【埼玉西武】【新入団選手スカウトに聞いた!】まさに一目惚れ──。“知られざる超逸材”、その魅力、その衝撃を我々は“目撃”する。大学進学からプロへと振り向かせた後藤スカウトの熱意の理由とは。

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チーム・協会
11月26日に会見を終えた新入団選手たち。来季からライオンズの一員になる彼らのことをファンの皆さまにより知っていただくために、今年も昨年に引き続き担当スカウトインタビューを実施!
第7弾は木瀬投手!担当である後藤スカウトに、直接お話をお伺いしました!

(編集協力:週刊ベースボール)

“豪速球”ではなく、誰も捉えられない“快速球”へ──。自分の体を良く知っているからこその美しい投球が、武器になる。

【©SEIBU Lions】

それは、後藤光貴スカウトにとって、衝撃だったという。木瀬翔太投手を初めて見た日の驚きは、今でも鮮明に頭に焼き付いている。その存在を知ったのはドラフト会議が行われた10月からわずか4ヵ月前の6月終わり。北嵯峨高の練習試合相手の高校に用事があって試合を観戦していた知人から、1本の電話が入った。「北嵯峨の木瀬というピッチャー知ってる?」。「知らない」と答えると、「良いらしいから、もし興味があったら見てみたらどうですか?」。数日後、後藤スカウトは迷いなく北嵯峨高野球部のもとへ向かっていた。

試合前、ブルペンで投げる木瀬投手を見た瞬間、心の中で叫んでいた。「ワオ!こんなヤツおったんや!!」身長185cm、体重83kgという見栄えのする体格にまず目を奪われた。だが、本当の衝撃はそこからだった。「体格の良さから、最初は力任せで投げるのかなと思ったら、ものすごくきれいな投球フォームで投げるんですよ。スピード自体は現時点で140キロ台中盤、アベレージ的には138キロから141キロぐらいなのですが、そのフォームのきれいさ、体の使い方のうまさを見て、『これは絶対に近い将来150キロを超えるな』というイメージが一瞬にして湧きました」

まさに“一目惚れ”だった。これだけの情報社会の中で、これほどの逸材が、ほぼ無名の存在で隠れていたのだ。そこからは牧野隆史監督を通して木瀬投手に熱意を伝えていった。その結果、育成5位で獲得。「本当にうれしかったですね。こういう選手を見つけて、木瀬君も監督さんも親御さんも、大学進学かプロか、どちらの進路を希望するか、本当に悩んでいたと思うんですよ。それでも、最終的にプロの世界でという気持ちに振り向いてくれたことに、まず感謝でしたし、だからこそ、『必ず獲得したい』という気持ちでした」。そんな後藤スカウトの見る目と熱意を、球団も信じ、受け入れてくれた。

初見からまだ半年ほどだが、後藤スカウトは「低めに伸びるストレート」に無限の可能性を感じている。その根拠となるのが、高校の監督からの情報と、木瀬投手本人との数少ない会話の中で感じた、自分自身への探究心である。「北嵯峨高の監督さんからも、彼が自分の体のことを理解してトレーニングすることによって徐々に成長してきて、ここにきて急成長したピッチャーだということを聞きましたし、僕自身、彼との会話の中で、自分の体とか性格などを自分でよく分析できているなという印象を持ちました」。木瀬投手も、「身体の使い方やメカニックの部分を理解してトレーニングしていること」を自らのセールスポイントに挙げている。さらに、入団後は「今井達也投手が、すごく使い方が上手で、自分の体をうまく操って投げているなと感じるので、ぜひいろいろ聞いて、学びたいです」と意欲的だ。

そんな純粋で真面目、さらに京都・亀岡という自然豊かな土地で育った素朴な性格だからこそ、伸びしろは無限大だと後藤スカウトの期待は大きい。思い描く将来像は、豪速球ではなく“快速球”投手だ。「今後は、今のままきれいなフォームからキレのいい快速球をバンバン投げて勝負して、ストレートと分かっていても三振が奪えるようなピッチャーに成長してもらえたらなと思います。そのためにも、変化球はまだまだなので、スプリット系、例えばフォークボールなどを習得できれば、より一層キレのあるストレートに磨きがかかってくるのかなとは思っています」。

とはいえ、一方では、これまで長年をかけて見てきた選手も少なくない中で、突如現れた新星だ。大学進学も大いに視野に入れていた選手を翻意させた責任感も、後藤スカウトは大いに感じている。「親御さんを含め、大学という選択肢ではなくて、プロで勝負しにいくという導きをした以上は、公私含め、いろいろな意味でサポートしていこうと思っています」。

後藤スカウトが“一目惚れ”をした超逸材。ただただ、楽しみしかない。

後藤スカウトから木瀬投手へ
「本当に、純粋に自分見つめて、冷静に努力ができる選手。近い将来、必ず素材を開花してもらえることを楽しみに待ちたいと思っています」
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埼玉西武ライオンズに関する選手、イベント情報はもちろん、選手コラムやライオンズが取り組む活動についてもお届けいたします!週1〜2回を目途に公開いたしますのでお楽しみに!

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