早大ラグビー蹴球部 「ただただみんなともっとラグビーがしたかった」(伊藤主将)  まさかの準々決勝敗退 チーム伊藤の『荒ぶる』の道途絶える

チーム・協会
全国大学選手権 12月23日 対京産大 大阪・ヨドコウ桜スタジアム
【早稲田スポーツ新聞会】記事 戸祭華子、写真 川上璃々

 アウェイの中、大阪・ヨドコウ桜スタジアムにて全国大学選手権(大学選手権)準々決勝となる京産大戦が行われた。「起点となるセットプレーの精度と中盤でのペナルティー」(大田尾竜彦監督、平 16人卒=佐賀工)で、早大は準備してきたものを思うように発揮することができず、相手にリードを許して前半を終える。反撃が期待された後半、リザーブ選手たちの活躍も光り、全員が一丸となって奮闘するものの、京産大の強烈なアタックを止めることができず、無念の敗北となった。

涙を流しながら挨拶をする早大選手たち 【早稲田スポーツ新聞会】

 前半、京産大の強力なFWのフィジカルに苦しめられる展開に。早大のハイパントキックが相手FLに入ると、FWを中心に全身を許し、たまらずハイタックルを献上してしまう。PGを沈められ、先制点を許す。しかし9分、敵陣5メートルと22メートルラインの間でペナルティーを獲得するとスクラムを選択。SH島本陽太(スポ4=神奈川・桐蔭学園)が相手ディフェンスの逆をつくパスワークを見せると、最後は後ろから走り込んできたWTB矢崎由高(スポ1=神奈川・桐蔭学園)がディフェンスの間を抜け、インゴールを駆け抜けた。CTB野中健吾(スポ2=東海大大阪仰星)がプレースキックを冷静に決め7ー3とする。しかし、21分に相手スクラムからNO・8ポルテレ(京産大)に4人のディフェンスを弾き飛ばす異次元の突破を許すと、そのままインゴールを叩き割られる。その後も相手FW陣の力強いアタックとFB辻野(京産大)の正確無比なキックで点差を広げられ、7ー23で試合を折り返した。

攻撃を仕掛けるFB伊藤 【早稲田スポーツ新聞会】

 ハーフタイムで接点のディフェンスとセットプレーの修正が期待された早大だったが、後半も同様に劣勢の展開に。キックオフのボールをキャッチした京産大に50:22キックを決められると、ラインアウトモールで押し込まれ後半最初のトライを奪われる。なんとしてでも京産大の勢いを止め、反撃の糸口をつかみたい早大は、後半5分に前節から復帰したSH宮尾昌典(スポ3=京都成章)を投入。その5分後、FB伊藤大祐主将(スポ4=神奈川・桐蔭学園)がアタックを仕掛け、ペナルティーを誘うと敵陣10メートルライン付近でラインアウトを獲得。パスを受けたSO久富連太郎(政経4=島根・石見智翠館)がステップで相手を惑わし前進し、ディフェンスの隙をつきそのままインゴールへ。そして後半28分、マイボールスクラムを獲得すると、矢崎にパスが渡り、HO佐藤健次(スポ3=神奈川・桐蔭学園)が相手の反則を奪う。クイックスタートで、相手のディフェンスラインが整う前に隙をつき、宮尾が意地のトライを見せた。このまま、流れを引き寄せたいところだったが、再開直後に再び相手に追加点を許す。早大は33分、ハイパントキックをクリアし、伊藤にボールが入ると、そこから左右に大きく素早く展開し相手ディフェンスに的を絞らせない。最後は左の大外で余っていた矢崎にボールが渡り、内側に切り込んでそのままグラウンディング。しかし、京産大の勢いのあるダイナミックなアタックと力強いスクラムに終始圧倒され、28ー65でノーサイドとなった。

インゴールへ飛び込むSH宮尾 【早稲田スポーツ新聞会】

 伊藤主将が「自分たちのやりたいことをシンプルに出させてもらえなかった」と振り返るように、試合を通して早大らしいテンポの良い素早い展開ラグビーを封じ込められての完敗。「監督やコーチ陣と、4年生と、上井草に残してきたメンバーとも、ただただ本当にみんなともっとラグビーがしたかった」(伊藤主将)。『日本一』への挑戦は、あっけなく幕切れを迎えることとなった。

コメント

大田尾竜彦監督(平 16人卒=佐賀工)

――今日の試合を振り返っての総括をお願いします

 起点となるプレー、セットプレーですね。なかなか自分たちが準備してきたものを出し切れなかったという感じで、非常に京都産業大学さんが強かったなというのが、トータルの印象ですね。

――京産大の積極的に前に出てくるディフェンスへの対応についてはいかがですか

 後半に入って自分たちが攻撃を仕掛けている時間帯もあったので、ディフェンスによってペースが狂ったということはそこまでないかなと思います。やはり攻撃力の方が印象に残っています。

――後半相手に点を取られた後、なかなか自分たちの流れに持って来れなかった要因はどこにありますか

 ラインアウトで全然獲得できなかったところが非常に大きいところかなと思います。準備したいくつかのプレーで流れを取り戻したり、攻撃をスタートをさせればという思いはあっていたのですが、やはりそこの食い止めるところがチグハグだったのかなと思います。それは試合全体を通してそうだったのかなと思います。

――昨年は京産大に1点差で勝利していますが、今年のこの結果を受けてその差はどのようなところだと考えていますか

 試合は流れに左右される部分が結構あるので、今日はちょっとしたところでずっと流れをつかみ切れなかったのが大きいかなと思います。

FB伊藤大祐主将(スポ4=神奈川・桐蔭学園)

――今日の試合を振り返っての総括をお願いします

 自分たちのやりたいことをシンプルに出させてもらえなかったので、京産大の勝ちかなと思います。

――京産大の積極的に前に出てくるディフェンスへの対応についてはいかがですか

 そこでバトルしようと思ったのですが、やられてしまった印象があります。まだあまり整理ついていなくて、なんとも言えないですが、そこでもう少し行きたかったなと思います。

――振り返ってみて、どう修正したかったですか

 セットプレーを少なくしたかったなと思います。キャプテンとしてやり切れなかった責任は大きいなと思います。

――左手のNO・1の意味は

 僕自身が本当に1番プレーで引っ張りたいという思いが強くありました。それが出せなかったのは正直悔しいです。そこでもっといけたらなという思いはありました。

――後半最初のアタックでペナルティーを取っていたと思いますが、ショットの可能性は無かったのでしょうか

 焦っているわけではなかったのですが、ラインアウトもスクラムもあと少しというところだったので、それだったら自分たちの一番自信のあるストラクチャーでアタックしようと思っていました。ショットの可能性は無かったです。

――ノーサイドの笛が鳴った時の素直なお気持ちを教えてください

 やっぱり、監督やコーチ陣と4年生と、上井草に残してきたメンバーとも、ただただ本当にみんなともっとラグビーがしたかったです。それでこの結果だったのですごく悔しいです。
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著者プロフィール

「エンジの誇りよ、加速しろ。」 1897年の「早稲田大学体育部」発足から2022年で125年。スポーツを好み、運動を奨励した創設者・大隈重信が唱えた「人生125歳説」にちなみ、早稲田大学は次の125年を「早稲田スポーツ新世紀」として位置づけ、BEYOND125プロジェクトをスタートさせました。 ステークホルダーの喜び(バリュー)を最大化するため、学内外の一体感を醸成し、「早稲田スポーツ」の基盤を強化して、大学スポーツの新たなモデルを作っていきます。

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