【コラム】第12回:日本で海外のスポーツベッティングサービスを利用する行為の適法性(その4)

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【コラム】日本で海外のスポーツベッティングサービスを利用する行為の適法性(その4)

スポーツエコシステム推進協議会(C-SEP)が、アスリートとアスリートを取り巻く全てのステークホルダーに知ってほしい情報を発信していく本連載、前回は賭客に賭博をする場の提供を禁じ、提供者を罰する「賭博場開帳図利罪」の成立要件を取り上げました。
12回目となる今回は、実際に海外法人が開設したオンラインカジノサイトの運営会社の社員が、「賭博場開帳図利罪」で逮捕された事例について取り上げます。

今年2月19日、京都府警に米国籍の会社員ら7人が賭博場開帳図利容疑で逮捕されました。7人は海外法人が開設した、日本人向け会員制賭け麻雀サイト「DORA麻雀」の運営会社の社員。賭博者ではなくサイトの運営者側の逮捕はこれが全国初だそうです。
この運営会社は英国王室領マン島所在で、オンラインカジノサイトも運営。マン島ではオンラインカジノが合法で、そのマン島のライセンスを取得しているので違法性はない、と日本語でうたっていました。
DORA麻雀には7万4000人もの会員がいて、サイト運営を始めた2011年以降で約23億円を集めたそうです。

前回の記事で紹介したとおり、大阪高裁の判決を手がかりにすれば、海外にサーバーがあっても、日本人が日本国内からインターネットでアクセスして賭ける場合、賭客である日本人の居住地も含んだ全体が賭博場となると考えられます。そのため、海外のオンラインスポーツベッティングサイトを運営し、日本に対してサービス提供をする行為には、賭博場開帳図利罪が成立する可能性を否定できないことになります。
もっとも、DORA麻雀の運営会社社員を逮捕できたのは、彼らが日本に居たからと言っていいかもしれません。
もし彼らが海外にいたら、現地の警察との連携や証拠収集は困難を極めますので、賭博開場図利罪は成立しても、逮捕は極めて困難だったでしょう。

結局、逮捕されるのは日本にいる賭客だけです。驚いたことに、逮捕者を出して以降も、DORA麻雀のサイトは生きています。サイトの情報を安易に信じて人生を暗転させてしまわない様、注意をしていただきたいと思います。
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