早大野球部 【連載】春季早慶戦直前特集 『ONE』 第3回 香西一希

チーム・協会
【早稲田スポーツ新聞会】取材・編集 栗原礼佳

 今春、中継ぎとして安定した成績を残している香西一希(スポ2=福岡・九州国際大付)。ここまで防御率0.00とほぼ完璧な投球が続き、頼もしい存在となっている。チームの勝利を支える左腕に、今シーズンの振り返りと早慶戦への意気込みを伺った。

「一球一球を丁寧に、気持ちを込めて投げる」

【早稲田スポーツ新聞会】

――今シーズンは中継ぎとしてここまで自責点0の素晴らしい投球をしていますが、ここまでのご自身の投球を振り返ってどう評価していますか

 監督(小宮山悟監督、平2教卒=千葉・芝浦工大柏)に非常に大事な場面で使ってもらって、緊張感があるポジションですが、しっかり任せてもらったところで腕を振ってボールを投げられています。

――昨年と比べて奪三振数が多いですが、それについてはいかがですか

 冬の間に真っすぐの質を上げるということにこだわっていました。キャッチボールでもピッチングでも、とにかく強くストレートを投げるということを意識してやってきました。その成果が出ているのかなと感じます。

――オフシーズン、キャンプでは主にどのようなことに取り組みましたか

 キャンプの時はけががあって満足に練習ができませんでした。しかしその中で、けがをしていない部分のトレーニングや、強い真っすぐを投げることはしっかり継続してやっていました。その成果をしっかり出せているかなと思います。

――昨年よりも体格がしっかりしたように見えますが、筋トレは好きなのでしょうか

 筋トレはあまり好きではないです。しかし、冬の間に最低限のトレーニングはしっかりやっていました。また、寮では栄養面を考えた食事を出してくださるので、出されたものをまずはしっかり食べています。そこで、少しずつ体重も増えて良い体になってきたかなと思います。

――今シーズンはどのようなことをテーマとしてこれまで投げていますか

 昨秋の早慶戦で、一球に泣いて、一球の怖さというものを改めて感じました。その反省を生かして一球一球を丁寧に、気持ちを込めて投げるということを意識しています。

――昨年も中継ぎとして登板していましたが、昨年と比べてマウンド上での意識や心境に変化はありますか。やはり一球の怖さを意識していますか

 そうですね。昨年も非常に大事な場面で使ってもらっていたので、その緊張感や昨年の経験が、今年とても生きているのかなと感じます。今年は非常に自信を持って投げられていると思っています。

――マウンドに上がるまでの準備の段階で昨年と変わったと思うところはありますか

 自分の中のルーティンを作っています。細かく決めすぎたらそれにとらわれすぎてダメだと思うので、小さなルーティンを作っています。試合前にそれをして、良い形で試合に入っていけるかなと思っています。

――可能な範囲で、試合前のルーティンを教えていただいてもよろしいでしょうか

 朝、バスで出発する前にオロナミンCを飲んでいます。バスに乗って(球場に)行ってからのストレッチも、だいたい同じような流れでしっかり時間をかけて行っています。これをしてこれをして、ということは決めていません。自分の中で、これをやっとけば大丈夫、しっかり試合に入れるというものが見つかりました。それをしっかりこなして、試合に入ることができているかなと思います。

――今シーズンでここまで、特に印象に残っている試合はありますか

 明大との第1戦です。8回から投げさせてもらって、8回は非常に良い流れで抑えられました。しかし9回に、相手の勢いもあってピンチを作り、代わってしまいました。(次の)安田(虎汰郎、スポ1=東京・日大三)がうまく抑えてくれましたが、自分の中では悔しさも残る登板になりました。

「1点の重みが大事になってくるポジション」

【早稲田スポーツ新聞会】

――勝ちパターンとして投げることについて、プレッシャーはありますか

 プレッシャーはあります。後ろの方で投げさせてもらうことはチームの勝敗に非常に直結します。1点を守り切らなければなりません。同点までは大丈夫だけど次の勝ち越しの1点は取られてはいけないというような、1点の重みが大事になってくるポジションです。非常に緊張感があります。

――反対に勝ちパターンとして投げることに対してやりがいは感じますか

 やりがいは非常に感じています。後ろの方で投げさせてもらえば投げさせてもらうほど、勝敗に直結するところなので、自分としてもモチベーション高く(試合に)入っていけます。

――大学野球も2年目となりましたが、中継ぎとして投手陣を引っ張っていくぞという気持ちはありますか

 昨年経験をさせてもらったのでその経験を生かしてというところはあります。しかし自分が引っ張っていくというよりかは、しっかり任せてもらったところで腕を振って自分のピッチングをこなすということだけを心掛けています。

――早大のブルペン陣は現在強力だと思いますが、ブルペン陣の雰囲気はいかがですか

 鹿田さん(泰生、商4=東京・早実)、中森さん(光希、文構4=大阪・明星)をはじめ、上級生の方がすごく良い雰囲気を作って下さっています。自分が非常に投げやすいような雰囲気を作ってくださっているので、鹿田さん、中森さんには感謝しかないです。

――安田投手が活躍していたり、髙橋煌稀選手(スポ1=宮城・仙台育英)も登板していたりしていますが、1年生の活躍は刺激になっていますか

 もちろん刺激になっています。練習試合から負けたくないという思いで今もやっています。安田や髙橋といった存在が自分にとってすごくプラスになっています。自分も負けたくないという思いがあるので、しっかり投げられているかなと思います。

――宮城誇南選手(スポ2=埼玉・浦和学院)や越井颯一郎選手(スポ2=千葉・木更津総合)といった同学年の投手の活躍にはどのように感じていますか

 昨年から意識している仲間でもあり、ライバルでもあります。誇南は先発で投げてしっかり試合も作ってくれているので、誇南の後ろで投げるときは試合を崩さないように、誇南の勝ちを消さないように自分も良いピッチングをしようと思って投げています。越井や森山(陽一朗、スポ2=広島・広陵)ともブルペンで切磋琢磨して、良い関係性でやれているかなと思っています。

――以前は先発もやりたいと話されていましたが、今もその気持ちはありますか

 もちろん今も先発をしたい気持ちは持っています。しかし、今は任せてもらったところをしっかり抑えるということだけを心掛けてやっています。

「(早慶戦は)特別なもの」

【早稲田スポーツ新聞会】

――早慶戦について伺います。香西選手にとって早慶戦はやはり特別なものですか。それともいつも通りの公式戦という感覚ですか

 やはり特別なものだと思っています。周りの雰囲気や、1日に(東京六大学野球の試合が)1試合ずつしかなく土曜日と日曜日が早慶戦のためだけにあるので、特別な2試合だと思っています。

――早慶戦というものは、やはり慣れないものですか

 昨年3試合全部投げさせてもらいましたが、緊張感が非常にあった3登板でした。ふわふわしている感じというか、地に足つかずに投げている感じがあって、結果もあまり良くありませんでした。また今年も、緊張やプレッシャーを感じる試合になるのではないかなと思っています。

――香西選手が早大に入学する前から、早慶戦には憧れや意識はありましたか

 はい、ありました。小学生のとき、たまたまNHKをつけたら早慶戦の中継がありました。早稲田の応援や選手たちを見てかっこいいなと思いました。自分もその早慶戦の舞台に立ちたいと思ったことが早稲田に入りたいと思ったきっかけだったので、自分の中でも特別な思いがある試合です。

――先ほどもおしゃっていましたが、昨秋の早慶戦では悔しい思いをし、一球の怖さを知りました。今回の早慶戦でリベンジを果たしたいという気持ちはありますか

 もちろんあります。昨秋は明治戦で勝ち点を落としてからの早慶戦でした。今シーズンは勝ち点4、慶応に勝てば勝ち点5で完全優勝という中で迎える早慶戦です。もちろん勝ち点を取って、勝ち点5で優勝したいという思いがあります。

――今度の早慶戦は優勝を懸けた試合となりますが、今から緊張はありますか

 まだ今のところはないです。しっかり準備をして2週間後に合わせたいなという気持ちで練習しています。

――早慶戦を控えて、今のチームの雰囲気はいかがですか

 法政に対して非常に良い試合運びで2試合勝てました。とても良い雰囲気で、慶応にも絶対に勝ち点を取って優勝しようということを言って練習できています。とても良い雰囲気でやれているかなと思います。

――最後に、早慶戦に向けての意気込みをお願いします

 昨年負けた相手なので今年は絶対勝ち点を取って、優勝して春のリーグ戦を終わりたいなと思っています。その力になれるように、任せてもらった場面で一球一球、魂を込めて投げていきたいです。

――ありがとうございました!


◆香西一希(こうざい・かずき)
2004(平16)年10月13日生まれ。172センチ。福岡・九州国際大付高出身。スポーツ科学部2年。最近は、気分転換のためによく映画を見る香西選手。野球に集中するために、野球から離れる時間も大事にしているそうです。きっと早慶戦でも良い結果を残してくれるでしょう!
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著者プロフィール

「エンジの誇りよ、加速しろ。」 1897年の「早稲田大学体育部」発足から2022年で125年。スポーツを好み、運動を奨励した創設者・大隈重信が唱えた「人生125歳説」にちなみ、早稲田大学は次の125年を「早稲田スポーツ新世紀」として位置づけ、BEYOND125プロジェクトをスタートさせました。 ステークホルダーの喜び(バリュー)を最大化するため、学内外の一体感を醸成し、「早稲田スポーツ」の基盤を強化して、大学スポーツの新たなモデルを作っていきます。

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