【柏レイソル】開幕ダッシュの影の立役者は!?「2024Reysol Report Vol.2」

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【©️KASHIWA REYSOL】

 若手選手がチャンスを掴み、ピッチの上で溌剌としたプレーを披露する姿は、いつの時代でも期待感を抱かせる。今年は土屋巧と山本桜大、この二人が開幕戦から3試合連続で起用されており、2024年シーズンのブレイクに期待がかかる。特に前節のジュビロ磐田戦では、二人とも出色のパフォーマンスでチームの連勝に貢献してみせた。

 後半はジュビロが長身FWのマテウス・ペイショットを投入し、ジャーメイン良との高さのある2トップで、ハイボール主体の攻撃へと戦い方を切り替えてきた。古賀太陽と犬飼智也は、強風の影響でボールの軌道の予測が難しい状況にも冷静に対応していたが、一度でも対応を誤れば大ピンチが訪れる、そんな時間帯が続いていた。

2年目の土屋は昨季DFとして台頭、今年は本職のボランチで躍動する 【©️KASHIWA REYSOL】

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 そこで起用されたのが土屋と山本だった。二人はともに68分に途中出場でピッチに立った。ペイショットとジャーメインに入るハイボールを、土屋がボランチの位置で競ることで、古賀と犬飼が構えていられる状況を作り出した。土屋はもともとヘディングの強い選手だ。入ってくるボールを弾き返し、なおかつセカンドボールを回収しては、的確にパスをつないでマイボールの時間を作った。

 山本もまた、持ち前のスピードを活かして、前から奪いにいくというチームの守備の強度を落とさず、彼のプレッシャーがロングボールの出どころへの牽制にもなった。さらにボールを持ったときは、松原后やリカルド・グラッサに体をぶつけられても崩れることなく、前線でボールをキープしてタメを作るタスクを遂行していく。90分を通じて全選手が集中力を切らすことなく、アラートに戦ったゆえの勝利ではあるが、その中でも若い二人の投入は、勝敗を大きく左右した前節の大きなポイントになった。

同じく高卒2年目の山本は攻守にわたるハードワークが光る 【©️KASHIWA REYSOL】

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 試合後、井原正巳監督は、二人を開幕から3試合連続で起用する理由を述べた。
「二人とも力があるので、桜大に関しては推進力がありますし、攻守両方に渡って小屋松と同じような役割ができますし、体も強く、実力的にも伸びてきている。土屋に関しても同じで、ボランチは彼本来のポジション。セカンドボールを回収し、ボールを落ち着いて回せるようになっている。二人とも、今、伸び盛りの選手だと思います」

ストライカーとしてJ1初ゴールという結果を狙う山本 【©️KASHIWA REYSOL】

 長年の取材で感じていることは、若手選手の活躍は、近い世代に連鎖反応を引き起こすのか、軒並み活躍する選手が出てくる傾向にあること。例えば、大谷秀和コーチの若手時代も、矢野貴章、谷澤達也、小林祐三といった近い年代の選手たちが主力選手として活躍していた。2011年にも、酒井宏樹、工藤壮人、茨田陽生の台頭があり、2016年には中村航輔、中谷進之介、中山雄太ら、若い選手たちが守備陣の柱になった。今のレイソルには土屋、山本と同世代の若手が大勢いる。きっと彼らも二人の活躍に刺激を受け「俺たちも!」と、より熱を込めてトレーニングに打ち込んでいることだろう。

レイソルから今や日本代表に上り詰めた中山雄太、彼のブレイクもプロ2年目だった 【©️KASHIWA REYSOL】

 今年はルヴァンカップの大会方式が変わり、グループステージで若手に経験を踏ませる機会が少ない。その点を井原監督に聞くと、今年は例年以上に練習試合を多く組むことで、若手選手が実戦でプレーする機会を増やしているという。
「みんなが意識高くやってくれているので、いざ出番が来たときに、必ずその成果を出してくれると思っています」(井原監督)

 開幕3試合で2勝1分と好スタートを切ったレイソル。今季からの新たなチャレンジにより、チームは現在成長過程にある。そこに若手選手たちの下からの突き上げがあれば、チームはもっと強くなるだろう。

【文】柏レイソルオフィシャルライター:鈴木潤
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著者プロフィール

1940年に母体となる日立製作所サッカー部が創部、1995年にJリーグに参戦。1999年ナビスコカップでクラブ史上初タイトルを獲得。ネルシーニョ監督のもと、2010~2011年には史上初となるJ2優勝→J1昇格即優勝を成し遂げる。さらに2012年に天皇杯、2013年に2度目のナビスコカップ制覇。ホームタウンエリアは、柏市、野田市、流山市、我孫子市、松戸市、鎌ケ谷市、印西市、白井市の東葛8市。ホームスタジアムは、柏市日立台の「三協フロンテア柏スタジアム」。主な輩出選手は、明神智和、酒井宏樹、中山雄太。

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