【連載】早大『令和5年度卒業記念特集』 髙見愛佳/アーチェリー
「誰も諦めないチーム作り」を目指して
関東学生リーグ戦で行射する髙見 【早稲田スポーツ新聞会】
「私が思い描いていた大学アーチェリーではない」。大学に入学して早々、新型コロナウイルスによって一変した試合や練習のあり方にこう感じたという。いつもは各大学の応援合戦でにぎわう全日本学生王座決定戦(王座)は応援が禁止になり、部員全員で戦う団結力が感じにくくなった。8月になり部活動が再開しても、練習は分かれて行うことが多く、同期と関わる機会は少なかった。そんな中開催が決定した9月の王座には1年生ながら団体メンバーとして出場した。結果はアーチェリー部史上初の準優勝。嬉しさよりも悔しさが勝った。それでもこの王座は髙見にとって、それから4年間に渡り、部活動に取り組む原動力になったという。
それから2年。3年ぶりの有観客での開催となった王座の舞台に髙見の姿はなかった。学内の団体メンバー選考に落ちてしまったためだった。2年生の終わりごろから調子が上がらず、必死に練習しても点数が伸びない時期が続いていたという。王座後に代替わりがあり、すでに女子主将になることが決まっていた髙見は「気を落としている場合ではない」と切り替えて、自分の点数と向き合った。手探りであったが、コーチに何度もアドバイスをもらったり、練習場所を高校時代の射場に変えたり、試行錯誤を繰り返した。その努力の結果、2023年、引退試合となる最後の王座に、髙見は再び選手として出場することとなった。結果は4位と満足のいくものではなかったが、髙見にとって初めての「応援と一体になって射つ王座」は幸せで楽しかったという。
最後の王座ではメンバー唯一の4年生として笑顔でチームを率いた 【早稲田スポーツ新聞会】
早稲田大学での4年間を通して、アーチェリーの成績だけでなく、チーム作りにおいても多くの成果を残した髙見。2023年度アーチェリー部に入部した1年生はほとんどが未経験者だったが、「アーチェリーはやればやるだけ伸びるスポーツ」という髙見の言葉通り着実に点数を伸ばしている。これから髙見たちが残したチームの下で、アーチェリー部がさらなる成長を見せてくれることを楽しみにしたい。
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