【神戸スティーラーズ特別連載第10回(最終回)/RWC2023フランス大会〜神戸から夢の舞台へ】 「応援ありがとうございました!」 具 智元、サウマキ アマナキ、李 承信、山中 亮平から皆様へ感謝のメッセージ

コベルコ神戸スティーラーズ
チーム・協会

【コベルコ神戸スティーラーズ】

南アフリカ代表の大会史上最多4度目の優勝で終わった「ラグビーワールドカップ2023フランス大会」。日本代表はプールDを2勝2敗3位となり、2大会連続で決勝トーナメント進出を果たせず1次リーグ敗退に終わった。
コベルコ神戸スティーラーズから日本代表の一員としてワールドカップという大舞台に立った4選手は、チームに戻り、12月9日に幕を開ける「NTTリーグワン2023-24」に向けて準備を整えている。
4選手の大会総括と応援していただいた皆様へ感謝のメッセージをお届けする。

スクラムの完成度は2019年大会以上。自信を持てた大会になりました。(PR具 智元)

【コベルコ神戸スティーラーズ】

2度目の出場になりましたが、ラグビーワールドカップ2019日本大会の時よりも緊張することなく落ち着いてプレーすることができました。ただ、初戦のチリ戦で足を負傷した影響やイングランド戦で脇腹を痛めたこともあり、どの試合も40分程度の出場になってしまって…。チームとしても2勝2敗で1次リーグ敗退と求めていた結果を残すことができなくて、悔しい思いもありますが、個人的にはスクラムで大きな自信をつけることができた大会になりましたし、スクラムの完成度だけ見れば、2019年の日本大会以上だったと思います。特にイングランド戦は、昨年11月の対戦の際に3本連続で反則を取られ、リベンジの思いがあって。試合ではファーストスクラムから良い形で組むことができ、日本のスクラムはこんなに強いんだと驚くほどでした。続く、サモア戦も、7月に「リポビタンDチャレンジカップ2023」で対戦した時にスクラムで押されてしまったので、警戒していましたが、安定したスクラムを組むことができました。
大会を通じて、一番印象に残っているのは、アルゼンチン戦のファーストスクラムです。組んだ瞬間に「押せる」という手応えを得て、僕の中では、大会を通じてのベストスクラムになりました。スクラムが安定していたので、試合にも勝てると信じていたのですが、イングランド戦と同じような展開になり、後半トライを取られて取り返さないといけない場面で、逆に取られて追いつくことができなくて。改めて、ノーサイドの瞬間まで集中力を切らさず一貫性を持ってプレーすることの大切さを痛感した大会にもなりました。
このチームが大好きだったので、もっと試合をしたかったですし、応援していただいたファンの皆様も残念な気持ちになったと思います。皆様の声援に対し恩返しの思いも込めて、リーグワンでは全力でプレーします。神戸スティーラーズに入団してから、なかなか自分らしいスクラムを組むことができていません。今大会で得たスクラムへの自信をチームに還元し、勝利に貢献したいと思います。

ワールドカップ出場という目標を叶えることができました!沢木さんに感謝です。(LOサウマキ アマナキ)

【コベルコ神戸スティーラーズ】

国内テストマッチではまったく出番がなかったのですが、いつかチャンスが来ると思って、仲間のため、チームのためにハードワークしていました。最初の30人のワールドカップメンバー発表の際は落選しましたが、府中合宿に呼ばれ、チャンスを得ることができました。合宿最終日の朝、ジェイミー・ジョセフ日本代表ヘッドコーチから「おめでとう」と言われた時は、現実のこととは思えなくて、「夢なんじゃないかな」と。兄(ホセア・サウマキ)に報告した時は嬉しくて涙が出てきました。
ワールドカップでは、チリ戦とアルゼンチン戦の2試合に出場しました。ファーストキャップとなった大会前のイタリア戦も緊張しましたが、ワールドカップの試合はそれ以上でした。特にチリ戦は姫野(和樹)の怪我により急遽スタートからの出場になり、国歌斉唱の時は、緊張と喜びで胸がいっぱいになって。姫野の分まで良いプレーをしようと、後半15分で交代するまで自分の持っている力を全部出しました。大事な初戦で勝利することができて本当に良かったです。アルゼンチン戦は、試合会場に奥さんと娘が来てくれて、10分間でしたが、2人の前で日本代表のジャージを着てプレーしている姿を見せることができました。試合に勝てていたら、もっと良かったのですが…。
目標にしていたワールドカップでは本当に貴重な経験ができました。イーグルス(現・横浜キヤノンイーグルス)時代に、監督の沢木(敬介)さんに言われてフォワードに転向していなかったら、目標を叶えることできなかったんじゃないかな。沢木さんには感謝しています。
フランスだけでなく、日本でも応援していただき、本当にありがとうございました!皆様の声援は力になっていました。12月9日からはリーグワンがはじまります。日本一という目標に向かって頑張りますので、リーグワンでも応援よろしくお願いします。

ワールドカップの悔しさは、ワールドカップでしか晴らせない。(SO李 承信)

【コベルコ神戸スティーラーズ】

ワールドカップでは全試合出場を目指していましたが、サモア戦での途中出場のみに終わりました。特にイングランド戦は、昨年11月の対戦で自分のパフォーマンスが悪くて敗れたこともあり、試合に出てリベンジしたいという思いが強くて。メンバーから外れた時は、かなり落ち込みましたが、気持ちを切り替えて、チームのためにハードワークしました。サモア戦はメンバーに入り、4分ですが、出場し、ワールドカップの雰囲気を味わうことができました。結局、大会を通じて試合に出たのは、この4分だけでしたが、だからこそ次の大会に向けて思いが強くなりました。
ワールドカップの悔しさはワールドカップでしか晴らすことはできません。
今回ワールドカップという大舞台を経験できたことは、これからの自分にとって大きな武器になります。どうしてメンバーに入ることができなかったのか。何が足りなかったのか。ワールドカップ前に行われたイタリア代表戦は、結果を残さないといけないと自分自身にプレッシャーをかけてしまい、いつもなら当たり前に入っているようなキックも入らなくなってしまいました。メンタル面での準備が不足していたことがわかりましたし、実際、コーチ陣からもその点を指摘されて。また、ワールドカップという大舞台に対しての「覚悟」も僕には足りなかったように思います。ワールドカップは、本当に特別な舞台で、リーチ(マイケル)さんは、「生きるか死ぬか」くらいの覚悟を持って大会に臨んでいました。同じポジションの(松田)力也さんは、前回大会で悔しい思いをして、フランス大会では絶対に「10番」で出るという覚悟がありました。リーチさん、力也さん、そして、前回大会を経験している選手の姿から学んだことはたくさんあります。日本代表に初めて招集されてから、ずっと右肩上がりだったので、今回、初めて挫折を味わいました。この経験を今後にどう活かしていくかは自分次第です。これを良いターニングポイントにして、さらに成長し、次の大会では僕が周りを引っ張っていけるようにしたいと思います。
ファンの皆様には試合に出られない時も、SNSを通じて応援していただき、大きな力になりました。また4年後に向けて頑張ります!まずはリーグワンで、個人としてもチームとしても結果を出して、皆様に恩返ししたいと思います。

応援コメントに気持ちが救われ、頑張るパワーをもらいました!僕には「集大成」はありません。これからも前進するのみです。(FB山中 亮平)

【コベルコ神戸スティーラーズ】

落選した時は、精神的にかなりきつかったです。家族の支えと、廣瀬(俊朗)さんや五郎丸(歩)さんをはじめ、いろいろな人と会って、前向きな気持ちを取り戻すことができ、8月15日夜、「2027年ワールドカップを目指します」というSNSの投稿につながりました。髪を染めたのも、気持ちを切り替えるためです。バーバリアンズでは、良いプレーをして、僕を選んでおけば良かったと思わせたい気持ちがなかったといえば嘘になりますが、純粋にラグビーを楽しんでいました。
ただ実は、イングランド戦の前日に、なんとなく追加招集されるんじゃないかという予感があって…。これまでサンウルブズや日本代表で追加招集を何度も経験しているので、感覚が鋭くなっているのかなと。誰も怪我なく大会を乗り越えてほしいと願っていたので、イングランド戦でセミシ(・マシレワ)が怪我をした時はびっくりして…。翌日、日本代表の担当者から連絡があって、チームに合流することになりました。代表では、ジェイミー・ジョセフ日本代表ヘッドコーチをはじめ、みんなが歓迎してくれて、ありがたかったです。
今回、落選、追加招集を経験し、その間、大きな力になったのは、ファンの皆様からのSNSを通じての応援コメントでした。落選した時は、多くの励ましのコメントをいただきましたし、「2027年を目指します」と投稿した時も、ポジティブな内容のコメントばかりで嬉しかったです。特に追加招集された時は、驚くほどたくさんのコメントをいただいて、こんなにも大勢の方々から応援していただいているんだと改めて気付かされました。皆様のコメントに助けられましたし、頑張るパワーをもらって、感謝しかありません。
2度目のワールドカップは、10分間の出場に終わりました。フランス大会は代表活動の「集大成」だと言っていましたが、山中 亮平のラグビー人生に集大成はありません。「集大成」って一体なんやねん、かっこつけるなと。集大成と言っていた頃の僕は、プレー面でも守りに入っていたように思います。僕はそんなキャラクターではないなって。目の前の試合に常に全力でプレーして、前進するのみです。年齢も関係ありません。選手を続ける限りは、日本代表を目指して頑張ります。リーグワンでは最高のプレーをしますので、どうぞ期待していてください!

選手それぞれにドラマがあった「ラグビーワールドカップ2023フランス大会」。夢の舞台での経験をチームに持ち帰り、彼らはリーグワンでの活躍を誓う。「NTTリーグワン2023-24」では、4選手の成長した姿と、9位からの巻き返しを図る神戸スティーラーズに注目してほしい。

文/山本 暁子(チームライター)
コベルコ神戸スティーラーズ
プレシーズンマッチ
■11月11日(土)13:00 VS横浜キヤノンイーグルス(キヤノンスポーツパーク)
■11月18日(土)14:30 VSトヨタヴェルブリッツ(トヨタスポーツセンター)
■11月25日(土)12:00 VS 花園近鉄ライナーズ(東大阪市花園ラグビー場)

NTTリーグワン2023-24
開幕戦(第1節)
12月9日(土)12:00 三重ホンダヒート(ノエビアスタジアム)
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著者プロフィール

兵庫県神戸市をホストエリアとして、日本最高峰リーグ「NTTジャパンラグビー リーグワン」に参戦しているラグビーチーム「コベルコ神戸スティーラーズ」。チームビジョンは『SMILE TOGETHER 笑顔あふれる未来をともに』、チームミッションは『クリエイティブラグビーで、心に炎を。』。 ホストエリア・神戸市とは2021年より事業連携協定を締結。地元に根差した活動で、神戸から日本そして世界へ、笑顔の輪を広げていくべく、スポーツ教室、学校訪問事業、医療従事者への支援など、地域活性化へ向けた様々な取り組みを実施。また、ピッチの上では、どんな逆境にも不屈の精神で挑み続け、強くしなやかで自由なクリエイティブラグビーでファンを魅了することを志し、スタジアムから神戸市全体へ波及する、大きな感動を創りだす。 1928年創部。全国社会人大会 優勝9回、日本選手権 優勝10回、トップリーグ 優勝2回を誇る日本ラグビー界を代表するチーム。

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