【柏レイソル】新たな取り組みの成果を開幕戦で!「2024Reysol Report Vol.1」

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ベースと上積み

 昨シーズンはリーグ17位、最終節で辛くも残留を決めたレイソルにとっては、下位から脱却し、いかに上位戦線に食い込んでいけるかは今シーズンの大きな焦点となる。
 昨シーズンも8月以降の戦い方は決して悪くはなかった。前半戦に大きな課題を露呈した守備面には、7月の中断期間に時間をかけて戦術練習を行ったことで戦い方が整理され、なおかつ期限付き移籍で加入した犬飼智也が最終ラインに安定感をもたらした。
 天皇杯決勝では120分間に渡り川崎フロンターレを上回り、PK戦の末、優勝こそ逃したものの、選手が見せたあのアグレッシブなパフォーマンスは、2024年シーズンへの期待を抱かせるには十分の内容だった。

井原正巳監督は堅守速攻に加え、戦術幅のある戦い方をめざす 【©️KASHIWA REYSOL】

 新シーズンを迎えるにあたり、井原正巳監督はチーム作りのコンセプトを以下のように語っている。
「昨シーズンの後半戦の戦い方をベースに、今シーズンはそこに足りなかったものを上積みしていく」
 では、足りなかったものとは何か。昨シーズンのレイソルの総得点は33。これはリーグワースト2位の数字だった。攻撃では細谷真大とマテウス・サヴィオが圧倒的な存在感を誇示したとはいえ、彼らの個の能力に委ねる傾向が強く、チーム全体で相手を押し込み、圧力をかけてネットを揺らすという術には欠けていた。それがリーグ最多15の引き分けの一因でもあり、優勢に試合を進めながら勝ちきれなかった天皇杯決勝も、結局はその課題が出てしまったと言える。

天皇杯決勝で違いを見せたサヴィオ、今年も司令塔として期待される 【©️KASHIWA REYSOL】

 昨シーズンのラスト4試合を振り返っても、内容的には全てレイソルが勝ってもおかしくはなかった。いずれの試合もレイソルがリードを奪ったにもかかわらず、終盤の失点で勝点を取りこぼした。勝点12を取れた可能性のあった試合が勝点4に終わる。これは大きな違いである。
 もちろん失点を防ぐには、守備面のさらなる強化も必要だが、一方でチーム全体の攻撃力を上げて追加点を奪えるようになれば、勝ちきれる試合は自ずと増える。また、昨シーズンは後半になると守勢に回り、相手の攻撃を受けてしまう時間帯が長かったが、自分たちがボールを保持する時間を増やせれば、相手の攻撃機会の減少にもつながる。

完全移籍で加入した犬飼智也もボール保持の重要性を唱える 【©️KASHIWA REYSOL】

 それこそが、井原監督の言う「足りなかったものの上積み」となる。1月の始動からキャンプにかけて、今年は午前と午後の2部練習を組み、フィジカル面の強化のみならず、ボール保持に向けて戦術面の落とし込みを徹底して行った。
 レイソルがめざすのは、必ずしもポゼッションに特化したチームではない。そこは古賀太陽が「ポゼッションとか、カウンターとか、どちらかというのではなく、両方できるのが強いチーム」と言うとおり、状況に応じて戦い方を使い分けることのできる戦術のハイブリッド化と言う方が適切だろうか。

今季もキャプテンを務める古賀太陽、得意のパスでチームを浮上させたい 【©️KASHIWA REYSOL】

 18日のちばぎんカップでは、ジェフユナイテッド千葉に1−2で敗れた。内容的には満足できるものではなかったが、公式戦に近い環境の中で、相手のプレッシャーを受けながら現状でどの程度ボールをつなげるかというテスト的な意味合いを持って臨んだ試合とあって、チームの課題を明確にできたことは前向きに捉えていい。あとは、それをどう修正していくか。強みでもある堅守速攻に上積みできるか。その作業が求められる。
 戦術面の上積みを目指しながら、同時に結果を出すことは非常に難しい。だが2024年のレイソルは、そこにあえてチャレンジをする。再び勝つチームになり、強いレイソルを取り戻すために。

【文】柏レイソルオフィシャルライター:鈴木潤

昨年の14得点を上回り「得点王」を目標に掲げる細谷真大 【©️KASHIWA REYSOL】

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著者プロフィール

1940年に母体となる日立製作所サッカー部が創部、1995年にJリーグに参戦。1999年ナビスコカップでクラブ史上初タイトルを獲得。ネルシーニョ監督のもと、2010~2011年には史上初となるJ2優勝→J1昇格即優勝を成し遂げる。さらに2012年に天皇杯、2013年に2度目のナビスコカップ制覇。ホームタウンエリアは、柏市、野田市、流山市、我孫子市、松戸市、鎌ケ谷市、印西市、白井市の東葛8市。ホームスタジアムは、柏市日立台の「三協フロンテア柏スタジアム」。主な輩出選手は、明神智和、酒井宏樹、中山雄太。

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