には残してくれないとチームにプラスはもたらせないと考えています。
かつて同じ58番を背負ったローガン・オンドルセク投手は来日前にリリーフとして4年連続40試合以上に登板、実際に東京ヤクルトスワローズに入団して初年度から72試合という今のNPBではあまり見なくなった数の登板を果たし、2015年のリーグ優勝に貢献しました。
バウマン投手も多くの試合に登板し、頼れるリリーフとしてチームを優勝に導くピースとなって欲しいですね。
最後に、バウマン投手のコメントで締めましょう。
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