森山佳郎監督:「どのグループも最終節までもつれる総力戦になる」

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11月10日に開幕するFIFA U-17ワールドカップ インドネシア大会で、若きサムライブルーを3大会連続で率いる森山監督にFIFAが独占インタビュー。

【@FIFA】

U-17日本代表は今年6月から7月にかけて行われた2023 AFC U-17アジアカップで2大会連続4度目の優勝を飾り、アジア王者としてU-17ワールドカップ出場権を獲得。3大会連続10回目となる出場を果たす。

大会は11月10日よりインドネシアで開幕。日本はグループステージでポーランド、アルゼンチン、セネガルと対戦する。初戦は11月11日のポーランド戦。続いて14日にアルゼンチン戦、17日にセネガル戦が予定されている。

FIFAは若きサムライたちを率いる森山佳郎監督に独占インタビューを行い、大会に向けた意気込みや日本サッカーの育成現場の成長などについて伺った。

FIFA:U-17ワールドカップは2019年以来4年ぶりの開催です。今大会への意気込みはいかがでしょうか。
森山監督:前回の2019年大会と同様に、今回もかなり厳しいグループに振り分けられましたが、それは同時に選手たちにとって素晴らしい相手と戦える貴重な機会をもらえたと考えることができます。本当に一戦一戦を集中して、全てを出し切らないと勝てない試合が続くと思います。

ワールドカップは1試合ごとに選手が成長する舞台なので、グループステージを突破することはもちろん、できれば決勝までの7試合を選手たちに経験させてあげたいと考えています。

森山監督はこの大会で2017年から3大会連続で、日本代表を率いていますが、日本にとってこの大会はどんな位置付けにあたるのでしょうか。
私がこの年代の監督に就任するまでは、ユースカテゴリーで活躍した選手がA代表まで上り詰めて活躍することが少なくて課題に感じていました。

今ではA代表に久保建英選手や菅原由勢選手など、過去の大会に出場したメンツが食い込むようになってきており、この舞台を経験してA代表につながっていく選手の割合が増えてきたと思います。

(U-17ワールドカップは)世界を経験した選手たちが、A代表レベルでも通用するようにできるいいステップとなるようにしたいと考えています。

ここ最近、A代表は国際試合でも6連勝と絶好調です。過去にはこの大会に出場していた久保建英選手や中村敬斗選手を指導していた経験があると思いますが、彼らについての印象を教えてもらえますか?
特に2017年大会の時は、大会でも圧倒的な力を誇っていたフィル・フォーデンらが率いるイングランド代表と互角の戦いができました(結果は0-0の末にPKで敗戦)。あの試合を経験したおかげで、選手たちはどこの国と対戦しても戦える自信をつけることができました。

2019年大会も難しいグループでしたが、なんとか首位で突破することができました。しかしノックアウトステージで惜しくも敗れてしまい、当時の選手たちはとても悔しい思いをして、今でもそのリベンジに燃えているはずです。

この大会での経験を糧に、もっと上のカテゴリーでどんどん通用する選手を育てていけたらと思っています。

【@FIFA】

ここまでアジアの国は、まだ一度もワールドカップで優勝を果たしていません。日本は準々決勝進出が最高成績ですが、今回それを超える自信はどれほどありますか?
自信というよりは、何かやってやろうというチャレンジャー精神で溢れています。なんとか相手に食らいついて倒していきたい気持ちは大きいです。

アジアカップでは史上初の連覇を達成しました。アジアの中では、日本のレベルというのはこの数年で変化はありましたか?
アジアカップは今回史上初めて連覇を達成して、合計で4回優勝しています。これはアジアの中では一番多い数字で、アジアカップでは拮抗していた韓国戦以外は、全ての試合で日本が主導権を握ってゲームを進めることができました。

そのことから鑑みても、各年代で優勝を狙える力をつけてきていると思いますし、国内の育成のレベルというのは大きく上昇していると考えています。指導者のスキルや環境の整備が総合的に機能して、アジアの中でのプレゼンスはとても高まっているように感じます。

今回のチームは高体連とJリーグクラブのユースチーム出身の選手が招集されていますが、今回のチームの特徴はズバリ何でしょうか。世界的にみても、日本の育成システムは特殊な部分はありますが、これらが強みに生きている部分はどのようなところだと思われますか?
クラブのユースチームの育成がしっかりしているのは当然なのですが、最近では高校サッカーでも非常に環境が整っています。仮にユースチームに入れなかったとしても、それに匹敵するくらい高いレベルが今の高校サッカーにはあります。

ユースチームと高体連では育成方法に差はありますけど、最近では高体連のチームがリーグ戦でユースチームよりも上位になることも珍しくなくなりました。

中学生の選手が自分の将来を考えながら、様々な選択肢が昔と比べて多くなっており、いろんなキャラクターを持ったチームが若い選手たちのオプションになっていることが強みになっているかと思います。

チームは将来が明るい若い選手たちばかりのチームだと思いますが、監督やコーチが彼らと接する時に心がけていることはありますか?
正直にいうと、日本のこの年代の選手たちは、南米やヨーロッパの選手たちと比べてメンタリティ的な部分が弱いように感じます。どうしても日本の選手たちは、受け身で監督やコーチの指示待ちになってしまうことが多いです。

そういった選手たちには、外部から刺激を与えて、自分たちで考えてアクションするように指摘したりすることもあります。今後彼らはプロのキャリアを歩んでいくようになると、結果で評価されるようになります。そういった厳しい荒波に飲み込まれる前に、この段階でしっかり指導して、準備をしていってほしいです。

最後にグループステージで戦う3カ国(ポーランド、アルゼンチン、セネガル)について警戒するべきところと特徴について教えてもらえますか。
ポーランドはとても攻撃的な選手が揃っていて、ここ最近の親善試合でも大量得点で勝利したりしています。私たちも守備に自信はありますし、攻撃陣も魅力的なので、失点しないようにしながら1点でも多く取って勝ちたいです。

アルゼンチンもかなりクオリティの高い選手を擁していて、A代表はFIFAランキング1位です。南米予選の時よりもさらにレベルアップしていて、その相手にどれだけやれるか、自分たちを試せることはとても楽しみです。

セネガルもアフリカ王者で、こちらは他の2チームとはリズムが違っていて、日本にとってはこれまで体験したことのない身体能力の部分に苦戦することになるかもしれません。

きっとこの大会のどのグループも最終戦までノックアウトステージ進出はもつれると思っています。きっとグループ最終節まで厳しい戦いになると思いますが、そこを楽しむ気持ちで臨みたいです。
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