【SABR】「損な打順」は何点分損するのか
■最適な打順とは
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この戦術にXでは批判がちらほら散見されます。「出塁能力の高い近藤を前の方に置き、その後に長打力のある柳田や山川を並べるべきだろう」と。一見筋の通った意見に思えますが、果たしてシーズンにどのような影響を及ぼすでしょうか。
ところで、セイバーメトリクスにおいては「打順」についても研究対象となっており、既に「現段階の最適解」なるものがMLBにも浸透しています。以下簡単に紹介。
①基本的には打力順で配置。
②1、2、4番は特に優れた打者を配置。
③1、2番は出塁能力に優れた打者、4番は長打力のある打者を。
④3番は2アウトで巡ってくるケースが多い。②よりは打力で劣る。
⑤6〜9番は重要度低。打力順で並べるべき。
https://full-count.jp/2015/08/07/post15318/(https://full-count.jp/2015/08/07/post15318/)
上の打順が最適とされています。「二番打者最強論」などは既に野球ファンにも多く知られてるところです。
とはいえ、ファンの間でも打順をめぐる論争はしばしば起こっているのが実状。上で紹介した近藤の打順も、分析結果に則ると損と言える可能性が高いでしょう。
では「損な打順」とは実際にどれほどの損失が見込まれるのでしょうか。今回は、同じメンバーであえて損な打順を組み、どれほどの差が生まれるのかを検証してみたいと思います。
■計算方法
まずは2023年シーズンの打順別成績。
https://www.fangraphs.com/leaders/major-league?pos=all&stats=bat&lg=all&qual=y&ind=0&type=8&team=0%2Css&startdate=&enddate=&month=0&season1=2023&season=2023(https://www.fangraphs.com/leaders/major-league?pos=all&stats=bat&lg=all&qual=y&ind=0&type=8&team=0%2Css&startdate=&enddate=&month=0&season1=2023&season=2023) 【鯖茶漬】
計算方法は以下。
①打順をクルッと逆に配置。
②変更前、後のwOBAの差から打席数の減少を算出。
③②で減少した打席数を考慮し、各打順の1試合あたりのwOBAの差を算出。
④wOBAの差から損失得点を算出。
ちょっと荒いですがこれで。
■影響はどれくらいか
【鯖茶漬】
②得点損失によるチーム打席数の減少を考慮します。計算方法は以下。
①変更前、後の打順それぞれの打者で「1-wOBA」で「1打席あたりのアウト数」を計算。
②打席数を掛け、1試合あたりのアウト数を算出。
③変更前、後のアウト数を算出し、アウト数が同じになるよう打席数を調整。
上の計算を行うと、変更前は1試合あたり25.820アウト、変更後は25.904アウト。162試合あたり13.4打席とわずかな差ですが、この数字に加重をかけて打順変更後の9人に分配します。
【鯖茶漬】
③減少した打席数を考慮し、変更前と変更後での各打順のwOBAの差を算出。1打席あたりの損失に各打順の打席数を掛け、1試合あたりの損失を見てみます。
diff/G合計-0.082。 【鯖茶漬】
④wOBAは出塁率スケールに合わせるwOBAScaleの数値が掛かっています。なのでこの数値で割ってあげましょう。
0.082÷1.204=0.068点(1試合あたりの損失)
■結果
実際のゲームにおいて、あえて「損な打順」を組もうとすることはほとんどないと仮定すると、打順が成績に与える影響はこれ以上に小さそうです。とはいえ、最適解が出ている以上、その理屈を理解した上でベストなオーダーを組むことが大切でしょう。
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