快勝→薄氷 権藤可恋プロ10年目の初V

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権藤 可恋 【Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images】

 JLPGAステップ・アップ・ツアー2024シーズン第5戦『ツインフィールズレディーストーナメント』(賞金総額2,000万円、優勝賞金360万円)大会最終日が5月18日、石川県小松市・ゴルフクラブ ツインフィールズ ゴールドコース(6,484ヤード/パー72)で行われ、プロ10年目の権藤可恋が通算4アンダーで、ついに初優勝を飾った。1打差を追いかけてスタート。後半、3連続バーディーなど勝負強さを発揮した。1打差の通算3アンダー、2位はアマチュアの中村心が入り、完全Vを目指した常文恵は通算2アンダー、3位。
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 やはり、楽な優勝などなかった。プロ10年目で念願の初Vを手中にした、権藤可恋の表情が訴えている。「ホッとした。今年は絶対に1勝すると決めていたし、うれしさと安どの気持ちが今、半々ぐらいです」と話した。

 さぁ、正念場。怒とうの快進撃がスタートしたのは、11番。残り139ヤードの第2打を8Iでピン1メートルへ運んだ。きょう、2つ目のバーディー奪取。続く、パー3の12番は9Iで5メートルへつける。難しいラインを読み切り、鮮やかなカップインを決めた。

 さらに13番では5UTの巧みなクラブさばき。ピン1メートルへピタリと寄せ、3連続バーディーである。勝利をグイッと引き寄せた。「前半、緊張したせいか、プレーをしていてまったく楽しくなかった。それが後半10番のティーイングエリアから、なぜかわからないけど、すごく気持ちが楽になっていたんです。第1打、伸び伸びとクラブを振ることができて、楽しいプレーがもどってきました。あそこが、きょうのキーポイントかなぁと思います」と振り返った。

 そうはいっても、勝負はスコアを提出するまでわからない。3打差をつけて臨んだ、最終18番で苦悩があらわれた。ピンまで205ヤードの第2打。7Wを選択した。

 「ピンを向いて打ちたい。攻めて決める」と自身を鼓舞したものの、打球は右のバンカーへ飛び込んだ。続けて、前日のミスが脳裏に浮かぶ。「きのう、同じぐらいの距離をホームランした。思い出してしまった。ピンまで25ヤード。クラブが厚く入って、残り16ヤードの第4打も2.5メートルに寄っただけです。最初から、左狙いなら、こんなことはなかったけど…」という。

 さらに、意外なドラマを明らかにする。「ボギーパットを打つ前、はじめて私の順位がわかった。スコアを伸ばしているからいいポジションにはいるだろうと思ったけど、2パットで優勝…。ウイニングパットは50センチです。ちょっと手が震えていた。私も人間だなぁと思いました」。フーッと、大きく息を吐き出した。

権藤 可恋 【Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images】

 ツアー初登録は15年。TP単年登録だった。その後、18年にシード権を獲得し、JLPGA会員に。「皆さんから、たくさんの激励のメッセージを頂戴しました。ただ、入会証を手にしてから、いいショットをしなくてはならないなど、理想のゴルファー像に私自身をはめ込めと思ったのでしょうね。まったく、それまでの私のプレーが影を潜めて、ゴルフにはならない状況に…。ようやく今年、復調してきたのがわかる。そして、10年の節目、優勝することができました」と、深々と一礼した。

 次週、地域みらいグループレディス佐嘉窓乃梅カップが23日、開幕する。「きょう最後は、ダブルボギー。次は前半からコントロールして早めに2勝目をあげたい」と、さらなる飛躍を誓う。故郷での凱旋Vを思い描いても不思議はない。
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