アルビレックス新潟が2位以下を大きく突き放し大差でJ2の3連覇を達成
【©ALBIREX NIIGATA】
※当記事はJリーグ マネジメントカップ2022調査レポートに掲載した内容を一部改訂して転載しています。
Jリーグ マネジメントカップ2022のJ2優勝クラブはアルビレックス新潟
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平均入場者数・スタジアム集客率
増加率の高かった3クラブの共通点は、終盤までJ1参入プレーオフ進出を争っており、シーズン最後の2節で1万人前後を動員しているという点です。つまり、優勝争いだけでなく、魅力的なレギュレーションを設計するリーグ側の果たす役割も重要で、プレーオフの形式が微修正される2023年シーズンの結果も注目されます。
スタジアム集客率の平均はJ2全体で前年比+5.0P(+25.5%)の24.5%で、コロナ禍の収束とともに少しずつ観客が戻っており、全22クラブ中20クラブが前年比プラスとなりました。昨シーズン2クラブあった集客率10%以下のクラブがなくなり、集客率の底上げは進んでいます。コロナ禍以前の集客率(約40%)を再び達成するためにも、コロナ禍の収束を追い風にしたBM施策の充実が鍵となりそうです。
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勝点1あたりチーム人件費
本KPIは、コストの中で最も大きな比率を占めるチーム人件費を、いかに効率的にFM面の結果へ結び付けられたか、ということを可視化できる指標となります。2022年シーズンのJ2平均は、前年比▲0.2百万円(▲1.6%)の11.6百万円でした。最も効率的に勝点を獲得したのは熊本で、勝点1を4.5百万円で獲得したことになります。
新潟は前年比+65百万円(+9.4%)となっており、KPIの値としては前年比で▲1.2百万円(▲11.4%)の改善となり、同じくJ1昇格を果たした横浜FCも、前年比で▲34.1百万円(▲60.9%)と大幅な改善となっています。
このように人件費への投資がうまくFM面の成果に結び付いたケースでは本KPIが改善する一方、単年ではFM面での成果が出ないこともあるため、チームへの投資という重要なBM施策に関わる経営判断の効果を、本KPI評価を通して、より中長期的な観点で継続的に検証する姿勢が欠かせません。
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勝点1あたり入場料収入
トップは新潟の7.1百万円で前年比+0.1百万円(+1.6%)で、入場料収入を前年比+121百万円(+25.5%)とする一方、勝点も68から84と伸ばし、見事にJ1昇格を決めました。また東京Vは、前年比+0.7百万円(+38.1%)の2.5百万円で本KPIはJ2における11位と中位ではありますが、内容を見ると、勝点が58から61と微増だった半面、入場料収入は106百万円から154百万円と+48百万円(+45.3%)と大幅に増えており、ブランディングの強化がBM面の好調につながったことがうかがえます。
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SNSフォロワー数・SNSフォロワー数増減率
トップは40万人以上の増加を記録した東京Vで、インドネシアからアルハン選手が加入した影響で、昨シーズンの全体10位(95,157人)から一気にトップ(534,559人)へと躍り出ています。その東京Vに加え、水戸・甲府・仙台の3クラブが新たにフォロワー数10万人を突破し、J2の半数である11クラブがフォロワー数10万人以上を有するクラブとなりました。J2全体での底上げが進んでいるといえます。
フォロワー増減率の平均は前年比+23.9P(+199.5%)の35.8%となりました。増減率の平均を押し上げた要因である東京Vのフォロワー増加数は、+439,402人(+461.8%)を記録し、全クラブの中でも圧倒的でした。これは、Instagramのフォロワーが300万人超、国民的スターともいえるインドネシア代表のアルハン選手の獲得が影響しており、新たなフォロワーの多くはインドネシアをはじめとする東南アジアのファンである可能性が高いと考えられます。コスト面の負担が比較的少ないアジア圏のスターを獲得するという手法は、適切な戦力の補強と効率的な宣伝効果を実現するうえで、今後注目されるBM手法となるものと推察されます。
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売上高・売上高成長率
売上高の平均は、前年比+219百万円(+14.5%)の1,728百万円でした。通常のスタジアム運営が可能となったことで、全体としてもコロナ禍以前(2019年シーズン)の売上高(1,655百万円)を上回る水準に回復しています。近年各クラブが進めてきたデジタルマーケティングへの投資や集客施策、ECサイトによるグッズの拡販などの成果が着実に結果に結びついているものと考えられます。
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J2ではどのクラブも昇格を目指し、また、降格を回避するため、内部留保よりもチームの強化(FM面)に優先的に資金を割り当ててしまう傾向にありますが、不確定要素の多い経営環境においては、いつも以上にクラブの財務的安定(BM面)の強化を意識することが重要になります。クラブライセンス判定の猶予期間および特例措置により、債務超過によるライセンス不交付の基準は緩和されていますが、柔軟性のあるクラブ経営を実現するため、収益の確保と資本の増強は多くのクラブにおいて急務となっています。
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