社会人野球の魅力と自身の現在地を語る。日本生命・山田健太選手インタビュー【前編】

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日本生命・山田健太選手 【(C)PLM】

 7月19日(金)、東京ドームを舞台に第95回都市対抗野球大会が開幕する。全32チームが地域を代表して戦う、社会人野球最高峰の大会の一つだ。今年近畿地区予選を突破し、歴代最多・63回目の本戦出場を決めた大阪市・日本生命から、今大会注目選手の一人である山田健太選手にインタビュー。社会人野球の魅力や自身の現在地、都市対抗野球大会への思いを聞いた。

◇ ◇ ◇

 大阪桐蔭高校“最強世代”の一員として3度の甲子園優勝を経験し、立教大学進学後には主将を務めた山田健太選手。「大学卒業後、プロに行きたいというのが一番だったんですけど、ドラフト後にお話をいただき、自分がレベルアップするなら社会人野球が一番かなと。日本生命は僕が大学2、3年のときから熱心に声をかけてくださっていました。僕のことを第一に考えて、いろいろな言葉をかけて見守ってくださっていた印象があったんです」と、他の社会人野球チームからも声をかけられていたなか、昨年日本生命に入社した。

 高校時代から社会人野球には白熱したイメージを抱いていたというが、実際に身を置いてみると、その熱さは想像以上だったと話す。

「32〜33歳の方が一球に対してヘッドスライディングをしたり、ユニフォームを泥まみれにしてプレーしたりする姿を肌で感じて、ベテラン選手のそういったプレーには鼓舞されますし、チームの代表として出場する責任感を持って試合に臨むようになりました。社会人野球は大人同士のガチンコ勝負で、甲子園に負けないほど白熱しています。自分の結果のためではなく、会社を背負って飛び込んだり泥だらけになったりしているところがおもしろいですね」

日本生命OB・福留孝介氏による指導も。社会人野球を通して成長したこと

姫路市・日本製鉄瀬戸内との練習試合で打席に向かう山田選手 【(C)PLM】

 一球の重みは普段の練習から意識しているものだ。数を多くこなすことで感覚をつかんでいった学生時代とは異なり、一つひとつの練習に対して考えながら取り組み、少ない時間でも有意義な時間を過ごしているという。日本生命入社後に成長を感じていることとは。

「1年目は守備に重きを置いて練習してきました。大学生まではあまり守備に自信がなく、『打球が飛んできたらどうしよう』と思いながら守っていたこともありましたが、日本生命に入社してからは、同じ大阪桐蔭出身の岩下(知永)コーチに付きっ切りで基礎からご指導いただき、2年目の今年は『この打球はこうだな』とある程度自信を持ちながらプレーできるようになっています。

バッティングは特別コーチでOBの福留(孝介)さんにたくさん教えていただき、今の自分には無駄があるということに気づきました。バッティングフォームや考え方をもっとシンプルにする練習に取り組んでいます。打席ごとに一喜一憂するのではなく、ダメでも切り替えて、次の初球にどう入っていくかを考えるように。学生時代にはなかなかできなくて、ダメだったらずっとその状態が続いていたんです。今は毎回頭をリフレッシュして打席に入ることができていて、それが一番の成長かなと思います」

 昨年の各大会・予選を合わせた成績は打率.364、1本塁打、15打点。この数字を残せた要因を「調子の良し悪しにかかわらず、冷静に同じ失敗を繰り返さないようにしていた結果だと思います。特に6番を打たせてもらい、チャンスで回ってくることが多かったので、なおさら考えすぎず。対ピッチャーで、ランナーをかえそうということだけに集中していたのが良い方向につながっていきました」と振り返る。

 さらなる飛躍を遂げたい今年は「自分の“間”をつくること」に力を入れている。ピッチャー主導にならないよう間を取り、どれだけボールを見られるかが課題だ。

「フリーバッティングでバッティングピッチャーにいろいろなタイミングで投げてもらったり、変化球を投げてもらったり。練習から自分のリズムで打つことを意識して、実戦につなげています」

 第95回都市対抗野球大会へ向け、着々と調整を進めている山田選手。後編では大会への意気込みと自身の注目ポイント、自身を奮い立たせてくれる学生時代のチームメイトについて語ってもらった。

インタビュー・文 高橋優奈
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