熱き男 ロッテ藤岡裕大。背番号「7」がチームを引っ張る。
「最初は肉離れかなと思ったので、それよりは軽くて良かったかなとは思いました。だからあの時は切り替えて治すことに専念しました。自分の中で開幕は無理とかという思いはまったくなかった。開幕から何としても出る気持ちを一貫して持っていた。スタメンで出る。そういう気持ちで身体を動かしていました」と藤岡はチームの全体練習を離れ黙々とリハビリに専念していた時の心境を振り返った。
いつも試合に敗れると誰よりも悔しさを表に出すのは藤岡である。「マリーンズは勝ち切れていない。勝ちきれないシーズンが続いている。なんとしても勝ち切るチームになりたい。そのために自分がプレー、姿勢でチームを引っ張らないといけないという思いはつねにある。これまで色々な人に引っ張ってもらっていたけど、もう自分も率先してやらないといけない年齢であり立場。攻撃でも守備でも頑張って、引っ張っていきたい」とシーズン前から語気を強めていた。
昨年、勝てばクライマックスシリーズファイナルステージ出場となる千葉で行われたファーストステージ第3戦の大一番で3点ビハインドの延長十回に劇的な同点3ランを放ち「幕張の奇跡」と語られることになる伝説の試合のヒーローとなった。あの日、藤岡は2万9050人の大観衆の歓声を一身に浴びた。ダイヤモンドを一周しながら鳥肌が立った。興奮の坩堝と化した本拠地のスタンドを目にした。
「あの時、ここで優勝を決めたら、どうなるのだろう?どんな光景が見れるのだろうと考えました」。藤岡が思ったのと同じように、マリーンズの選手たちは誰もが同じことを考え、それの実現を目指した。
残念ながら今年もリーグ優勝を果たすことは出来なかった。3位に終わり、夢、破れた。しかし、下を向いている時間はない。若手中心で構成されたZOZOマリンスタジアムでの秋季練習に練習免除となっていた藤岡の姿があった。黙々と走り、バットを振っていた。25年に向けて。目標達成に向けて。背番号「7」が来年もチームを引っ張る。強い想いがその背中から感じ取ることが出来た。
文 千葉ロッテマリーンズ広報室 梶原紀章
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