【Inside Story】コベルコ神戸スティーラーズ 営業マーケティンググループ 馬場 渚子
神戸製鋼所東京本社から2021年10月ラグビーセンターへ。パートナー営業として、3年目のシーズンに突入した。 【コベルコ神戸スティーラーズ】
ラグビーの魅力を知ったのは学生時代
現在、彼女の上司にあたる営業マーケティンググループのグループ長 本田 康信氏は
「常に先を見ながら、パートナー企業とチームの立場に立って物事を多角的に考えて営業活動を行ってくれています。チームと企業をつなぐ“架け橋”として、なくてはならない存在です」と働きぶりを評価する。
彼女がフロントスタッフに加わったのは、リーグワンが開幕する直前の2021年10月。リーグワンでは、各チームはホストゲームでの興行権を持ち、チケット販売やスポンサー獲得により収益向上を図ることとなった。
当時、ラグビーセンターでパートナー営業を担当していたのは、チームのOBである平田 貴博氏。明治大学を経て、神戸製鋼コベルコスティーラーズ(当時)で6年間プレーし、全国社会人大会で2度の優勝、トップリーグ初代王者を経験している。チームの歴史はもとより、ラグビー全体に造詣が深い。
パートナーやサプライヤーを獲得するためには、“商品”である神戸スティーラーズのことやラグビーの魅力を伝えないといけない。
「平田さんと違ってチームやラグビーに対して絶対的に知識が足りなかったので、勉強するところからはじめました」と馬場さん。
そんな彼女とラグビーの接点は、大学時代。
それまでラグビーとは無縁だった。
中学、高校時代は陸上部に所属し、400mリレーや1600mリレーの選手としてインターハイに出場したことも。
進んだ同志社大学ではスポーツ好きが高じて、同志社スポーツアトム編集局の門を叩き、体育会機関紙の製作に携わることとなった。
ちなみに、同志社大学で彼女と同じ学年には、7人制日本代表として東京五輪に出場し、現在、横浜キヤノンイーグルスで活躍する松井 千士らがいる。
ラグビー部への取材活動を通じて、ラグビーという競技の奥深さや面白さに気付かされたというが、神戸製鋼所入社後、スティーラーズの試合を見る機会はなかった。
「渡邉 隆之選手や三重ホンダヒートに移籍した重 一生選手らが同期入社です。渡邉選手とは研修の時に席が近かったこともあり、仲良くなりました。トップリーグで優勝した2018-19シーズンは東京本社に勤めていましたし、決勝戦に行きたかったのですが、結局、時間を作れず現地で見ることができなくて。今となってはそれがとても残念です」
パートナー営業として、できることから取り組んだ
そこに、たまたまラグビーチームがあったというわけだ。
「実は……」と申し訳なさそうに、ラグビーセンターの前身であるラグビー部支援室が一体どのようなことを行っている部署なのか全く知らなかったと教えてくれた。
それゆえに、ラグビーセンターへの異動は予想外のことだった。
「神戸製鋼所に入社してから4年半、東京本社で半導体製造装置などの部品営業を行っていました。東京から神戸へ。人脈、ツテもない中で営業としてゼロからのスタートになります。不安しかなかったです」
そう振り返り、これまでの道のりは平坦ではなかったと話す。
続けて、
「既存のシェアをしっかり守りつつ、新規を獲得していくという根本的な向き合い方は東京本社での営業活動と一緒ですが、商材やアプローチが全く違うので最初は苦戦しました。それに、いきなり社長や取締役、部課長といった上位職の方と商談を進めることが増えるなど、不慣れなことばかりでした」とも。
先に触れたチームのことを知ることからスタートし、パートナー営業として何ができるのか模索しながらセールスに励んだ。
人脈をコツコツ築いていくことはもちろん、時には神戸製鋼所が出展する展示会へと足を運び、ラグビーに興味のありそうな会社に売り込みをかけた。
また、チーム公式HPに「パートナー」のコーナーを設け、興味のある企業に向けての問い合わせ先やメニューなどを掲載するようにした。
地道な活動が実り、新たにいくつかの企業とチームをつなげることができた。
「昨シーズンから補食用のパンを提供していただいているイスズベーカリー様には、サイズ、材料を変えて作ってもらうなど、あたたかいサポートをいただいています」と感謝する。
チームと企業が共に笑顔になれるよう、メニュー開発に取り組む
「着任前は、広告宣伝を目的としたスタジアムやウェアへの商品やロゴの掲出が一般的な協賛意義と捉えていましたが、企業様と向き合う中で、求められるニーズは多種多様だと改めて気付かされました。企業様との向き合いの中で、ニーズを汲み取って新たなメニュー開発や満足度向上に繋げていくのと同時に、神戸スティーラーズはもちろん、ラグビーというスポーツそのものの魅力をしっかり企業に伝えていきたいです」
彼女を含めてパートナーへの営業を行う4名のフロントスタッフの努力もあり、現在、パートナー企業は90社を超える。
馬場さんは
「協賛してくれる企業と契約を結ぶことだけが、パートナー営業担当の仕事ではありません。神戸スティーラーズのパートナーで良かったと心から思ってもらえるよう日頃から信頼関係をつくっていくことを一番大切にしています」ときっぱり。
パートナーへのホスピタリティの一環に選手との交流会がある。
ただ、リーグワンが開幕してからコロナ禍ということもあり、なかなか選手とパートナー企業の関係者が直接交流する会を開催できずにいた。それがようやく昨シーズン終了後、パートナー企業を招いてシーズン報告会を行うことができた。今シーズンは、プレシーズンマッチ最終戦となった花園近鉄ライナーズ戦において観戦会と決起集会を実施。どちらも終始笑顔があふれる会となった。
彼女が特に印象深いと話すのが、決起集会での出来事。
グラウンドで記念撮影を行った後、その場で選手らは解散となり、各々駐車場へと移動する段取りになっていたのだが、選手らが自発的に花道をつくり、パートナー企業の関係者を拍手とハイタッチで見送った。
「パートナー企業の方々はとても喜んでくれましたし、少しずつ積み上げてきたものが実感できた瞬間で、選手の皆さんにも感謝の気持ちでいっぱいです」
一昨年は7位、昨シーズンは9位に終わり、パートナー企業の関係者からも残念がられることが多かったというが、「成績については私たちではどうすることもできません。成績以外の面で営業担当として企業の皆様に笑顔になってもらえるよう頑張ります」と馬場さん。
神戸製鋼所入社して4年半は同期と大学時代の先輩の林 真太郎選手以外の選手は知らなかったというが、ラグビーセンターへ異動後、チームに対しての思いは高まっている。
これからも馬場さんは多角的な視点と持ち前の行動力で神戸スティーラーズと企業をつなげていく。
文/山本 暁子(チームライター)
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現在、パートナー企業は90社を超える。パートナーの新規獲得だけでなく、既存パートナーの満足度を上げるためのメニュー作りにも力を入れる。 【コベルコ神戸スティーラーズ】
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