4連続で特別賞 桑木志帆-忍耐の値段

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【Photo:Atsushi Tomura/Getty Images】

スタンレーレディスホンダゴルフトーナメント 東名カントリークラブ(静岡県)最終日

 桑木志帆が、4連続バーディーでフィニッシュ。前日に続き、最終日も67で、しっかりと締めた。こうなると、サスペンデッドになった大会第1日の9ホールが残念。「ショットの調子はすごく良かった。でも、3パットが2回。パッティングの調子さえ上がれば、ひたすらガマンをしていたんです」と振り返った。

 前半は、7番の第2打をシャンク。ボギーを叩く。しかし、シャンクが出る際は好不調の紙一重。続く、8番で見事なバウンスバックを披露し終盤へ、つなげたのだ。前週も最終日に、8位タイと順位を押し上げている。今季2勝と地力強化が目覚ましい。

 それにしても13番からの6ホールで、4連続を含む、5バーディー奪取はすさまじかった。個人記録を調べてみると、22年住友生命Vitalityレディス1Rで5連続がある。4連続は過去3回。今季は、リゾートトラストレディス1Rに続く2回目だ。もし、14番でバーディーなら、自己ベストを更新するところだった。

 浮上のきっかけは10グラムにある。前週からパターをスイッチ。同じピンタイプでもヘッドの重量が違う。「日常生活では、たったの10グラムかもしれません。でも、コースではすごく違います。重量があることで、ストロークの加減をそれほど強くしなくてもボールが転がる」と説明する。

【Photo:Atsushi Tomura/Getty Images】

 一方、バーディー奪取のためには、チャンスをつくらなければならない。生来のショットメーカーが、さらに磨かれたのは22年オフ。ドローからフェードヒッターへの転換だ。「3週間でフェードはマスターできたけど、試合で再現できなければ何もならない。去年、今年の経験がそうさせてくれたのでしょう」と話す。フェードでスピン量が増え、ショットの精度が良くなった。

 コロナ禍の21年6月、最終プロテストで合格。ルーキーイヤーで最も話題を集めたのはファイナルQTだった。翌年のツアー出場がかかる大一番。何とバッグにはパター2本を入れて挑戦した。「前2日、パッティングの調子が悪い。だから第3日から48度のウェッジを抜き、お守りのつもりでパターをもう1本…」。幸い、エースがきっちり仕事をしてお守りはつかうことがなかった。そのエピソードが大きくとりあげられ、知名度アップ。今は昔の笑い話に。

 「あの頃を考えれば、マネジメント、技術なども含めて格段の違いがある。何はともあれ最終日、順位をあげて終わることができるようになりました」と、ごく控えめなもの言いが好印象だ。

 しかも、ホールアウト後にはベストオブチャレンジ賞のうれしいニュースが。特別賞50万円獲得で3倍の笑顔をつくった。これが、忍耐のお値段-。(青木 政司)
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