【コラム】第13回:違法事業者対策とインテグリティ対策

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【© スポーツエコシステム推進協議会】

違法事業者対策とインテグリティ対策

スポーツエコシステム推進協議会(C-SEP)が、アスリートとアスリートを取り巻く全てのステークホルダーに知ってほしい情報を発信していく本連載、13回目となる今回は、違法事業者対策とインテグリティ対策について取り上げます。

 本連載8回目(5月24日配信)で紹介したとおり、世界から日本のスポーツに対して賭けられている(フリーライドされている)賭け金の総額は、年間5兆円とも言われています。これに加え、日本国内からインターネットで欧米のスポーツベッティングサービスを利用して形成されている違法越境市場が存在し、その規模は既にかなりの規模になっているとも言われています。

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 そのような違法事業者が関与する巨大なフリーライド市場や違法越境市場が既に存在している現状を踏まえれば、何が適法で何が違法なのか、ファンも含め、スポーツビジネスに関わる人たちみんなが正しく認識した上で、違法事業者対策を検討する必要があります。

 また、インテグリティ対策においては、「事前」の予防・防御策として、八百長防止のためのルールを作ったり、選手やスタッフが知らず知らずのうちに八百長などの違法行為にひきずり込まれないための教育や研修を実施したりすることが、最も重要です。また、選手やスタッフ向けの相談窓口を設置し、相談窓口に寄せられた相談内容や解決策等をスポーツ団体横串で共有するシステムを作ることも有益と思われます。諸外国では、違法事業者対策等に特化したインテグリティ団体が組成されている国も存在しますが、そのような団体の在り方なども参考にしながら、日本の文化や歴史的経緯に即した独自の対策を行っていく必要があります。

 なお、諸外国では、データプロバイダーがスポーツ団体に対して八百長などの不正検知システムを提供している例が見受けられます 。しかし、これはあくまでも八百長の疑いが生じてからこれを検知する「事後」的な対応策を提供するものにとどまります。八百長の疑いが生じること自体が、スポーツ業界にとって取り返しのつかないインテグリティの毀損をもたらし得ることからすると、このような「事後」的な対応策に頼るのではなく、既に述べたような「事前」の予防・防御策を徹底することが何よりも重要であることを肝に銘じる必要があるでしょう。


 ※このような不正検知システムを提供する海外のデータプロバイダーの中には、スポーツベッティングに利用するデータを取得する目的を秘して我が国のスタジアム等に立ち入り、無許諾でデータを取得している事業者が存在することが確認できています。スポーツ団体としては、今後、このような不正なデータ取得に対する法的対策についても検討する必要があります。
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