「自分らしいプレーを貫きたい」 ドロップアウトしたからこそ出会えた3x3に人として成長するきっかけをもらったー#31 髙桑利加ー
【©︎TOKYO DIME】
「どこからでも点が獲れる自分らしいプレーがしたい」
4歳年上の姉が近くのバスケットボールクラブでプレーしていたのをきっかけに、私も小学1年生から始めました。それまでは水泳や習字もやっていました。
——そのころから、プロになりたいという夢は描いていたのですか。
中学に入ってからですね。ただ、中学生のときはあまり強いチームではなかったので、楽しんで続けられたら良いや、くらいに思っていました。でも徐々に身長が伸びていって、ジュニアの日本代表候補キャンプに選ばれたこともあって、もっと上を目指してプレーしたいな、という思いが強くなっていきました。
——高校は強豪校に進学しました。その後、5人制から3x3の世界に大きなステージチェンジを果たします。
高校を辞めた理由のひとつに、自分らしいバスケットボールがしたい、という思いがありました。自分らしさ、というのは、どこからでも攻めることができるプレーです。背が高いと、どうしてもゴール下近くでプレーをすることが多くなってしまいます。でも私は、外から3ポイントを打つのも得意だし、ドライブで切り込むのも得意。そういうプレーをする選手になりたかったんです。
——その思いから、3x3の世界に飛び込みます。きっかけはあったのですか。
中学3年生のときに、富山県で開催された大会を観に行って、初めて3x3の世界を知りました。その後高校を辞めたあと、本当はバスケットボールをするつもりはなかったんです。でも家族が後押ししてくれて。『利加を必要としてくれるチームが絶対にあるから』と。
——それで見つけたのが、TOKYO DIMEだったんですね。
はい。3x3だと、自分の良さを存分に出せるんじゃないか、と思ったんです。それで単身上京して、スクールに参加することにしたんです。
中学生の髙桑選手 【©︎TOKYO DIME】
「支援してくれる人たちのために結果にこだわる」
自分もすぐに試合に出られるとは思っていませんでした。でも、出場する機会をいただけたとき、バスケットボールを続ける道を見つけてくれた家族への恩返しをしたい、と思って頑張りました。それに、チームメイトや高校時代の寮母さんも応援に来てくれたんです。それが本当にうれしくて……昨シーズンの自分の原動力になったと思います。
——アマチュアの世界からプロの世界に転向して、学んだことや意識が変わったことなどはありましたか。
やっぱりプロの世界なので、スポンサーの方々がいたり、ファンの方がいたりして、そういった方々に支えられてプレーができるわけです。最初はあまり実感がなかったんですけど、スポンサーの方々と交流したり、試合を観に来てくださったときにご挨拶させていただいたりしていると、感謝の気持ちでいっぱいになります。だからこそ、結果にはこだわらないといけない、結果で恩返しをしたい、と強く思います。
高校のときは、自分たちのチームのために頑張る、自分たちが目指したいものを目指す、というイメージでプレーしていました。でも今は違います。自分はもちろんのこと、チームをサポートしてくださっている人たちのために、もっと良い結果を出したい、もっと良いプレーを見せたい、と考えるようになりました。
——結果の重みが違いますね。髙桑選手は、そういうのはプレッシャーになったりしませんか。
プレッシャーにはなるんですけど、それよりも、応援してくれる人たちのためにもっと頑張ろう!という前向きの気持ちのほうが強いですね。
——本当にいろんな変化があった昨シーズンだったと思いますが、あらためて今振り返るとどんなシーズンでしたか。
高校を辞めたことや、上京したことでたくさんの別れもありました。でもその分、同じくらいたくさんの出会いもありました。プロの世界に飛び込んで、初めて世界大会も経験して。イベントで指導してみたり、初めてアルバイトも始めたり。本当に自分にとって、初めての経験がたくさんできた一年でした。
【©︎TOKYO DIME】
「小さな“気づき”は仕事にもプレーにも大切」
そうですね。最初は取るつもりはありませんでした。ただ、TOKYO DIMEの活動をしていく中で、高校卒業資格を取ることで、もっと自分の将来の幅や夢が広がるんじゃないか、と思い始めたんです。そしてもう一度岡田さんからお声がけしていただけて、チャレンジするきっかけをいただきました。
——学業との両立は大変だと思いますが、何か工夫していることなどはありますか。
練習やスクールのお手伝いは午後が多いので、午前中に勉強を終わらせたり、電車移動などの隙間時間を活用したりしています。
——学業だけではなくTOKYO DIMEの活動を支えてくれているKDDIウェブコミュニケーションズが運営する「SHARE LOUNGE 外苑前」での仕事もありますね。
はい、今は週に2、3日のペースで働いています。仕事は受付です。伝票を発行したり、ドリンクや軽食の補充をしたり。支払いの精算をすることもあります。
——仕事をするうえで大切にしていることはありますか。
お客さまが使いやすい環境を作ることを心がけています。たとえば汚れているところに気づいたらすぐ掃除したり、ゴミやホコリが目に付いたらすぐに片付けたり。タスク表にないことであっても、自分が気づいたことは、気づいたときに対応する、ということを大切にしています。こういう小さなことにも気づけるということは、プレーにもつながる大事なことだと実感しています。
——選手、学生、社会人というトリプルキャリアの生活は、まさに多忙を極めますね。
なので、オンとオフはすぐに切り替えるように意識しています。バスケットボールをするときはやる、仕事の時は仕事に、学業の時は勉強に集中する、という感じですね。オフのときは、ゲームをするのが好きなのでゲームをしたりYouTubeを見たり、思いっきりリラックスすることを心がけています。
——なるほど。少し意地悪な質問かも知れませんが、たとえば試合で良いプレーができなかったとき、落ち込む気持ちを引きずってしまうことはありませんか。
基本的には、試合や練習が終わったら、すぐに反省します。その日の振り返りは、その日のうちに終わらせます。反省しなければならないところがあったら、次にどうすれば良いか、反省をどう生かせば良いかを考えます。とことん考えて考えて、しっかり反省できたら、自然と気持ちも切り替えることができますから。
バイト先の「SHARE LOUNGE」で働く髙桑選手 【©︎TOKYO DIME】
「チャレンジすることでプレーの幅を広げたい」
試合時間が10分なので、展開がスピーディーなところですね。それに、3x3はコーチや監督はコートにいません。4人のプレーヤーでコミュニケーションをとって、自分たちでどうやって攻めるのか、守るのかを状況を見て判断して決断していかないと勝てないスポーツです。そういうところも、3x3の面白いところだと思います。
——髙桑選手が、選手として大切にしている信念があれば教えていただけますか。
行動する、ということです。実は高校を辞めるまでは、自分から行動するタイプではありませんでした。でも、辞めてから3x3の世界へのチャレンジを決められたのも、TOKYO DIMEの存在を知ることができたのも、家族が行動してくれたからでした。家族の行動があって、今の私がある。『行動する力』はすごく大きい。だから、自分もこれからは自ら考えて、自ら率先して行動することを大事にしています。それと同時に、継続は力なり、という言葉も大事にしています。
——髙桑選手が今、継続していることはありますか?
バスケットボールで言えば、ウエイトトレーニングを続けています。少しずつ当たり負けしない身体になってきたのを実感しています。また、外からのシュートは私の持ち味でもあるので、シューティングはずっと続けています。スクールのコーチングが終わった後の時間や、練習の前の時間を使って、シュート練習は欠かさないようにしています。あとは……タイピングですね。
——タイピング、ですか?
はい。社会人になると絶対に必要になるから、と岡田さんから言われています。なので、TOKYO DIMEの学生インターン生などもみんなタイピングの練習をしているんです。今もずっと続けているので、かなりうまくなりました。
——バスケットボールで言うところのドリブルのように、本当に基礎なので大切ですよね。ではあらためてになりますが、今シーズンの目標を聞かせていただけますか。
まずは、やはり自分らしいプレーを貫けるようにすることです。外からの2ポイントとかドライブとか、自分持ち味を存分に生かしたプレーをしていきたい。そして、チーム内で自分が一番点を獲れる選手になることです。あとは、チャレンジし続ける、ことも目標のひとつです。バスケットボールでいえば、今まであまりやったことがないプレーにチャレンジしてみたいですし、苦手意識があったところにもチャレンジして、自分のプレーの幅を広げていきたいと考えています。
【©︎TOKYO DIME】
3x3 JAPAN TOUR 2024 FINAL
場所 : ららぽーと堺(大阪府堺市美原区黒山22-1)
ロスター :坪内瑠愛、加藤臨、本田奈緒子、髙桑利加
スケジュール:
9日(土)
GAME① 12:30- vs XD
GAME② 13:10- vs FLOWLISH GUNMA
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