フロンターレ組のアジアカップ

川崎フロンターレ
チーム・協会

トレーニングパートナーとしてアジアカップに参加する大関友翔 【(c)Hayashi Ryohei】

遠く離れた中東の地、カタールで日本代表がアジアカップに挑んでいる。ここまで2試合を終えて思うような結果は出ていないが、それでも懸命に優勝を目指す選手たち。苦しみながらも勝ち進むことで、頂点にたどり着こうとしている。

今回のメンバーにはフロンターレにゆかりのある選手が多い。トップチームでも活躍した谷口彰悟、守田英正、三笘薫、旗手怜央、板倉滉。短期間ではあるが育成組織時代を過ごした久保建英。それぞれがそれぞれの歩みをたどりながら、日本代表の舞台で輝きを放っている。

そんなアジアカップの舞台にトレーニングパートナーとして参加している選手がいる。昨年、川崎フロンターレU-18からトップチームに昇格し、今年は育成型期限付き移籍で福島ユナイテッドFCでプレーすることが決まっている大関友翔だ。

今回、U-19日本代表の世代から5選手がトレーニングパートナーとして参加。基本的にミーティングから食事、移動等を含め、すべてA代表の選手たちとともに行動し、トレーニングでも同じようにプレーするなど陰ながらチームを支えている。

初日から参加している大関は、「サッカーをやっていたら絶対に憧れる場所」で貴重な時間を過ごしている。

「憧れの選手とともに、トレーニングパートナーという形ではありますけど、SAMURAI BLUEの一員になれたことはうれしく思います。それと同時に自分がプレーしている中で、自分の基準の低さやA代表の基準の高さを感じている。自チームに帰ってもそうですし、これからこの基準を忘れないようにしないとA代表に入っていけないんだなと、この期間、毎日感じています」

【(c)Hayashi Ryohei】

現在、A代表の選手たちの多くは世界のトップリーグでプレー。名だたるプレイヤーと対峙する刺激的な日々を送っている。世界の基準はどういうものなのか、日本とはどんな違いがあるのか。気になったことがあれば先輩たちに声をかけ、話を聞いてはいろいろなものを吸収している。

「自分のやってきたサッカーというか、小さい頃から組織で守ることを結構やってきたと思うんですけど、実際に代表の人たちとやってみると“個”で守らないと話にならないなと感じました。実際に自分がトレーニングの中でボランチとして出る時になおさら感じていて、守田さんも(遠藤)航さんも一人で守れるので、そこの差はすごく感じています」

また、ともに過ごす時間が多いからこそ見えてくるものがある。普段からサッカーについてのコミュニケーションを取り、時には討論を重ねながらチームを構築していくプロセスは、大関にとって新たな刺激になっていると語った。

「ホテルでもサッカーについてのコミュニケーションが本当に多いなと感じましたし、食事中も練習の合間も全部サッカーのことに関してみんながアプローチしている。そういった意味では、自分たちの年代、U-19の代表ではまだまだ足りないと思うし、プロとしてコミュニケーションを取るというところは、A代表の選手たちはすごく長けているなと感じます」

そういった違いをこういう年代で知ることができているのは、やはりトレーニングパートナーに選ばれたから。だからこそ、このタイミングでの経験は大きいと言えるが、大関は「19歳はあまり若くないと思っている。世界的に見たらもっとA代表に入っていかないといけない年代だと思うので、ここで感じているだけではまだまだ遅い」と主張。「ここで一層、気を引き締めてやらないといけないなと感じています」と語るように、今回のことに満足して終わるのではなく、これをすぐに糧としてどんどん成長していかないといけないと強く胸に誓っている。

もちろん焦りは禁物だ。まずは今、自分ができることに目を向け、一歩一歩成長していく。それこそがA代表への道だと気づいている。

「(三笘)薫さんも(旗手)怜央さんも意外と日本では2年程度しかやっていない。そういった意味では常に海外思考というか、海外を意識してやるべきだなと話していて感じました。でも、やはり薫さんも怜央さんもJリーグでしっかり結果を出してから行ったので、自分ももっと試合に出られるように今年1年頑張っていこうと思います」

5年前、アジアカップのトレーニングパートナーとして参加していた三笘と旗手は、そこから大きな成長を遂げ、今では日本代表の一員として大舞台に挑んでいる。大関も同じように、この経験を糧に成長を遂げることができるか。次のアジアカップ、A代表の一員としてピッチに立つ大関の姿を期待したいところだ。

(取材・文:林遼平)
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著者プロフィール

神奈川県川崎市をホームタウンとし、1997年にJリーグ加盟を目指してプロ化。J1での年間2位3回、カップ戦での準優勝5回など、あと一歩のところでタイトルを逃し続けてきたことから「シルバーコレクター」と呼ばれることもあったが、クラブ創設21年目となる2017年に明治安田生命J1リーグ初優勝を果たすと、2023年までに7つのタイトルを獲得。ピッチ外でのホームタウン活動にも力を入れており、Jリーグ観戦者調査では10年連続(2010-2019)で地域貢献度No.1の評価を受けている。

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