【MLB】本当の意味での幕引き【Short】

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【【MLB】本当の意味での幕引き【Short】】

【これはnoteに投稿された助手さんによる記事です。】
かねてより1990年代後半から2000年代前半のステロイド時代に興味関心を持ってきた自分にとって、今年のMLBは埒外の領域に入ったと日々感じています。

なにを話したいかといえば、再び60本塁打を狙わんとするAaron Judgeの歴史的パフォーマンスと、投手としての出場を来年に控えながらも打者一本で40本塁打-40盗塁を達成した大谷翔平についてです。

まずは大谷ですが、わずか126試合目で40本塁打-40盗塁に到達。なんなんすか、それ。これまでのMLB史において、40-40を達成したのはJose Canseco、Barry Bonds、Alex Rodriguez、Alfonso Soriano、そして昨年のRonald Acunaのわずか5名。一方、達成までにかかった試合数はSorianoの147試合目であり、大谷がいかにダントツのスピードで打ち立てた快挙かがわかります。

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更には前人未踏のアンタッチャブルレコードである50本塁打50盗塁という記録もまだまだ現実的という事実。補足すると、そもそもキャリア全体を通じても年間50本塁打と年間50盗塁の両方を達成したのはBrady Anderson(92年:53盗塁、96年:50本塁打)とBarry Bonds(90年:52盗塁、01年:73本塁打)のわずか2名なはず。
「史上最高のオールラウンダー」と称された故Willie Mays氏を以てしても未踏の領域となることからも、大谷が達成した暁には投手能力も含めた上でその屋号を引き継ぐのかもしれません。

個人的な話になりますが、かねてより「トリプルスリー」「打って走れる選手」に強い憧れを持っていた私にとって、日本球界に久々にもたらされた30-30、山田哲人と柳田悠岐、そしてEric Thamesの登場は非常にワクワクするものでありました。同時期には遙か海の向こうで躍動するMike TroutやPaul Goldschmidtのようなオールラウンダーにも熱いまなざしを送っていました。

そこから10年近い年月が流れたのち、日本人がMLBの舞台で40-40を達成し、50-50すら望める位置にいるとは。よく大谷を形容する際に「マンガの主人公」というフレーズがありますが、先生、ちょっとここ数年の原稿はやりすぎなんじゃないっすか?という言葉も漏れてしまいます。大谷のキャリアはまだ最低でも9年以上残っているわけで、これから野球史にどんな軌跡を残していくれるのかは想像もつきません。

本来であれば話題をかっ攫うはずのシーズンを送っている大谷ですが、同様に注目を集めているのがAaron Judgeになります。
彼は2年前にアメリカン・リーグ記録を塗り替える62本塁打を達成したのが記憶に新しいですが、この1週間で7HRを積み上げたことによって再び60本塁打超のペースに乗せています。

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本塁打ばかりが話題に上がるJudgeでありますが、打撃成績全体の傑出度も並外れています。
1871年~2024年における単一シーズンのwRC+
(規定未到達、190打席未満除く。)

1. Josh Gibson(1943) - 251wRC+
2. Oscar Charleston(1921) - 249wRC+
3.Mule Suttles(1930) - 247wRC+
4. Oscar Charleston(1924) - 245wRC+
5. Barry Bonds(2002) - 244wRC+
6. Barry Bonds(2001) - 235wRC+
7. Babe Ruth(1920) - 234wRC+
8. Barry Bonds(2004) - 233wRC+
9. Mule Suttles(1926) - 226wRC+
10. Babe Ruth(1923) - 225wRC+
11. Aaron Judge(2024) - 223wRC+(8/25現在)
Fangraphs(https://www.fangraphs.com/leaders/major-league?pos=all&stats=bat&lg=all&type=8&month=0&ind=1&team=0&rost=0&players=0&startdate=&enddate=&season1=1871&season=2024&sortcol=18&sortdir=default&qual=190)より引用

見てのとおり、wRC+において歴代11位に位置。ちなみに2HRを放った本日の成績を含めれば226wRC+となり、一挙にTop10入りを果たすこととなります。【wRC+(weighted Runs Created Plus)の概略についてはこちらを確認ください】
年号を見ても100年以上前の記録も立ち並ぶ中、21世紀以降に限ればBarry Bondsが上にいるだけ。これからもJudgeのホットストロークが止まないようであれば、73HRを放った2001年版Bondsの235wRC+も射程圏内に入ってくるでしょうか。

Baseball Savant(https://baseballsavant.mlb.com/savant-player/aaron-judge-592450?stats=statcast-r-hitting-mlb)より 【助手】

また、これは2年前にも一部で揶揄されていたことですが、上記をみても別にヤンキースタジアムが本拠地だからといって本塁打を量産しているとは言えないと考えています。
8/25現在、Judgeが仮に今季の試合をすべてヤンキースタジアムで行っていた場合には相変わらず49本塁打という試算になります。
ちなみに昇順でいえば
レッズ本拠地 Great American Ball Parkなら60本塁打
ブリュワーズ本拠地 Miller Parkなら54本塁打
ドジャース本拠地 Dodger Stadiumなら53本塁打
を放っている計算にもなります。一見するとライトが狭小にみえるYankee Stadiumであっても、広大な左中間と風の影響もあって右打者にとっては鬼門の球場ともとれます。(いうても、Judgeがこの1週間で放ったうちの何本かはヤンスタムランでしたね)

(おんなじ要領で、「Juan Sotoの成績が上向いたのは打低のペトコパークからヤンスタに移籍したから」みたいな言説がありますが、今年のSotoでいえば普通にヤンスタのほうが3本少ない数字が出ているので、左打者であったも一概に有利と断定することはできません。そもそもSotoはxHR的にも不運の募っている状況でキャリアハイなんですから。(ヤンカス特有の早口小声))

本当の意味での幕引き

今年の大谷とJudgeを語る上でしばしば言われているのが、「ステロイド時代の記録が~」というものでしょうか。
既知のとおり、40本塁打40盗塁を達成したうちのCanseco、Bonds、A-RODは記録前後に筋肉増強剤を使用した嫌疑があるために議論を難しくしてきた存在。そこへSorianoやAcuna同様にクリーンな選手として記録を打ち立てたことは野球界全体にとっても素晴らしいことと強く感じています。

Judgeについても、60本塁打の複数回達成となればMcGwireとSosaに次いで史上3人目の偉業となるわけですが、前例の2名についても筋肉増強剤の使用疑惑が濃厚。62本塁打記録を樹立した際に「本物の記録(True Record)」と言われていたのと同様に評価されるかもしれませんね。
ちなみに50本塁打を3回以上達成したのもRuth、McGwire、Sosa、A-RODについて5人目であることから、こちらも実質的には史上2人目の扱いになるでしょうか。

かつてはドーピングが競争の一端を担っていたMLBでしたが、クリーンな2人による記録打破によって本当の意味でステロイド時代の幕引きとなるのではないでしょうか。
残り1ヶ月ほどのPS争いとともに、2人の偉業を見守りたいと思います。(Wittも偉業やってんやけどね。しゃーない)

(以下、参考)

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