【ラグビー/NTTリーグワン】スキを排除しD3優勝を達成。 日野RDは“エキサイティングラグビー”を貫きとおす<WG昭島 vs 日野RD>

日野レッドドルフィンズ 【©ジャパンラグビーリーグワン】

マッチエピソード&記者会見レポート
WG昭島 41-59 日野RD


神奈川県の厚木市荻野運動公園競技場で行われたクリタウォーターガッシュ昭島(以下、WG昭島)と日野レッドドルフィンズ(以下、日野RD)の一戦は、WG昭島が6トライ、日野RDが9トライと、互いに点を取り合う展開となり、59対41で日野RDが勝利。この結果、すでにディビジョン2昇格を決めていた日野RDがD3優勝も決定させた。

ここまでシーズン無敗を続ける日野RDであったが、前節の中国電力レッドレグリオンズ戦は26対26と引き分け。実力を発揮できなかった原因を探せば、前々節でD2昇格を決めたことで生まれたある種のスキだったのかもしれない。チームはとにかく、「悔しい思いをした」(苑田右二ヘッドコーチ)。

全勝ストップから3週間。悔しさを胸に秘めた選手たちは、チームが掲げる“エキサイティングラグビー“を遂行してみせた。そして、その中心にいたのが、2年ぶりの公式戦に臨んだ、スタンドオフの染山茂範だった。

日野レッドドルフィンズ 染山選手 【©ジャパンラグビーリーグワン】

「継続してアタックしていけば、どこかにスペースができるので、そこを突いていこうと話をしていました。フォワードとバックスのつながりのところは周りが情報をくれていたので、僕はコントロールするだけでした。自分が思っていたよりしっかりやれたかな」(染山)。後半12分、ピッチから下がる染山に、この日一番の大歓声が送られた。

ラインアウトからフォワードがモールで押し込みトライを決めたかと思えば、今度はグラウンドを広く使って両ウイングがトライを取る。この試合で見せたような、どこからでも、誰でも点を取れるアタックこそ、“エキサイティングラグビー”の真骨頂だろう。

来季はD2に戦いの舞台を移す。「フィジカル的には厳しくなると思いますが、もっと全員が頭を使いながら、動きも含めて、精度を高めていけば、戦えると思います」(染山)。自分たちの求める“エキサイティングラグビー”を貫くために、日野RDの挑戦は続く。

(匂坂俊之/Rugby Cafe)

【©ジャパンラグビーリーグワン】

クリタウォーターガッシュ昭島
ワイクリフ・パールー ヘッドコーチ

「日野レッドドルフィンズ(以下、日野RD)は、ディビジョン3のチャンピオンとしての姿を見せてくれました。前半は特にフィジカル面で押されている場面が多く、ラインアウトでも苦戦して、いい流れを作れませんでした。ポジティブな面としては、そこであきらめることなく、ゲームができたことだと思います」

――半田裕己選手、椎名耀二選手がファーストキャップでしたが、二人の評価を教えてください。
「半田の判断で自陣から脱出したことも何度かありました。後半は競った試合ができるようになってきて、いいパスもありました。チームにいる10番(スタンドオフ)の中では、キックゲームに一番適している選手だと思います。椎名に関しては、強い相手と試合をするという環境で、少しでもプレーできたことは、いい経験になると思います」

――後半の4連続トライのように、自分たちのプレーを前半から出すためには何が必要でしょうか?
「ラグビーにミスはつきもので、そこに対してどうするか。あまり必要以上に考えすぎないことが大事だと思います。前半はミスして落ち込んでしまって、そこにつけ込まれてしまいました。自分たちにとっては厳しいシーズンになっているので、勝ちたいという気持ちが先行してしまっていると思います。結果ではなく、まずはやってみること。そこから結果がついてくると思いますし、あとはラグビーを楽しむことが必要だと思います」

クリタウォーターガッシュ昭島
中尾泰星ゲームキャプテン

「前半、日野RDの出足の速いディフェンスに対して、自分たちのアタックができませんでした。攻めてはいても、ミスで終わってしまう。ミスからつけ込まれて、自陣でペナルティをして、自分たちの首を絞めてしまいました。後半はトライを取って、(勢いに)乗っていけましたが、エンジンが掛かるのが遅すぎました。これを前半の最初からできるようにしないといけないのが今後の課題だと思います」

【©ジャパンラグビーリーグワン】

日野レッドドルフィンズ
苑田右二ヘッドコーチ

「『この試合に勝てば(D3)優勝だ』ということは、この2週間は一切言いませんでした。(前節の)中国電力レッドレグリオンズ戦ではエキサイティングなラグビーをできなかったので、日野RDらしいラグビーをすることにフォーカスしてきました。リーダーを中心にしっかり練習できたことが、この結果につながったと思います」

――ここまで無敗。強さの秘訣はなんでしょうか?
「アタックに関しては、それぞれが自分の役割を理解して、常に全員がランナーになりながら、空いているスペースにボールを動かせています。特に9番(スクラムハーフ)の橋本法史と10番(スタンドオフ)のサイモン・ヒッキーが引っ張ってきてくれたと思います」

――2年ぶりの公式戦となった染山茂範についての評価を教えてください。
「今日はサイモン(・ヒッキー)がけがで出られませんでしたが、染山がサイモン(・ヒッキー)に引けを取らないリードをしてくれて、いつものわれわれのラグビーを遂行してくれました。本当に良かったと思います」

――D2でも結果を残すためには、何が必要だと思いますか?
「メンバーが変わっても、(同じ精度のラグビーを)80分間どれだけやり切れるかが重要になってくると思います。D2はフィジカルの強度がさらに高くなるので、その中でフェーズを重ねて、いい判断を積み重ねることが大事だと思います」

日野レッドドルフィンズ
橋本法史バイスキャプテン

「まずは勝てたことがうれしいです。前半は自分たちのやりたいラグビーができましたが、後半は自分のシンビンもあったりして、失速してしまったので、そこを課題として、残り2試合で取り組んでいきたいです」

――後半に失速した理由はどんなことにあるのでしょうか?
「風の影響もあって、チームがバタバタしてしまいました。あとは、10番が交代してから、少しゲームをコントールし切れなかったかなと。そこは80分間、(同じ精度で)戦っていけるチームにならないといけないです」
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著者プロフィール

ジャパンラグビー リーグワンは、「あなたの街から、世界最高をつくろう」をビジョンに掲げ、前身であるジャパンラグビー トップリーグを受け継ぐ形で、2022年1月に開幕した日本国内最高峰のラグビー大会です。ラグビーワールドカップ2023を控え、セカンドシーズンとなるリーグワン全23チームの熱戦をご期待ください。

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