外枠不利を覆すか?人気決着になりやすい真夏の中距離重賞/佐賀・九州チャンピオンシップデータ分析

佐賀県競馬組合
チーム・協会

2023年優勝ミスカゴシマ 【撮影:佐賀県競馬組合】

真夏の中距離重賞として2021年に創設された九州チャンピオンシップ(3歳以上、ダート1750m)。来月には地方全国交流の鳥栖大賞、年末には佐賀版有馬記念とも言われる中島記念が控えており、秋競馬を占う重要な一戦となる。
ここではレースが創設された21年~23年の過去3回と、同距離の佐賀ダート1750mの直近3年のデータを元に分析する。

※直近3年:2021年8月1日~2024年8月3日

3番人気以内が好成績

まずは当レース過去3回の単勝人気別の傾向から見てみよう。21年、22年と連覇を果たしたドゥラリュールはともに1番人気、23年ミスカゴシマは重賞8勝馬ながら近走で不振が続いていたこともあって6番人気に人気を落としての勝利だった。
2着、3着を見ると3番人気以内が2着2回、3着3回で、基本的に上位人気での決着と考えていいだろう。

単勝人気別成績 【表1】

全体と比べ、先行馬の成績が良好

当レースの脚質別成績では逃げ・先行が3勝、2着2回、3着1回と、前有利な決着となっている。同距離の脚質別成績[表2-1]と比べると、先行馬の成績が勝率、連対率、3着内率すべてにおいて約10%以上高く、レース傾向としてより前有利と言えるだろう。
対して、差し馬は当レース過去3回では2着1回、3着2回。3着内率25.0%と高くはないが、3連系を狙うのであれば、差し馬の存在を軽視はできない。

脚質別成績 【表2】

脚質別成績(直近3年) 【表2-1】

差し馬を狙うとしたら?

では、差し馬で狙えるのはどういう馬だろうか。当レース過去3回で差して3着以内に入った馬は[表3-1]の通り。3頭のみのデータとはなるが、「1コーナー5番手以内、かつ上がり3ハロン39秒5以下の末脚を使える馬」という条件が仮説として立てられる。
そこで、同距離での1コーナー通過順別成績を見てみる[表3-2]。すると、1コーナー5番手以内を境に3着内率が30%を下回り、下降線をたどる。
これらを総合して考えると、前述の仮説の信頼度が高まる。

なお、普段JRAや南関東の競馬を楽しんでいる方は「5番手は先行では?」との疑問が生じるかもしれないが、佐賀はフルゲート12頭。23年ヒストリーメイカーは5番手でも「中団を形成」と実況されており、実際のレース映像を見ると分かりやすいかもしれない。

差し馬の上がり3ハロン 【表3-1】

1コーナーの通過順別成績(直近3年) 【表3-2】

コース形態から、外枠はやや不利

この距離での馬番別成績は下表の通り。9番より外枠では全体的に成績が下降気味となっている。原因として考えられるのは、スタートしてから最初のコーナーまでが短い点。外枠からでは内に入れるタイミングが難しく、外を周らされて距離ロスが生じる可能性がある。

馬番別成績(直近3年) 【表4】

ダノンシャンティ産駒の驚異の好走率

この距離での種牡馬別の成績は下表の通り。ルーラーシップ産駒が最多の4勝を挙げるが、勝率、連対率、3着内率で高い数値を誇るのがダノンシャンティ産駒だ。また、ロージズインメイ産駒は勝率こそ高くはないが、3着内率42.9%を誇る。
なお、下表は当レース出走馬の種牡馬のみを抽出した。

種牡馬別成績(直近3年) 【表5】

データからの推奨馬は?

①上位人気
②逃げ・先行馬
③差し馬を狙うなら、近走で1コーナー5番手以内、かつ上がり3ハロン39秒5以下
④できれば8番より内枠
⑤父がルーラーシップ、ダノンシャンティ、ロージズインメイならなお良し

人気の中心は前走・佐賀王冠賞で重賞初制覇を果たしたアエノブライアンだろう。大井から移籍後4戦すべてで2着以内を確保。佐賀の重賞初出走となった佐賀スプリングカップこそテイエムフェローの2着に敗れたが、勝ち馬はそこから重賞3連勝中と、相手の強さを称えるべき一戦。先行して早めから押し切る走りが武器だ。この距離では11番枠の成績は芳しくはないが、先行できるスピードがあるため、最初のコーナーを迎えるまでに内に入れることも可能だろう。①②に当てはまる。

コスモポポラリタは大井からの移籍初戦。昨秋の金沢・北國王冠2着、大井・金盃トライアル3着と、いずれも2600mの長距離戦で豊富なスタミナを見せた。2000m未満のレースでは序盤の位置取りが後方になったり、勝負所でペースが上がった時にやや置かれる場面も見られるが、西日本の重賞で上位入着の実績からこのメンバーでは好勝負が期待される。
①④⑤に該当。

ブルーアローは佐賀王冠賞でアエノブライアンの2着。先行タイプなのはこのレースの傾向からして心強い。①②④に当てはまる。

③の差し馬の項目からはホウオウエーデルを狙いたい。前走は中団インの5番手から運び、向正面半ばから徐々に前へと進出。直線入り口では進路がなく、砂の深い内を選ばざるを得なかったが、上がり3ハロン1位の37秒4で脚を伸ばして勝ち馬からクビ差の2着。上から2番目のA2クラスではあったが、このメンバー構成なら上位入着の可能性も十分にありそうだ。

⑤からはサトノスライヴエイシンダンシャクシューラヴァラが該当する。

第4回九州チャンピオンシップ 【出馬表】


文・大恵陽子(おおえ ようこ)
競馬リポーター。小学5年生で競馬にハマり、地方競馬とJRAの二刀流。毎週水曜日は栗東トレセンで、他の日や週末は地方競馬の取材で全国を駆け回る日々。グリーンチャンネル「アタック!地方競馬」「地方競馬中継」などに出演のほか、「優駿」「週刊競馬ブック」「うまレター」「馬事通信」など各種媒体で執筆。
「大恵総合研究所」なるデータ分析機関を勝手に設立し、現場取材で得た騎手・調教師などの談話をヒントに、馬場傾向やレース傾向を導き出して精度向上に励む。
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著者プロフィール

佐賀競馬は九州唯一の地方競馬場として主に土日に競馬を開催しています。注目の重賞情報やイベント情報など、佐賀競馬のニュースを日々お届けいたします。

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