早大水泳部 松本が悲願のパリ五輪内定!!  長い戦いもついに閉幕

チーム・協会
【早稲田スポーツ新聞会提供】記事 神田夏希、写真 新井沙奈、大村谷芳
国際大会代表選手選考会(50m) 3月24日 東京アクアティクスセンター
国際大会代表選手選考会最終日、会場はこれまで以上の熱気に包まれた。この日は決勝レースのみが行われ、パリ五輪代表をかけた熾烈な争いが繰り広げられた。



★松本が2位、パリ五輪代表内定!

 早大からは唯一、パリ五輪代表入りを狙う松本信歩(スポ3=東京学芸大附)が、200メートル個人メドレー決勝に出場した。「この種目で代表権をとるために練習してきた」という松本。パリ五輪代表内定の条件は、派遣標準記録の突破と、決勝で2位以内に入ること。100メートルバタフライ決勝では派遣標準記録をクリアしたものの、3位という結果に終わり、あと一歩のところで五輪への切符を逃した。100メートルバタフライ、100メートル自由形を終え、「もう後がない」と、すぐに切り替えて臨んだ本命の200メートル個人メドレー。100メートルの反省を生かし、修正を重ねこの種目に向けて調整してきた。
 そして迎えた200メートル個人メドレー決勝。緊張しつつも笑顔で、第2レーンに登場した松本。第3レーンには勢いのある、高校生の成田実生(金町SC)、そして第4レーンには東京五輪二冠の大橋悠依(イトマン東進)が姿を見せ、大注目のレースとなった。勢いよくスタートを切ると、松本が浮き上がりから先頭に抜け出した。バタフライを27秒83という好タイムで泳ぎ、最初の50メートルを1位で折り返す。しかし背泳ぎに入ると大橋、成田が迫り、大橋に次ぐ2位で成田とはほぼ同時に、後半の平泳ぎに突入した。大橋、松本、成田の3人で代表権を争う展開となる。そして最後の自由形へ、2位で150メートルを折り返す。今まで最後の15メートルで抜かれてしまう展開が多く、最後勝ち切る練習を重ねてきたという松本。先を行く大橋と、迫ってくる成田の姿を捉えながらラストスパートをかけた。最後逃げ切り、見事2位でのフィニッシュとなった。自己ベストとなる2分09秒90を叩き出し、派遣標準記録を突破。パリ五輪代表内定を決めた。
フィニッシュ後、電光掲示板でタイムを見た松本は大きくガッツポーズをし、喜びをあらわにした。インタビューに向かう松本の目には涙が浮かび、感極まりながらも終始笑顔で質問に答えた。日々練習を積み重ね、自己ベストを更新していき、この200メートル個人メドレーにしっかりと調子を合わせてきた松本。その努力が実を結び、結果につながった瞬間だった。パリ五輪に向けて、目指すところについては今後考えていきたいと語った。パリでは、どんな姿を見せてくれるだろうか。世界の舞台で、さらに成長した松本の姿を見れることを期待したい。
★8日間にわたる戦いが閉幕

8日間にわたって行われた選考会がついに幕を閉じた。パリ五輪代表をかけた大会なだけあり、注目度の非常に高いレースが続いた。特に決勝レースは歓声が響き渡り、会場は熱い盛り上がりを見せた。早大からは計42レースに22名の選手が出場。そのうち8名が準決勝に、6名が決勝に進出した。注目の大舞台で選手たちには緊張の色が見えたが、それぞれが大健闘を見せてくれた。それぞれが自身の泳ぎに向き合い、課題も見つかったこの選考会。もっと強くなるために、選手たちは前を向き次を見据えていた。4月には新入生を迎え、早大水泳部は東京六大学水泳対抗戦や日本選手権、そして夏の日本学生選手権へと進んでいく。さらなる高みを目指す選手たちの、今後の活躍が楽しみだ。

結果

◇決勝

女子200メートル個人メドレー

松本信歩 2分09秒90【2位】自己ベスト、パリ五輪内定、派遣標準記録突破、日本学生選手権突破

コメント

松本信歩(スポ3=東京学芸大附)

――今日の泳ぎを振り返って


 200メートル個人メドレーで代表権をとることを目標にやってきて、もうこの種目本当にあとがなかったので、ここで代表権をとれたのは本当に良かったし、うれしいです。練習をちゃんと積めてきているのがタイムに出ていると思います。練習でとにかく負けないように、最後勝ち切るための練習をしてきたことが良かったです。1月の試合とかで最後15メートルで抜かれてしまうという展開がすごく多くて、そこはすごく意識して練習していました。練習の最後一番きついところでいい泳ぎを維持するということをずっとやってきたので、それが生きたと思います。



――去年の挑戦と今回の挑戦では何が違ったか

 パリ五輪の年ということで、周りの選手もタイムを出してきていてそれで意識が変わったということもありました。どの選手もパリ五輪を狙ってよい練習をしていたので、それに影響を受けて頑張れたということが大きいと思います。年明けから調子が良いということはタイムで示せていたので、レースに臨む気持ちも、練習に対しても前向きにいれました。その分今回最後にタイムが出せたと思います。



――ハイスピードな派遣標準記録を大幅に上回るタイムだったが

 派遣標準記録はこの間のコナミオープンで突破できて、派遣記録よりも順位の争いになると思っていたので、そこはちゃんと自分でタイムを出せたので良かったと思います。



――レース前、自信はあったか

 かなりレース前は緊張していて、100メートル自由形の時に緊張して舞い上がってあまり良い泳ぎができなかったので、落ち着いてということを意識しました。自信もあり不安もあり緊張もあるという感じで、ただ、ずっと良いレースがここ最近できていたので、結構自信もありつつ、でも緊張も大きかったです。最後は楽しんで終われたと思います。



――大橋選手、成田選手は意識したか

 準決勝で良いコース取りができて、最後二人とも見えている状態でした。二人がいたからこそタイムを出せたし頑張れました。



――悔しい序盤から今日までの気持ちのつくり方は

 100メートルバタフライは狙い始めたのがついこの間だったので、200メートル個人メドレーにすぐ切り替えました。100メートルバタフライと100メートル自由形での失敗をとにかく修正して、だからこそ勝ち切れたと思います。



――パリへの意気込み


 とにかくここで代表権をとるということを目標にやってきて、今はそれを達成してうれしいというところなんですけど、パリに向けてはここでもう一度気持ちを切り替えてまた考えていこうと思っています。予選からタイムを出すということを本番ではやらなくてはいけないけれど、そこが今できていない部分なので、そこをちゃんとやって、何番を目指すかということはこれから考えていきたいと思います。
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著者プロフィール

「エンジの誇りよ、加速しろ。」 1897年の「早稲田大学体育部」発足から2022年で125年。スポーツを好み、運動を奨励した創設者・大隈重信が唱えた「人生125歳説」にちなみ、早稲田大学は次の125年を「早稲田スポーツ新世紀」として位置づけ、BEYOND125プロジェクトをスタートさせました。 ステークホルダーの喜び(バリュー)を最大化するため、学内外の一体感を醸成し、「早稲田スポーツ」の基盤を強化して、大学スポーツの新たなモデルを作っていきます。

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